松尾大社所蔵史料の画像公開について
報道で取り上げて頂きましたが、松尾大社と東京大学史料編纂所との協定に基づき、松尾大社が所蔵している史料の高精細画像が史料編纂所のDBにて公開されることになりました。
松尾大社所蔵史料は、吉川弘文館から『松尾大社史料集』として刊行中であります。
史料編纂所でも史料採訪されており、影写本と写真帳がありましたが、一部ないものもあり、また新出史料もあり、改めて高精細画像を撮らせていただきました。その成果の一部が今回の公開になります。
今後も新出史料まで視野に入れ、松尾大社とご相談しつつ公開を進めていければと思っています。
個人的には10年ほど前から史料調査をさせていただき小文を書き散らかしておりましたが、2019年度からは史料編纂所の一般共同研究に採択され、角田さんや佐々木さん、また編纂所や歴博の方々と調査・研究を進めているところです。
今回の公開は、ひとえに宮司様をはじめとする松尾大社のご理解と、史料編纂所の皆さまのおかげです。特に神社史料がこうした形で公開されるのははじめてだと思います。
これを機会に松尾大社史はもとより、神道史に更に光があたり、研究が進展すればと思っています。
なお、この発表については松尾大社と史料編纂所から報道各社へご連絡いただきまして、26日に松尾大社にて記者会見が行われました。
私はあくまで史料編纂所の一般共同研究の代表ということで出席させていただきました。
記者会見のときには、一般の方々の注目を引いていただきたいということで、源頼朝書状、織田信長朱印状、徳川家康朱印状を披いてもらいました。
報道では、多くが「秘蔵の信長朱印状が~」と取り上げていただきましたが、松尾大社には平安時代から明治までの多岐にわたる史料があります。
武家の史料では特に室町幕府奉行人奉書が多いように思いますが、朝廷からですと綸旨や太政官符、また伯家御教書も多くあります。また社家の所領経営や、神事に関わる年中行事などもあります。
今回はあくまでスタートであり、今後の公開に向けての目録整備など思案すべきことは多々あります。まずは公開しつつ進めていきたいと思います。
神社関係者や信仰される氏子の皆さま、そして研究者の方々が、史料原本の画像を研究・教育に活用されることを願っております。かくいう私も研究を進めていきたいと思います。