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見方を変えれば、世界が広がる
今朝は散歩しながら「多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織」を聴いていた。
その中で語られていたのは、アメリカの同時多発テロ事件と多様性の必要性についてだった。
事件当時、CIAの組織には白人のアメリカ人が大半を占め、黒人や非アメリカ人の構成員はほとんどいなかったという。
結果として、視点が偏り、アルカイダの行動を事前に予測し、抑制することができなかった。
例えば、ビンラディンの宣戦布告動画を見たとき、アメリカ側は「痩せこけたローブ姿の男が脅威になり得るわけがない」と考えた。
しかし、イスラム文化の視点から見ると、その姿は神に近い存在として映る。
事後になって「なぜ事前に気付かなかったのか」という批判が出たが、人間の認識には事前と事後で大きな差が生まれる特性があり、単純に「無能」では片付けられない問題だった。
また、心理学の視点でも興味深い話があった。同じ絵を見たとき、アメリカ人は中央の人物や物に注目し、日本人は背景や周囲の要素に目を向けがちだという実験結果がある。
文化的背景によって視点が変わるという事実は、組織の在り方にも影響を与える。
同じ文化圏の人々が集まると、考え方が似通ってしまいがちだが、多様な文化を持つ人々が加わることで、より多角的な視点が生まれる。
本の中では、医療技術の進歩に関する興味深い例も紹介されていた。
例えば、強い放射線やレーザーを用いる治療では、病巣を除去する一方で健康な組織にも影響を与えてしまうという課題がある。
ここで例えられたのが「城攻め」の戦術だった。
城へ続く複数の道には地雷が埋め込まれており、小隊であれば通行可能だが、大軍で進むと爆発してしまう。
そこで部隊を少人数に分け、それぞれの道に配置し、合図とともに一斉に進軍させ、同時に城へ到達させた。
この戦略により、敵将は見事に陥落した。
同じ発想を医療に応用し、レーザーを一点に集中させるのではなく、複数の方向から照射することで、病巣には十分なエネルギーを与えつつ、周囲の健康な組織への影響を最小限に抑えるという解決策が導き出された。
この話から、新しい視点を得ることの大切さを改めて感じた。
異なる視点を持つことで、新しい発見や洞察が生まれる。
もともと持っていた知識や経験と結びつくことで、より深い理解につながるのではないか。
多様な考え方を取り入れることで、学びの幅が広がり、新しい発想が生まれるのはとても興味深い。