編集行為の転換点<そんな気がする1>
TAPEの村田と申します。WEB、紙媒体問わず、メディアの編集が主な仕事です。
多くの編集者がMicrosoft WordやGoogleドキュメント等のデジタル文書で原稿に朱入れをするようになって、「編集」という行為が変わってきたように思います。
以前は、Word等で書かれた原稿であっても、それをわざわざプリントアウトして、ペンで文字通り朱字を入れていました。文字の校正、修正の依頼、疑問点、構成の変更等々。その朱字が入った文書を受け取ったライターは、その朱字を反映しつつ、もとの原稿を修正していきます。
どちらかというと、原稿の修正する主体はライターにあったように思います。
ところが、上記のようにデジタル文書上で編集者が朱字を入れるようになると、ライターが主に担うのは編集者の修正を承認する作業なったように思えます。
もちろん、こうでないケースも多々ありますし、ライターが主体的に修正をおこなうタイミングは他にあるはずです。が、個人的には象徴的な変化かなと考えています。
メリットもデメリットもある変化だと思います。編集者の立場からみると、例えば…。
●メリット
文章の修正作業が手早くできる。
こちらの意図した形に変更しやすい。
表記の揺れのチェック等簡単な校正作業が楽に行える。
など
●デメリット
朱字を入れすぎてしまう。
ライター特有の表現や構成などを消してしまいかねない。
校正記号忘れる。
など
このようなことが考えられます。
個人的に朱字のやりとりや修正作業は、編集者とライターの信頼関係を構築するうえでとても大切なことの一つだと考えています。使用するツールの変化が、その関係構築に大きく影響を与えるんじゃないか、というのは言い過ぎかもしれませんが、興味深い事象です。
なんとなくそんな気がしていて、私自身は、Wordでライターさんの原稿に朱字を入れる際は、やりすぎないよう必要最小限にとどめ、できればライターさんに修正作業を託すようにコメントを多用しています。
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