外国語学習のメンタル面の大切さ。気持ちが向かないのは何故か。
まず最初に話しておきたいのは、ドイツ語の学習はスピード競争じゃないということである。
私は他の人よりは少し早くC1試験に受かったけれど、人にはそれぞれの戦いがあり、状況も異なるので、落ち込む必要は全くない。(もっと早く受かってる人スマン。)
私がTwitterで勉強の進捗を投稿することで、プレッシャーに感じる人がいたり、自分のことを馬鹿にされたと思う人がいたり、落ち込んだりする人がいる、ということは、私の本意じゃないということは声を大にして言いたい。
なぜならば、「現地の言葉ができない。」と苦しんだのは、過去の私自身であるからだ。
私はドイツに来る前、キプロス共和国に6年近く住んでいたのだが、そこの第一言語であるギリシャ語をしゃべれないままキプロスを後にした。
しかし、一方で、Twitterで皆に褒めてもらえるように、ドイツ語学習の速度が早かったのは何故か。
この違いは、当然私にしか説明できないし、この差異を説明することにはとても意義があると思っている。
私が何故、「人には人の戦いがある。語学ができなかったからって何なんだよ!!!」て大声で叫びたいのか、私の実体験を通じて説明したい。
私の場合でいえば、長ーい遠距離恋愛の末に夫と結婚したわけだが、新婚生活はずばりキプロス共和国から始まった。夫がそこの大学で職を得たからである。しかし、研究者もしくはその家族なら分かるだろうけど、そもそも研究者っていうのは頭が良くても貧乏なのが常である。尚且つ、私たちの場合厳しさに輪をかけたのが、キプロスの人件費の安さで、大卒の事務職の初任給、例えば病院事務なら額面の給料は月1000ユーロが相場だった(日本円でいうなら15万円くらい)。
そのために、どんなに夫の給料が相場より良くても、所詮ドイツや日本に遠く及ばないというのが現実で、初っ端から私の独身時の貯金を切り崩しながらの生活が始まった。しかし、生活はどんっどん苦しくなり、第二子が生まれた時にトドメを刺された。なんと第二子だ生後3か月の時には、夫婦の貯金残高が500ユーロになったのである。(日本円でいうと7.5万円)
やばすぎない?
気が遠くなりかけましたよ。。。。泡吹くわ。。。。
なので、そのきつすぎる経済的な困窮もあって、第二子が生後2か月のときから就活を始め、生後3ヶ月の時に就職した!!!
金がなさすぎて就職。
この崖っぷちの気持ちをシェアしてくれた人は今のところいないし、同じ経験をした人も今のところ見たことない。
キプロスの労働環境はまぁまぁ程度ブラックだった。
また採用された会社も当初は30人程度の小規模なものだったけど、その業界自体の離職率もとんでもなく高く、サイクルも約半年と短いので、結局私が辞める20ヵ月後には社員数は30人→200人以上と膨れ上がっていたものの、当初から残っていた人は役員クラスを除けば数人しかいなかった。ベンチャーの内部編成がありすぎて、またクビにしすぎたのと辞職が多すぎて上司は6回変わった。そして月に数回は片道100キロを運転して本社に通勤し、まだ片道100キロ運転して子供を迎えに行く。土日も働く。軽く見積もってすんごい大変な日々でした。時々更に遠い150km先まで通勤したよ。
最初の数か月のみ時短で、息子が生後6か月になるのを待ってフルタイム切替。
すっごいすっごい大変な日々でした。
大変なのは仕事だけじゃない。。。。
一番きつかったのは、夫が一切の庶務や雑事や外部交渉ができないってことだった。
住む家だってそもそも自力で探したし、車も探した。
不動産業者にいたっては、腰に手を回されるは、太ももはなでられるわ、アジア系女性は娼婦の代名詞といっても差し支えない国で、外を歩いているだけで何度も車で追い回されたり身の危険を感じることが多々ある中でこのサバイバルぶり。
家のエアコンが壊れても水道が壊れても何の修理が必要なっても、夫は一切放置で、俺は知らないよしか言わないだから修理業者は探すところから始め、何度も当日ドタキャンや理由も言わず来ない人たちに対処し、ほとほと疲れた。来たら来たで、修理業者に家の中で「今は一人なんだろ。」みたいに迫られたりするのを、回避しながらなんとか修理にこぎつける大変さ。
子供の医者や学校やすべての手続きはギリシャ語を自動翻訳しながらこなし、夫はギリシャ語の書類を受け取ったら私の机に置いておくだけ。Google翻訳で訳しきれない部分を日本人の先輩ママたちに助けてもらいながら、こなす日々。
小児科医からは子供の言語発達が遅すぎると叱られ、もっと子供に注力しろと言われ、たまに訪れるドイツでは舅からは、いつになったらドイツ語をやるんだと言われる。
頼りにしているメイドにもしょっちゅうドタキャンされ、目まぐるしく毎日が過ぎていく。
そんなクソな毎日が過ぎていく中でさ、近所の人からはいつになったらギリシャ語しゃべるんだと笑いながら冗談めかして嫌味を言われても、愛想笑いしながら内心「冗談じゃねえよ。」て思ってた。いや、内心痛いところをつかれたと思ってるんだけど、どうにもならんのよ。
しかももしギリシャ語頑張ったら、もっともっとずっと長くキプロスにいないといけなくなるかもしれないと思うと、自分で自分の首を絞めるような気がして、とても頑張る気にはなれなかった。
これさ、本当に難しい問題だけど、「いつまでここに住むのかな。できれば違うところに行きたい。この国から脱出したい。」て思っててもさ、実際はなかなか言えないじゃん。付き合いもあるしさ、ここに住んでいる人の機嫌を損ねたくないし、言って誰が得するのかって問題もあるし。
でも鬱々と「いつまでこんなに苦しいんだろうか。この国にいるからこんなに苦しいんだ。」て内心分かっててさ、その国の現地語やる?????やるわけないよな。無理よ。
自己責任っていっても、家族はチーム戦。
自分の気持ちだけではどうにもならないことも多々。
じゃあ嫌だから離婚するんですか?別居ですか?て話ですよ。
そんな簡単に離婚できんわ!!!
夫が「いいか?ドイツに行ったって生活が楽になるとは限らないんだぞ。僕の仕事だってどうなるかわからないし、君は一定期間無職になって、今よりもずっと貧乏で辛い生活が待ってるかもしれないんだぞ。」て半ば脅されて、渋々従ってたんですよ最後数年間。
ドイツからみたら微々たる給料でも、私たち夫婦のキプロスの額面収入は現地の人よりはずっとあったんだよね。。。だからそう脅されると踏み切れなかった。
ええ、すんごい恨んでますよ。一生忘れねー。
最後、私が会社に解雇されたとき(つーか今まで解雇されなかったのがむしろ奇跡って感じだったけど)、夫に「また仕事探すよね?」て言われてプッツン来て、「いや別居しましょ。別居中の親権もいりませんわー。ハーグ条約もあるし置いていきますわ。あんたみたいに、稼げる分だけ稼いで仕送りするわ。無理はしませんわ。すぐに日本に帰りますね。ええ、ハーグ条約で子供を人質にとれると思ったでしょ?それがね、もうどうでもいいんだわ。愛想が尽きたんだよね。」て淡々と話して1人分の日本行きの片道航空券検索してたの。そしたら翌日夫から「ドイツへ引っ越そう。」て言ってもらったんですよね。
まぁ、それが私がギリシャ語やらなかった、いえ、やれなかった理由です、ハイ。
一方あなたはどうだろうか。
ドイツでの暮らしで大変なことに直面していないだろうか。
嫌なこともたくさんあると思うし、毎日の生活の中で神経をすり減らしてないだろうか。
ドイツでドイツ語以外の戦いをしているんじゃないだろうか。
例えばなんだけど、まずドイツに暮らしていて、ドイツがあまり好きじゃないと思った時点で、その人は樺太のような寒さの地で育つヤシの木みたいな状況であることを忘れてはならない。
寒さに震えながら、枯れないように一生懸命一生懸命生き延びようとする。
毎日だけで相当疲れると思う。
もうそこで生きるエネルギーのその5割ぐらいは使われているんじゃないかな。
その他にも他の人からは見えない、ありとあらゆる困難を抱えていることだって往々にしてあると思う。
私がドイツ語頑張れたのは成果が可視化されて、なおかつみんなが褒めてくれたから。
キプロスではあれだけ死ぬほど頑張ってもみんなにもっと頑張れ、努力が足りないと言われた苦しい日々を考えると精神的には本当に楽だった。
みんながポジティブに励ましてくれるだけで、勇気百倍です。
そういう前提があるからこそ、私の勉強の過程を見てショックを受けたり落ち込んだりしてる人を見るとそんなことないよ、充分頑張ってるよ、戦ってるよ、自分を認めてあげてほしいと言いたい。
そうじゃなきゃ、過去の私も成仏できない。
そんなこんなで、ここのサイトには、勉強の方法を載せるとともに、自分の就活の過程を書いていこうかなと思っているけれど、まずメンタル面が最も大事だと思っていて、あなたがドイツ語を勉強するのが気が進まない、やったほうがいいけど、と思っていても実行に移せないならば、今は実行に移さなくたっていいし、なんならずっとやらなくてもいいと思う。
なぜならば、あなたには違う戦いがあるから。
目に見えて、社会的に評価される内容も大事だけれど、あなたの価値はそんなことでは揺らがないから自分自身の心を大切にしてほしい。
尚、本題から離れるけれど、キプロスでは楽しかったこともいっぱいあったし、ものすごく沢山助けてもらったこともたくさんある。特に日本人の先輩ママたちにすっごくすっごく助けられたし、他の日本人の友達も日頃から気にかけてくれて、救援物資をくれたり家具をくれたり、声をかけてくれて、彼らの優しさがなければ頑張りぬけなかった。私がこういうネガティブなことを書くことで、彼らの親切さが霞んでしまわないか、彼らが気を悪くしないかはいつも気になっている。もしこれを読んでいる私のことを知ってるキプロス在住の人がいたら、ありがとうと1000回言いたい。
おしまい。