猫の終末期(延命治療)について
終末期に入った猫の治療については、考え方が様々だと思います。
自然に任せたい方、高度医療を望む方、緩和ケアを望む方等、
飼い主さんによっても、猫ちゃんの容体によっても千差万別です。
以前ある獣医さんのブログに気になる記事がありました。
「獣医師としての経験上、終末期に入った猫に点滴や強制給餌などの
延命治療をすると苦しんで亡くなるが、全く何もせずに自然のまま
見送ると静かに亡くなる。猫は死の準備の為に自ら飲食をやめるから
延命治療はしない方が安らかに死ねる。」
…という内容でした。
この獣医さんの経験ではそうかもしれませんが、うちで看取った
11匹の子達はいずれもこの獣医師のケースに該当しませんでした。
延命治療をしなかった子がツラい状態で亡くなったこともあるし
長期間の延命治療をしても穏やかに亡くなった子も居ます。
延命治療の有無だけで簡単に決まることではありません。
中でも一番大きな違いは、終末期と判断された子が復活するケースです。
病状を改善させる治療が全て無くなり、自力飲食もできず寝たきりになり
終末期と判断された子がうちには6匹いました。
無理な延命をするつもりはありませんでしたが、少しでも補助したくて
点滴や強制給餌等で自宅治療を続けたら、その内5匹は自力で飲食が
できるようになり、自力で歩き、普通の生活ができる迄に回復しました。
病気が完治した訳ではないので、復活したあと3~6ヶ月後に
亡くなりましたが、家族にとってこの3~6ヶ月はとても大きな宝です。
終末期を自然な形で迎えることも、飼い主さんが我が子のために
決めたことなら、その子にとって最良のことだと思います。
高度医療にかけて可能性を追求するのも、それも最良のことです。
私は不治の子には苦しみを緩和することをメインに治療してきました。
治療による効果より、その子にとってストレスの方が上回った場合は
その治療はやめる判断をしています。できるだけストレス少なく
苦しみが少なく、でも出来ることがあるならやってあげたいという
気持ちで11匹の子を看取ってきました。
看取りの選択は様々です。良いも悪いもありませんし正解もありません。
その子を思って懸命に看護することは、どんな方法も素晴らしいです。
どんな選択をしても亡くなった後、飼い主は悔やみます。
でもそれは深い愛情があればこそだと思います。