虹の橋を渡る3日前の奇跡
これまでに11匹の猫を看取ってきました。
私は自宅で治療(投薬・点滴・注射・検査等)をしますので、
終末期(ターミナルケア)は特に、できるだけ猫本人の苦痛を和らげ、
ストレスを軽減し、自宅での自然な生活を保てるよう努めます。
最期は自力での飲食も排泄も出来なくなり、寝たきりになる子も
少なくありません。終末期は最期の瞬間まで24時間体制で看護します。
いつ亡くなってもおかしくない状態の子達が、亡くなる3日前に突然、
奇跡的に元気になります。全身動かせなかった子が、自力で上半身を
起こしたり、自力飲食ができなかった子が、少量ですが自分で
食事をしたり、痛み止めを打ちながら、痛みと闘っていた子が、
リラックスしてあくびや伸びをしたり…。
でも奇跡の翌日には元の状態に戻ってしまい、みんなその後、
2日以内に亡くなってしまうのです。
3回目の死別までは、この奇跡を回復と勘違いし、大喜びした後で
深い悲しみに陥りました。4回目のお別れの時に初めて、3日前の奇跡的な
回復は、猫達からの最期のプレゼントだと思うようになりました。
それ以降、3日前の奇跡の後はお別れが近いと覚悟し、更に注意深く
看護できるようになりました。
ターミナルケアでとてもしんどい状態の子達が、私達家族にくれる
最期の元気な姿は、とてもとてもとても大切な思い出となっています。