言葉って。

言葉の力を思い知る時

 言霊という言葉は、皆様御存じだと思う。
 言葉が持つと言われる、得体の知れない、霊的な(と書くだけで、途端に胡散臭く感じるのは何故だろう?)力なのだが。
 例えば「死ね!」などと罵声を浴びた時(浴びた事の無い人は幸せである)に、本当に死んでやろうか、と思ったりするのは、これ言霊の力である。
 SNS等の誹謗中傷コメントは、かなり強力な言霊として残る。なにせ、本人か運営が消してくれるか、いっそSNSのサービス自体が消えるまでずーっと残りやがるのである。たまにおられる、誹謗中傷で活動(創作だけに限らず、生命活動すら)を辞めてしまう方は、本当に気の毒だと思う。それだけ感受性豊かな方が居なくなってしまうのは、勿体ない事である。
 暗示も、言霊の力を借りたテンアゲ法と言えるのだろう。
「俺はできる、俺はできる、もっと熱く生きろよおい!!」
 と、まあ何か違う物が混ざったとしても、それはそれで。
 で、これもまた逆の物があって。
「俺はダメ人間だ、駄目だ駄目だ……」と唱えるだけで、とことん堕ちていけるもんで。自分は人生後ろ向き全力疾走を自覚しているので、少し落ち込むだけでこういう状態になれるのだが、たとえば上司に罵られて、こういう状態に陥った場合は厄介。
 これはいじめの現場でも同じ……というか、まあ職場のパワハラでありいじめであり、精神的な傷害事件なんだけども。言う方は、あくまでも「良かれと思って言ってやった」という、実に押し付けがましい、めんどくさい、俺様な考えの元に行動してらっしゃる事がほとんどで。言われる方に原因があるという、迷惑千万な考えを持っていらっしゃる。


わざと怒られるようにやってるんだろう」と言う人もいる。んなわけねえだろうと。そんな人は、よほど精神的マゾヒズムに満ちあふれていらっしゃる奇特な方であろうさ。こちとら一般人、言われれば言われただけ、叩かれれば叩かれただけ面白いように凹んでいく人間なのだ。「そんなやつの気持ちなんかわからん」とおっしゃるが、それはこっちも同じである。他人の気持ちも慮らずに、好きなことを言い散らかせるヤツの気持ちなんざ分からんのだ。


「言い返せばいいじゃん」と言う人もいる。んな事ができるくらいなら、ここで愚痴を書き散らすことなんざ無いのであるよ。ここで言い返したら、百倍になって帰ってくるんだろうなーと思った時点で貝の口、なかなか開かなくなるのだ。言った後の立場とか、状況とかを想像できる時点で、なかなか突撃できないのでありますよ。

 弱いものの立場を考えろ、なんて言っても、強いものにそんな事が分かるわけがないと思わないかい?金持ちに、貧乏人の暮らしを想像しろと言っても無理だと思わないかい?

 話がずいぶん逸れたように感じるけども、強ちそうでもない。言霊の力と、実際の権力、立場、性格は、その強さが比例していくものである。ポジティブな人間の言葉は人を強くできる、暴力的な言葉は人を自殺に追い込むこともできる。悲観的な言葉は、内へ内へと心を堕とすし、楽観的な言葉は人を怒らせる……って、最後のは若干違うけども。

 結局、言葉は人の心に深く刺さるって意味でも、心の傷は治らないっていう言葉は、とても真を突いているなっていうお話。

初秋、2日連続でクソ早朝から出張仕事をこなして帰ってきて、早く帰りたいのに書類に苛まれる悲しさから逃避しながら。

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