短編小説:健常者とかいう異常者どもへ。
親愛なる健常者諸君。ボクは異常者だ。
正常とされるキミたちの感覚に於いて、ボクの言動は理解が及ばないことが多いだろう。
他人の気持ちは理解できず、空気は読まない。遅刻はするし、提出物の期限は守れない。
総括すると、常識がない。
そして、それがよくないことだと言い聞かせても、改善することができない。もしくは、しようともしない。
控えめに言わずとも、異常だと認識してもらって構わない。
ただ、ここで少しだけ考えてみてほしい。
本当に異常なのは、ボクだけなのだろうか。
☆
言葉の真意を汲み取ることが、ボクは得意ではない。
健常者が「今日はオレのおごりだ」などと大口を叩こうものなら、何食わぬ顔でその店で一番高いものを注文し、誰とも共有することなく一人でバクバクと食べ尽くしてしまう。
しかし、ボクは自分からそいつに対して同じように「今日はオレのおごりだ」などと大口を叩くことは決してしない。
なぜなら、ボクはおごりたくはないからだ。
ちなみに、ボクがよいと思ったものを与えることはある。意気揚々とクソほどデカいスイカを真冬の駅前で仕事終わり、疲弊したそいつへ満面の笑みで渡してやる。
もちろん、袋に入れるなんて気の利いたことはしない。ボクがそうしたいと思わないからだ。
そんなことを繰り返していると、いつしかそいつはボクにおごることをやめてしまう。
ボクからすればイチがゼロになっただけなので、なにも構うことはない。そう思い、飄々としている最中
そいつは、ブチ切れるのだ。
「お前は他人の気持ちがわからない」
「何かして欲しいわけではないけど、その態度はおかしい」
「常識知らずだ」
などなど。
非常に不可解である。
おそらく、そいつはボクにお金がないことや最近仕事がうまくいっていないことを慮ってくれていたのだろう。
しかし、何かして欲しいのであれば、そう言えばよいのだ。言わずともわかってもらえるはずないのだ。もし察してもらえなかったとしても、それは当人のやったことなので、怒りの矛先を相手に向けること自体が不思議だ。
世間ではこれを「思いやり」と言うらしい。
つまり皆、エスパーなのである。ちなみにボクは金もなければ、超能力もない。この世界に超能力者は存在したのだ。そのへんにたくさん。
皆が夢見たSFの世界は、太古より世界に存在していたのだ。
こう述べるとよく出てくる反論の一つとして
「もしお前が同じことをされたらどう思う?」
というものがある。
もちろん、ボクもブチ切れる。
自分が同じことをされたとき、ブチ切れるとわかっているから、そうならないようにボクは他人に何もしないのだ。
つまり、ボクは他人の気持ちをしっかり理解した上で行動している。
ので、ボクは至って普通なのである。
☆
「ヘリクツ抜かしやがって」
「発達障害で悩む人たちにシツレイだ」
「ただのワガママだ」
ワタシはこの文章を読んで、このような感想を抱きました。
貴方はどうでしたか?
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