Don’t call me “美女”(請不要叫我美女)
台湾で飲食店のホールスタッフの仕事に従事したり、日本に戻ってきてからホテルのフロントスタッフとして働いた中で、未だにどうしても慣れないというか、頭では理解できてもどうしても腹落ちしない中華圏の方の慣習がある。
『美女(měi nǚ)』と呼びかけること。読んで字の如く、美女を表す言葉。
お店のスタッフさんや街角で知らない人に何か尋ねる時、私たち日本人が『すみません!』とか『お姉さん!』と言って呼びかけるのと同じ具合で。
ちなみに男性に対しては『帥哥(shuài gē)』と呼びかける。意味はイケメン。
台湾で働き始めて間もない頃、私はその慣習をまだ知らなかった。
お客様に『美女!點餐!(お姉さん、オーダーお願いします!)』と言われた。
1回目;私が呼ばれてる訳ではないと解釈し、スルー。
2回目;美人のスタッフ(私以外は皆、美形だった)の手が空いていないか確認しに行ったものの、皆、電話対応や配膳で忙しい。
3回目;流石に申し訳なくなって『真抱歉!我並不是美女,但其他的員工都忙,我可不可以服務你們?(本当にごめんなさい、私は全く美人ではないんですが、他のスタッフが皆忙しいので私が対応してもいいですか?)』と神妙な面持ちで謝罪・お断りを入れたところ、皆さん大爆笑なさいました。
『不是這個意思啊!你超可愛喔!(そういう意味じゃないよ!あんためっちゃ可愛いね!←これは私の顔面に対しての評価ではなく、言動に対しての評価)』
こんなお言葉を頂戴し、皆さん楽しんで下さいました。一緒にビール飲もうよ!とお誘いいただき、自分1人で5本瓶ビールを開けたことでオーナーから売り上げ貢献だと褒められたり、また1つ生きた外国語を学べて嬉しい気持ちになった。
それと同時に『私、自覚あるブスなのに、これから美女と呼ばれて図々しく返事していいんだろうか?文化の違いとはいえ、何だか申し訳ない。いっそのこと、おいブス!とか呼ばれた方が気が楽なんだけれど…』といういわゆる“外見至上主義社会での弱者“独特の複雑な感情を小脇に抱えながら生きていく日々の始まりであった。
台湾でのワーキングホリデーを終え、もうすぐ10年が経つ。
帰国後はホテルや販売などの仕事に就き、インバウンドのお客様とお会いする機会は多かった。台湾からのお客様に特化した会社で働いていた訳ではないのに、不思議なことに台湾からのお客様にお会いする機会に恵まれた。
その度、やはり『美女』と呼ばれる場面も少なからずありました。
やっぱり、慣れない。
『美女って呼ばせてごめん、私ブスなのに』
この申し訳なさは親身になって応対すること、お客様が求めていらっしゃるサービスを十二分にご提供することでご勘弁いただいている。
我開始學華語這麼多年,而且在服務業接待台灣,中國,香港,還有從其他的國家來的華僑的經驗也不少。
但,我沒辦法習慣上有一個事情,就是在餐廳,飯店,還有街頭上等等大家要問別人某個事情的時候,先叫她“美女!”。
我們日本人的文化上,沒有說“美女”,直接說“不還意思!”或“小姐!”。
在台灣的餐廳,我剛開始上班的時候,有一位客人跟我說,”美女,點餐!“
但,我以為他叫的不是我,其他的女員工。而且,除了我之外,大家都長得很漂亮。
那位客人再說了一次,我去找她們,不過大家很忙不過來,我不敢請她們幫忙。
客人說了第三次,我想讓客人等這麼久,著急得告訴他們,“真抱歉!我並不是美女,但其他的員工都忙,我可不可以幫忙你們?”
他們一聽了這句話,就大笑得說,“不是這個意思啊!你說得超可愛喔!”
以後,他們開開心心得吃飯,也請了我5瓶啤酒!
我非常高興看到他們享受大餐的樣子,也我學到了在課本上沒有的華語。
不過,那時候我想一想,我長得這麼糟糕,但大家叫我“美女”。
我心裡面覺得真的不好意思。
從台灣回來以後,過了差不多10年了。
搬到名古屋以後,我當了飯店的前台小姐。有時候去百貨公司打工,推銷有些商品。
我遇到了不少台灣旅客,有些旅客叫我“美女”那時刻,我一定覺得“我是個醜女人,還是你客氣的叫我美女,真抱歉。”
我的心裡面總是複雜也覺得抱歉,所以我專心接待客人,認真服務客人來消除複雜的感情。