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【体験談】元エホバの証人2世がメデイア報道を受けて感じた事

私は、元エホバの証人2世で、0歳から18歳まで18年間在籍していました。
今回、いわゆる宗教2世問題で、エホバの証人の事もだいぶ取り上げられていますので、報道見ていて感じた事、また、率直に自分の意見を書かせて頂ければと思います。

まず、私はエホバの証人を恨んでいる訳ではなく、批判するつもりは全くありません。
ただ、幼少期から大人になるまでずっとエホバの証人という生き方をしてきましたので、当然普通の子供ではありませんでしたし、それによって大きく人生を左右された事は間違いありません。

今回の報道で、「輸血拒否」「虐待」という2つの事が大きく取り上げられていますが、私の感覚からすると、その2つはどうでも良いものでした。
本質はもっと深いところにあります。

基本的に、エホバの証人の信者達はすごく良い人達です。
言葉もやわらかいですし、いつも笑顔で接してくれます。
また、某教団のように、寄付を強制する事もなく、「王国会館」という信者が集う場所の一箇所に、寄付箱が置いてあるだけで、あくまでも自主的な寄付のみでした。
私の感覚だと、寄付自体は凄く少なかったように思います。

まず、私がエホバの証人を離れる18歳までに、やらなければ駄目だった事、やってはいけなかった事がどれだけあったか、また、どんな思いだったかについて書かせて頂きます。

まず、この18 年間やらなければ駄目だった事は、
毎週月曜日の19時から20時までの1時間、集会に参加。
(勉強会など)
毎週木曜日19時から21時までの2時間、集会に参加。
(王国会館で勉強会など)
毎週土曜日、午後から、家族で聖書の勉強1時間、伝導活動1〜2時間、夜は、翌日の集会の予習2時間。
毎週日曜日9時から11時までの2時間、集会に参加。
(王国会館で勉強会など)
毎週日曜日午後から伝導活動1時間から2時間。
※夜の集会の日は、集会中に居眠りしないように学校から帰ってすぐにお昼寝をさせられます。

また、小学生高学年〜中学生になると、担当の信者がつき、1週間に1回個別で勉強会があります。
その他、年に数回「大会」というものが開催され、数千人から数万人規模の集会に参加します。
1日で終わる大会もあれば、4日ほど続く大会もあり、毎年夏休みは、3泊4日ほどでどこかに行っていた記憶があります。
平日に行う大会もありましたので、その時は学校を休む必要があります。
(休まなければいけない説明を、先生に説明するのも訓練)

そして、やっては駄目だった事。

いわゆる一般のお祝いごとやお祭りは全てNGです。
全て宗教が関わっている、との見解からだと思います。
よくある学校のイベント、例えば、七夕集会、クリスマス集会、誕生日集会では、その場で参加する事がNGだった為、皆から離れたところで見学していました。
あと、鯨の肉を食べる事が禁止されていましたので、小学校の給食で出てきた時はいつも泣いてました。
先生に「鯨肉はサタンやないぞ!」と言われながら。

また、戦いごとは全てNGでしたので、そういった格闘系のTV番組、アニメを見る事も駄目です。
なので、私はガンダムやマジンガーZを知りません。
また、地域のお祭りに参加する事も駄目ですし、神社やお寺へ行く事、お墓参りもしては駄目なのです。
「明けましておめでとうございます」という挨拶も駄目ですし、乾杯も駄目です。

テレビの中のタレントやアイドルを応援する事も、偶像崇拝になる為NGです。

私の時代は、大学や専門学校に行く事の禁止、また、高校も商業科や工業科が推奨されていましたので、物心ついた頃から、近くの商業高校を出て就職しなさいと言われていました。

中学に入ると、ほとんどの人は部活動に入りますが、部活動をする事すら禁止されました。
私はスポーツが得意で物凄く好きでしたので、本当は野球部かバレー部に入りたかったのです。
でも、どうしても何か部活に入りたくて親を説得し、エホバの証人の活動に支障のないものであれば良いと言われ、比較的ゆるい吹奏楽部に入りました。
集会や伝導活動などで早く帰らなければ駄目な日は、「塾」という嘘をついて帰ってました。
2年生からは、どうしても運動部に入りたくて、他の信者の人には内緒という体でバスケットボール部に入りました。
それも、バスケットがしたかった訳ではなく、弱いチーム且つ、ゆるくて帰りやすかったから選んだだけです。

そして1番きつかったのは、中学校の「剣道」の授業に参加できない事、高校の「柔道」の授業に参加できない事
1番多感な時期に、体育の先生にその説明を自分でしに行かねばならず、また、体育の授業を見学する事によって友達から距離を置かれる事に繋がりました。

あと、もちろん恋愛はNGですし、そういった話をする事も駄目です。
音楽もクラシック以外を聴く事は禁止されていました。
※高校になると内緒でバンドを始めましたが。

ざっと、やらなければ駄目だった事、やっては駄目だった事を書きましたが、これを幼稚園、小学生、中学生、高校生とやってきた事考えると、「虐待」の問題など、本当にどうでも良かったです。
親に叩かれるなんて事は、別にその時我慢すれば良いだけで、そんな事辛くもなんともなかったです。
「輸血」の問題もそうです。全く現実的な事として捉えられなかったです。

それよりも、休みの日に友達とは遊べず、学校の行事も参加できず、楽しそうなお祭りにも行けず、親戚と墓参りも行けず、部活動もできず、集会や伝導活動に行かねばならず、剣道、柔道の授業を見学しなければならず、大学に行けないのに勉強はさせられ、とにかく制限だらけの毎日がとにかく苦痛でした。

私の親は、物凄く熱心な信者という訳ではなかったので、多少大目に見てくれる部分はありました。
それでもこの縛られた生活は苦痛でした。

私は、高校3年生の途中から、徐々にエホバの証人から離れていき、社会人になってから完全に離れました。
しかし、やっと開放!という訳にはいきませんでした。

まず、生まれてからまともに世間とコミュニケーションせずに生きてきたので、様々な事に悩まされました。
信じられないかもしれませんが、日曜日の過ごし方もわからなかったのです。
日曜日は1週間で1番嫌いな曜日でしたので、数年の間は日曜日が来る憂鬱さのようなものがありました。

また、誕生日やクリスマスなどをやった事がなかったので、彼女ができた時何をすれば良いのかわからなかったり、また、それを祝う行為に罪悪感を抱く事も多くありました。

ただ、それより自分を苦しめたのは、エホバの証人の教えで1番軸となる「ハルマゲドン」というワードでした。

エホバの証人の組織から離れてエホバを背く行為をすれば、近い将来訪れる「ハルマゲドン」で滅ぼされるというものです。

小さい事から、教団の子供向けの書籍などで、ハルマゲドンで滅ぼされる地獄絵図のようなものをたくさん見せられ、その恐怖を植え付けられいるのです。
私はエホバの組織を離れて30年以上経ちますが、未だにこの恐怖は残っており、時々苦しめられます。

宗教2世というのは、自らの意思でその宗教に入った訳ではなく、あくまでも、親がやっているので仕方なくやっている為、親ですら一切わからないそれぞれの苦しみや闇を抱えています。

私は、今でも時々考える事があります。
もし、エホバの証人ではない、普通の家庭に育っていたなら、今どんな大人になっていたのか。
大学に行っていたなら、、スポーツをしてたなら、、そんな妄想をかなりしてきました。

そして、そんな過去を埋めるべく、社会に出て苦しみながらも、自分のやりたい事をできるだけするようにし、今の自分を作り上げてきました。

私は今とても幸せな日々を送ってますし、ここまで書いておきながらエホバの証人や、親に対して何も恨んではいません。
なぜなら、皆、それを本当に信じてますし、それが1番の幸せで、子供を大事に思っているからこそ子供にも自分のように信じて欲しいと願っているからです。
私はそこに悪意は何も感じていませんでした。

ただ、そういった状況で育った事へ、行き場のない憤りはあります。
それはもうどうしようもないのです。

でも、今、若い2世達で苦しんでいる人がいるならば、それは放っておけない事だとも思います。

それは、宗教が「輸血」を認めるとか、「寄付」をなくすとか、「虐待」をなくすといったもので解決するものでは決してありません。

時間、食べるもの、交友関係、聴くもの見るもの全てにおいての制限がどれほど子供を苦しめているか、差別され、いじめられているか、それを理解できるかどうかです。
幼い頃から植え付けられてきた教えから、完全に離れる事はもの凄く難しいですし、社会人になってからの何かしらのサポートは必要かと思います。

そこに私ができる「何か」があるならば、取り組んでみたいと思います。

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