Ave Mujica『ELEMENTS』考察チャレンジ その①



1.はじめに



「早めに更新しよー」とか言ってたのにこれ…全然遅い…でも他に考察やってる人いないっぼいから結果的に一番早い考察になるかもしんない(笑)
あ、最初に言っとかないとなのは私は「『バンドリ!』に関しての知識がほぼ無い(ゲームもアニメも未履修)状態」であるということ。あくまでも作詞者であるDiggy-MO'のいちファンとしての考察に過ぎないよってことですね…なので『バンドリ!』及びAve Mujicaファンの方には物足りないところもあるかもしれないです。すいません。
※残り3曲の考察はDiggyの全曲解説後になった為答え合わせ的なものになりました(笑)
良かったら合わせてお読みください。


2.5曲のテーマと関係性

10月2日にリリースされるAve Mujicaのミニアルバム『ELEMENTS』に収録されてる5曲は今年4月から5ヶ月連続でリリースされた5曲をまとめたもの。
アルバムタイトルが『ELEMENTS(元素)』なのでお分かりかもしれないけどこの5曲は5つの元素をテーマにしてるんだよね。でも現代で言うところの元素とは違うよね?じゃあこの元素ってなんなんだろ?
今みたいな『元素』が発見される前、昔々の人達はこの世界のあらゆる物質は『火・空気(風)・水・土』という4つの元素の組み合わせによって作られているって考えたんだよね。これを
『四元素説』て言います。古代ギリシャで広まった説だけど、これを更に進化させたアリストテレスの説はヨーロッパに広まってスコラ学とか錬金術の基礎になってくんだよね。

「ん?ちょっと待って?四元素って…じゃあ5曲目はなんなの?」

てなるでしょ?
最後の曲だけ「Symbol』付いてないし…
一体『Ether(エーテル)』って何なの?ていうとこれもまたアリストテレスが唱えた宇宙空間を満たす元素のことなんだよね。
今だと宇宙空間は真空(つまりは何も無い)状態だということはわかってるけど「いやいやだって星が見えるってことは『光が通る物質で満たされている』ってことじゃない?」て考えたのがアリストテレス。で、この宇宙空間を満たす元素の事を『エーテル』と名付けたわけ。

てことでこの5曲がアリストテレスの『四元素説』を元に構成されてるってのは間違いなさそう。
だけどそれだけじゃないんだよな…というのはタイトルについている『Symbol』の存在。
例えば『Symbol Ⅰ : △』は「シンボル ワン ファイアー」と読むけど、『火』を「△」という記号で表すのは錬金術なんだよね。
なのでアリストテレスの『四元素説』をベースにしながらそれに関連する錬金術の世界も取り込まれてそうだなー、というのは間違いなさそう。


3.『Symbol Ⅰ∶△』


さっきも書いたけどタイトルは「シンボル ワン ファイアー』と読む。つまりこの曲は『四元素』の『火』に関する曲ってことだね。
『四元素』の『火』はどんな特徴があるのかな?ということで大幅なズルしちゃいますがwikipediaさんに解説してもらいます…

他の3元素より微細で希薄な元素で、自然な状態では全元素の上に位置する。対極は水。生成や消滅の終焉する先であるため、火には絶対的な軽さが生じる。光と熱と電気は分けて考えることが難しかったため、その3つの象徴的な支えであり、エーテル流体という実体の観念に対応する。同時に物質を構成する究極的な微粒子の運動という観念にも対応する。熱く乾いた元素で明るさ・軽さ・多孔性という二次性質を与えられる。空気をも浸透する力によって自然界を還流し、冷たく凝り固まった元素を解きほぐし、混ぜ合わせる。その熱で物質の成熟や成長を可能にし、水・土の冷たさと重さの影響を軽減する。

錬金術における火の記号 △ は、炎が燃え上がり、先で終わっていることを示す。上昇・成長・膨張・侵入・征服・怒り・破壊などを暗示し、女性的な特徴を持つ水に対し、男性的な激しい気質を象徴する。

さて、じゃあこの曲の歌詞はどんな感じなのかな?
てことでこちらをご覧ください。



どうでしょうか…?
なんかまぁ火のイメージは伝わってくるんだけど…結構具体的な描写が出てくるよなぁ、と。
『焼けてくロザリオ』『煌めくロザリオ』とか栄光から奈落に突き落とされた人の描写のような気がするんだよねぇ…
て色々調べてくうちに思ったのが「これ、ジャンヌ・ダルクのこと歌ってるのかも…」てこと。
ジャンヌ・ダルクってどんな人なのかざっくり説明すると、まずフランスはイギリスと約100年戦争をするんだけど、その中でフランス国内でもイギリス側に付く人達が出てきてイギリスにフランスの王位継承をさせようという動きがあったんだよね。そんな中で「フランス王室のシャルル王太子に会いに行き、フランスの為に戦いなさい。」という神の啓示をうけたのが農民の娘だったジャンヌ・ダルク。
その啓示に従いシャルル王太子に謁見、それまで弱腰だったフランス軍を鼓舞し大胆な作戦を成功させてシャルル王太子に王位を継承させることに成功。その後もフランスの為に戦うもイギリス派の人達に捕らえられ、異端裁判で有罪判決を受け火あぶりに…。でも彼女の死の3年後、復権裁判で無罪が証明され名誉は回復されたのでした。めでた…くはない(笑)
『焼けてくロザリオ 逆巻く炎』(磔にされたジャンヌの目の前には本人の要望で十字架が立っていた)、『神の唯一の過ち』(異端裁判での判決)、『煌めくロザリオ 導く者』(神の啓示によりフランスを勝利へと導く者)、とかは割とわかりやすくジャンヌ・ダルクを表している部分かなーと思う。
『咽せ返る薔薇の楽園』て何かなーと思ったんだけど、赤い薔薇というのはキリスト教では殉教の象徴でもあると…『決まるこの心 いざいま ゆくだろう』は過去の殉教者達の魂に触れて自分も殉教者として死ぬ覚悟が決まったてことなのかな。
『西の城壁』がマジでわからないんだけど…絶対なんかあるはずなんだよなぁ…悔しい…
錬金術の『火』の特性は男性的とされてるけどジャンヌは男装で戦い名声を得て、男装を異端として裁かれ命を奪われた人なのでガールズバンドが歌う『火』の象徴としてはもってこいの人なんではないかな。
ちなみにジャンヌに神の啓示を伝えたのは3人の聖人と天使なんだけど、そのうちの1人天使ミカエルは四大天使の中で『火』に対応する天使とされているのでここも無関係じゃないかなーと…


4.『Symbol Ⅱ∶🜁』


もうお分かりかと思うけど読みは「シンボル ツー エアー」、つまり空気(風)についての歌だね。
またもやwikipediaさんに解説をお願いします…

揮発性の象徴であり支えである。対極は土。自然な状態では火の下・水の上に位置し、比較的軽い元素である。基本性質は熱・湿で、物質に多孔性・軽さ・希薄さといった二次性質を与え、上昇できるようにする。

錬金術における空気の記号は火を止めたり中断させることを示す。どこまでも上昇する火に対し、気は一定以上上昇することはなく火の力を和らげる。また空気は液化することによって水分を生じさせる。

空気…ちょっと解説短くないか…(笑)

じゃあこちらの歌詞はどうなってるのかな?
確認してみましょ。



なんかこう…めちゃくちゃ力はある。嵐とか呼べちゃうし何にでもなれちゃうのに主体性が無いっすよねぇ…そんでもって命令された事を結構ノリノリでやってるけど虚しさは感じてる、と…。
うーん、こんな人いるかねぇ…となったんだけどいたね。人間ではないけど。
さっきの四大天使みたいに精霊にも四大精霊というのがあって、そのうちのひとり『シルフ』は風の精霊。普段は目に見えないけど姿を表すと少女のような容姿だそうな。風を操って嵐を起こすこともできる。ただとても純粋な為にそれが裏目に出て悪魔に使われてしまうこともあるらしい。
このシルフという精霊は度々小説の中にも出てくるんだけど、中でも有名なのはシェイクスピアの『テンペスト』に出てくる『エアリアル』なんじゃないかな?
テンペストの主人公プロスペローは実の弟の策略によって娘と共に島流しに遭うんだけど、そこで出会ったのがエアリアル。魔女に幽閉されていたエアリアルはプロスペローによって助け出されて、その事に恩義を感じてプロスペローの言うことは何でも聞いちゃう。
嵐を起こしてプロスペローの弟が乗った船を遭難させちゃうし、プロスペローへ恨みを持つ者の復讐計画を阻止したりする。でも実はプロスペローの妖精使いの荒さにウンザリしてたりする(笑)
で、このエアリアルだと思って読むと結構当てはまるかな?と…
『この風が そう嵐を呼ぶわ』(エアリアルがプロスペローの弟が乗った船を遭難させる為に起こした嵐)『私を奏でる誰かの言葉』(エアリアルを自身の復讐の為に操るプロスペローの言葉)『まだまだよ まだね まだまださ まだ 何度でもkissをする 色のない私』(プロスペローの復讐の為に自分を押し殺し黙々と任務を全うするエアリアル)みたいなね?
でもこれは決定的じゃない?と思ったところがあって、
この大地にあるものはすべて消え去ると からがら あなたならあらためるかしら』
ここ、プロスペローの台詞の「この大地にあるものはすべて、消え去るのだ。そして、今の実体のない見世物が消えたように、あとには雲ひとつ残らない。私たちは、夢を織り成す糸のようなものだ。そのささやかな人生は、眠りによって締めくくられる」にガッツリ寄せてるよね?
この台詞はプロスペローが敵である人物と和解し、その息子と自分の娘の結婚を認め、魔力を手放しエアリアルを開放した時に言ってるんだよね。てことはエアリアルは「いずれプロスペローが復讐心から解き放たれ自分を開放するのではないか」という希望を持ってるんじゃないかな。
復讐心に取り憑かれる前のプロスペローは善良な人で、エアリアルは自分を幽閉から開放した時のまだ復讐心に取り憑かれる前のプロスペローを信頼し、いつか元の彼に戻ってくれることを信じながら心を押し殺して彼の復讐の手伝いをしていたんじゃないかと…。
音的にもだいぶ軽い感じしてたけどこうやって読み解いてみると歌詞の内容は割と重ためだね…(笑)ちょっと意外だったわ。


5.ひとまずまとめ


いや、もうここまでの時点で4000字超えてしまったので(笑)とりあえず今月はここまでで締めさせてください…申し訳…。

さて、最初にこの5曲がアリストテレスの『四元素説』をベースにしながらそれに関連する錬金術の世界も取り込まれてそうだなー、て話をしたけど、2つの曲考察をした時点で新たな共通点が見えてこない?
それは『テーマとなる元素のイメージに合う有名な女性(表象)を描写している』てこと。
てことはあとの3曲もその可能性あるよね…
これは今後の考察の重要な糸口になりそうな…

来月こそは早々に他3曲の考察上げられるように頑張りますので…!しばしお待ちを…!

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