【サッカー育成の心理/物理学 Vol.13】学習と育成への問題提起
こんにちは!
これまで、
①問題提起:サッカークラブやサッカースクールだけでは上手くならない!?
②サッカー上達のためのフィロソフィー(プレーモデル)
③準備運動の大切さとフィジカル向上
④ボールの種類と場所の大切さ
⑤インステップキックのコツ
⑥インサイドキックのコツ
⑦テクノロジーの利活用
⑧トラップ
⑨ドリブル
⑩リフティング
⑪サッカーグッズ
⑫ゴールキーパー
を連載してきました。
今回がサッカー経験のない親御さんに向けた連載の最後になります。
最後は「学習」と「問題提起」についてです。
■学習
DAZNのコンテンツの内田篤人さんのFootball Timeを良く見ています。
彼の経験や知見から多くの気付きを得ることができます。大学生や小学生と一緒に練習をして、練習方法などの紹介も参考になります。
最近の放送で小学生向けに指導する回があったのですが、最も印象に残ったのは「ちゃんと勉強してね」というアドバイスでした。
私自身はJのユースチームに所属していました。幸い、勉強は嫌いではなかったので、Jユース所属でなくなった後も、大学進学などで
猛勉強はしましたが、無事第一志望の私立大学法学部に合格できました。
Jユース後の進路として、肌感覚では「①トップチームとプロ契約(同学年15人中1~2人)※」「②他のチームとプロ契約(レアケース)」「③大学への推薦の進学(ほとんどがこのケース)」「④一般入試」「⑤その他(引退し、就職など)」が挙げられます。
※大学進学後にプロになれるケースもある一方で、高卒でプロになったとしても20歳でプロを諦めるというケースも多いです
つまりほとんどが進学を選択することになります。学力を見る大学(慶應義塾大学のAO入試や指定校推薦、筑波大学など)もあれば、そこまで重要視しない大学もあります。
重要視しない大学への進学は気を付けなければいけない要素があります。それは大学でサッカーを必ず続けなければいけないこと。
大学生になると様々な面で個人として活動する必要がでてきます。また、怪我や経済的要素、そして様々な誘惑で状況が変わってきます。
サッカー推薦の枠ですと、部活動を続けることが前提となりますが、人間関係含め、難しい可能性もあります。
そうなった場合に、「本人」-「サッカー選手」とした場合でも、何かが残っていないと19~20歳の「既に成人」として厳しいでしょう。
※そのレベルで頑張っているので、多くのコンピテンシーは育っているとは思います
Jユースの例を取りましたが、サッカー選手である要素は人生の中で限定的ですので、それ以外の人生の準備を常にしておくのが望ましいと感じています。
好きなことはとことん伸ばすというのは賛成である一方で、それ以外への好奇心や基礎学力という点も意識するのが良いです。
当然ですが、小学生年代のコーチはそこへの意識は希薄でしょう(ちゃんと勉強しろよ!というアドバイスはくれますが、実践への伴走はないでしょう)。
少しサッカーから離れますが、基礎学力の根本的なトレーニングとして「主に母語による読書」「コミュニケーション(母語+外国語)」「算数・数学」が良いと考えています。
理科や社会と広がりそうですが、この辺は興味や好奇心によるものが大きいと考えています。ただそれを学ぶためには基礎ができていないと難しく、それが故に小学校では理科や社会は3年生から始まるのだと納得しました。
「勉強しなさい!」と子どもに言いたくなる親御さんは多いと思います。ただそれだと「何をやるのか、いっぱいやらなきゃいけないのか」と漠然としています。
それよりもあまり負荷のない範囲で1日にやる範囲を決めて、取り組むのが良いと思います。また楽しい工夫も必要ですね。
以下に、私の娘(現在、小学4年生)と取り組んだ内容がありますので、参考になれば幸いです。
小1の息子も娘ほどのペースではないとしても、伴走して基礎学力の定着を図っていきたいと考えています。(残念ながら現在の公教育では十分とは言えません)
■問題提起
全部で13回になりましたが、これで一旦連載は終了となります。
日本サッカーの強化にほんの少しだけでも繋がれば、幸いです。
最後になりますが、最近感じていることを記載します。
それは現在の小学生のサッカーに関する環境です。
息子は現在、市内の多少強豪と言われるチームに所属しています。ただしそのチームはセレクションなどはなく、地域のお子さんを受けれ入れています。
上限もあるのか良く分かりません。ですので、指導の際の基準ができる子、できない子と同一となっています。
恐らく多くの小学生年代のチームが同様なのではと感じています。広く子どもを受け入れる。
ただし、これは本当に良い状況なのかと感じ始めています。レベルにあった指導を選べる環境がほぼ皆無と言えます。
Jのアカデミーやほんの一部の強豪だけがそうした環境を小学生年代では採用しているのみで、選択肢が十分だとは言えません。
何が言いたいのかと端的に言えば、「①レベルにあったチームの選択」「②柔軟な移籍システム」「③レベルに応じたリーグ戦の仕組み」の提唱です。
①レベルにあったチームの選択
上手い子だけの話ではありません。柔道だと思えば分かりやすいのですが、体格や技術が大きく異なる子どもで練習をしているようなものだと捉えています。
その場合、双方にとって理想的な練習環境とは言えません。柔道であれば個の要素が強いので、同じチームでも可能でしょうが、サッカーですとそうもいきません。
同レベルの子どもの方が練習効率や強度、効果は高いと思います。それぞれのレベルに応じた環境を用意できないものでしょうか。
※人口が多い都市だけが可能なのかも知れませんが
②柔軟な移籍システム
最近はBチームで登録するなど、かなり試合経験を積める環境が整ってきました。技術は試合で生かすためにあるとフィロソフィーでうたいましたが、
試合をやって成長できると感じます。実践経験が積みやすいチームに移る仕組みの柔軟さが求めらます。
③レベルに応じたリーグ戦の仕組み
試合の結果を見ていると、大差の点差がつくケースが小学生年代であります。よく日本代表がアジアの最終予選の前で同様の試合を行っており、
強化への問題となっていますが、育成年代(小学生)も同様と言えます。大差のつくゲームはお互いにとって時間の無駄であり、それよりも有効な時間の使い方を考慮した方が良いと思います。
同じくらいのレベルのチームを集めたリーグ戦を用意し、かつ②の移籍により、チームの昇降格に合わせて個人単位の昇格(場合によっては一個レベルを下げてより実践経験を積む)という仕組みが必要だと思います。
これはエリートの話だけではなく、ちゃんと子どもがサッカーと言うスポーツを楽しめる(人によって定義は違うと思います)環境の整備が必要ではないでしょうか。
コーチの指導方針やチームの考え方に合わなかったとしても環境を変えることが可能になります。
この辺の考え方が正しいのか否かをいくつかの国をまわって検証したいと思い始めました。
来年以降、欧州のいくつかの国を回り、U12くらいの育成環境を視察したいと思います。