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【息子のサッカーを見て、見えてきたこと Vol.26】「日本はバルサを超えられるか」(著:村松尚登、小澤一郎)を読んで
こんにちは!
10年ほど前に出版された書籍「日本はバルサを超えられるか」を読みました。恐らくこれで3回目の読了です。
著者は2人で、1人は松村さんというサッカーの指導者でFCバルセロナの日本スクールを運営している会社の代表の方です。
もう1人は記者(Periodista、ペリオディスタ)の小澤さん。最近ではDaznの解説など幅広く活躍されています。
お二人ともスペインで活動をされていたという背景があり、主にスペインと日本の育成(小学校~大学、プロまで)をテーマに熱く持論を展開されている良書です。
現在FCバルセロナ(バルサ)は少し一時期の勢いを失っていますが、依然として下部組織は世界最高の水準を維持しています。
また、スペインもアンダーカテゴリーは継続して結果を残しており、良質な選手を輩出し続けています。
印象に残ったポイントを紹介します。
■6-3-3-4制とのギャップ
我が国のスポーツが学校教育と密接に結びついてきて発展してきた過去があります。それはサッカーだけでなく、他の多くのスポーツも同様ではないでしょうか。
特に団体スポーツはその傾向が強く、サッカーはJリーグが始まってから、その傾向を弱めてきた稀有な例と言えます。
ただ未だに学年や学制による縛りが多く、●年生だからとか●学生だからと言う発想に縛られているケースが多く、個々の選手を見た育成にまで結びつけられていません。
また、ここ10年くらいで小学生の試合が8人制に移行していますが、小学校低学年では多過ぎると感じています。
村松さんも低学年であれば、4-4が妥当ではと指摘していますし、前に元ブラジル代表のエジミウソンさんも、U-8のカテゴリでは3-3や4-4と仰っていました。
当たり前ですが、人数が増えるほど複雑性はより高まります。複雑な事象を捉えるためには論理力や計算力が必要となりますが、
小学校2年生の子どもには難解すぎると言え、結果的にどうなるかと言うと、単独でのドリブルの突破力がある子どもが勝つサッカーになります。
また、中学校3年-高校3年という2カテゴリーも制約が大きいと言えます。特に高校1年生の壁です。高校1~3年で見た時に、まず体のサイズや筋肉量など大きな差があります。
もちろん技術的にも多くの1年生の子がまだ3年生に劣ります。レベルが高ければ3年のトップチームに出れるかも知れませんが、ある種飛び級している稀有な例だと捉えています。
中学生~高校生に上がる際に受験のため中断しているケースも多くあります。こうした状況の改善が求められます。
■文武両道の意味
文武両道について、「スペインではサッカーと学業は全く別物と考えられている」という記事がありました。クラブ主体のスペインや欧州では当たり前の考え方だと思います。
一方、日本のスポーツ界ですと、スポーツ推薦で学校に入ると言うのが、運動が得意な子にはメジャーになっていると感じます。その際に学力が勘案されるケースは限定的で、
スポーツの成績に左右されることが多いと感じます。
以前の記事でもスポーツだけでない学力を伸ばすということに言及してきました。
サッカー選手やスポーツ選手であったとしても、そこからスポーツ要素を差し引いた際に残る「人間力」「学力だけでない考える力」は重要だと感じます。
外国語を話す力(主に英語になるかと思います)だけでなく、言語を使って論理的に考える力(言語力)、数字を操って論理的に考える力(数学力)、発想や創造などのアートの力を基礎として興味(社会科学、文学、自然科学、何でも良いと思います)を持ちアンテナを張っていく、それは多くの子どもにとって重要な力だと定義しています。
スポーツ選手(プロだっとしても10年できるかどうか)はいずれ引退がありますので、それよりも圧倒的に長い人生をどう有意義に送れるかに着目する必要があります。
残念ながら、元Jリーガーがネガティブな要素で報道されるケースを見ます。日本に限らず、欧州やアメリカ(4大スポーツ)でも引退後のキャリアの難しさ(アルコール、ドラッグ、離婚、破産など)が存在します。
まだ仕組みの改善の余地が多くあるという面において伸びしろは大きいと言えます。ただし、仕組みの変更には多くの時間と労力が必要であり、この課題をリーダーシップをもって解決できるか(そして少子化と言う大きな問題もあります)が重要なポイントとなります。
既に出版されてから10年近くが経過していますが、この10年で大きく変わった状況もあれば、まだ変わっていない(改善の余地が大きい)課題も多くあります。
興味を持たれたら、ぜひ一度目を通してほしい良書です!