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#15 「ぜひ紹介したいお店があるんだ」

今から紹介するお店は、

いずれ美容室を出したいと心のどこかで思っている、私の憧れのお店。

#14 に載せた『私にとってのアナザースカイ』と同じくらい
帰りたくなる、会いに行きたくなる場所。

それは富山県 氷見市。

父親の実家がそこにある。

幼い頃、毎年お盆に帰る楽しみといえば

埼玉から深夜の高速に乗ってサービスエリアに寄りまくり、

季節限定アイスを片っ端から食べまくり、車で8時間かけて到着。

おばあちゃんのお出迎えと同時に聞ける
「スイカ食べられ」
の言葉。

待ってました!

いつも聞く富山弁が好きで、

「『スイカ食べられ』っておばあちゃんに言われたら、返事は富山弁で何ていうの?」

って父親に毎回聞いてた。

...富山弁での返事の仕方は、何度聞いても無かった。笑

トンネル越えれば、どこまでも広がる海。

後ろ振り向けば田んぼ、畑、山。

最高っ!

行くのは決まってお盆過ぎだけど、海に入らないと気が済まなかった。

そしていつもクラゲに刺されるのが怖かった...
きっと海のどこかにサメもいるし、足に絡みつく海藻にビビりながらも

カモみたいな泳ぎ方で必死に浮き輪につかまる私。

懐かしい...

ほぼ小学生の頃の記憶だけど鮮明に覚えている。

水は美味しい。
魚は新鮮。
山に登ればたけのこ取り放題。

…思い出に浸り過ぎて道が逸れそうなんで戻りますが、

そんな最高な富山で、紹介したいお店。

そう、親戚に美容室....

では無く、

飲食店をしているおじさんがいる。

「しげはま」

どうして有名になったのか、お店に行くとサイン入りの色紙や写真が並んでる。
幼かった頃の自分は、バシュッ!っと書かれたそれが
誰のサインなのか全然分からなかったけど、

苦手な魚もしげはまだったら食べられた。

父親は決まってしげはまのおっちゃんの雪の日の自慢話をする。
店に迷惑になるお客さんが来た時に
土下座して帰ってもらったことがあると。

私が働いてきた環境で土下座してでも帰ってもらいたかった人に
出会ったことがない。
まただいぶ飲食と美容室では違うかもしれないけど。

髪の毛を切りに来てくれてる人にとても恵まれていると、いつも思う。

歳を重ねるにつれ、富山には
おじいちゃんおばあちゃんのお墓参りは出来ても

親戚みんなでしげはまに食べに行く機会が少なくなってしまった。
しげはまのおっちゃんも世代交代もした。

だけど今もずっしりと、どっしりと構えるしげはまの佇まいは

とてもかっこいいし、TVで富山や寒ブリが特集されれば
大体しげはまが映ってる。

どうしてそんなお店の作り方ができるんだろう。

長く愛される店と、環境の変化に飲み込まれてしまう店。

飲食に限った話ではない。

店を出したいと思っている、私の憧れのお店。

今の年齢になったからこそ、世代が交代しても

引き継がれていく味、お店の構え方、受け継がれる心を感じながら、

今度はしげはまのカウンターに座ってみたい。

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