#3「美容師になったきっかけ。」
進路は、体育の先生・建築士・美容師の3択だった。
特別上手いとかではないけど、中学の頃から部活はバスケ部で、バスケが大好きで大好きで、ずっと身体を動かしてたかった。
そんな中学時代の快適な髪型を作ってくれてたのは、初めて一人で行った地元で噂の美容室。
なんか私が話すと、いつもハサミを止めて笑ってくれるそのおじさんがとても大好きで、シャンプーをしてくれるお姉さんがとても可愛くてシャンプーも気持ちよくて、そんな空間が大好きだった。
こんな仕事があるんだな。
初めて大人の仕事に興味を持った瞬間だった。
それから高校になり、部活は続けるものの引退も迫り、いよいよ進路を決定させなくてはならなくなった。
(体育の先生なら、生徒と一緒にスポーツしながら遊べるよな。
けどマット苦手だし、ナメられそうだな…。)
保留。
もう一つ、図画工作が好きだった私は建築の模型図がめちゃくちゃ興味をそそられた。姉がなんかの課題で家の模型を製作していたのを見たのもあったからかもしれない。
(めちゃくちゃ面白そう…。)
ただ、建築士で食っていけるイメージが難しくて一番保留。
最後、あのおじさんが頭に浮かんできた。
(人をこんな風に喜ばす仕事かぁ…。)
バスケバカの頭を悩ませたその3択の選択肢は、
(一生やる仕事だろ〜…
せっかく人間に生まれて来たんだし、一番小さい子からお年寄りまで関われる仕事につこう。)
という基準だった。
そこから辿り着いた答えは明確だった。
高校生の自分よ、あなたの選択は間違い無かったよ。
自分の人生でこんなにも沢山の人と出会えて、笑って、過ごせているのは美容師で無ければあり得なかった。
ありがとう。
お婆ちゃんになっても続けたいと思えてるよ。