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娘の欲望との向き合い方に脱帽した!

「ねえ、ポケモンのフラペチーノ買って!」

「ファミマでポケモンのフラッペを売ってるんだって」
「絶対欲しい!」

数組の親子が集まった食事会。
ポケモンにハマっている子どもたちが、どこかから手に入れた情報に熱くなっている。

子どもたちは欲望に対して真っ直ぐに突き進んでいく。
各親にべったりと張り付いて「買って買って」攻撃をけしかける。

「今日は買わないよ」
「えー、なんで」

僕は娘がねだっても、よほど理由がなければ買わないことにしている。
「なんで?」と娘に聞かれれば「買う理由がないから」と答える。
スクールで必要だとか、誕生日だとか、何かのご褒美だとか、ここでしか手に入らないからとか。僕は、買うには「欲しい」以外の理由を求める。

ちなみに、僕と妻ではこの「欲しい」への価値観が違う。
ポケモンをねだるなら、僕じゃなくてママにねだったほうが、買ってもらえる確度は高くなるのだ。

娘だって、そんなことは100も承知している。ただ、この場にはママがいないのでとりあえず僕にねだっているのだ。

よほど欲しかったのだろう。
娘にしては珍しく3回ほどねだってきた。

でも、ねだる回数で僕の意思決定は変わらない。

食事会も終わり、子どもたちは近くのファミマへ駆け込んでいく。
買ってもらえるかどうか、現場で最終交渉に入るのだろう。
その姿を見て「ああ、みんなが買うなら買ってあげるかな」と思った。

友達がみんな嬉しそうにフラッペを飲んでいる中、娘ひとりだけ我慢させるのは、さすがに可愛そうな気がしたのだ。

ファミリーマートの方へ向かおうとすると、娘が手を引っ張った。

「なに?」
「わたし、行かない」

ファミマに行かず、帰ろうと言う。

「いいの? 行かなくて?」
「だって、行ったら欲しくなっちゃう。我慢するのは無理」

おっと、行ったら買ってあげそうになってたなんて、口が裂けても言えない…。

「じゃ、帰ろうか」
「帰ろう!!」

娘は元気いっぱい、バイバイをして歩き出した。

自分が欲しいと思った物と、どう向き合うかはすごく大事なことだと思う。
世の中は魅力的な物で溢れているんだから、なんでもかんでも買っていたらきりがない。

でも、自分の中に芽生えた欲望の気持ちに、気合だけで打ち勝つのは大人だって難しい。セールに行けば、いらない物までついつい買いすぎてしまうなんてよくあることだ。

そんなとき、欲望に近づかないと言うのは自分を律する最善の戦略かもしれない。

「(ファミマに)行っちゃったら、絶対我慢できない! でもさ、パパは買わないでしょ? 行かなかったら我慢できるから行かない!」

娘は一緒に歩きながら、自分の戦略を嬉しそうに教えてくれた。

こうした戦略を自分なりに持っておくことは、きっと将来役に立つ。
娘が自分で、自分なりの工夫を考えたことが、僕はとても嬉しかった。

「ママ、ポケモンのフラペチーノ欲しい!」
「いいよー、ポケモンのかわいいよね」

1日我慢して。
ママに交渉して。無事に欲しかったポケモンのフラッペを手にした娘。

あっという間に完食して、満足げ。
美味しかったね。

では、また。


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三木智有|家事シェア研究家
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