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対話の選択肢(手札)を増やすための流れ。

小学生のA君とB君が喧嘩をしていた。
どうも、A君が調子にのってやり過ぎてしまったのが喧嘩の原因のようだ。でも、A君は絶対にそれを認めない。以前にも同じようなことが何度もあったのに、A君に何と言えばいいんだろう?

そんな話を妻としていた。
細かな子どもの性格やなんかは、一旦置いておいて、どう対応するのがいいのだろうか。

どうも、ケンカのキッカケはやはりA君にあるようだ。だがA君にしてみれば、そのキッカケのキッカケがあり、自分ではなくてB君が悪いとのこと。

例えばこの事例が兄弟だったら、どうするだろうか?
B君がお兄ちゃんだったら「あなたがお兄ちゃんなんだから、ガマンしなさい」と言うだろうか。

それとも、明らかにケンカの原因であるA君に「あなたが悪いんだから、謝りなさい」と言うだろうか。

もしあなたが教師で、自分の暮らすの男の子達のケンカだった場合はどうするだろうか?
どうしても非を認めないA君に、何としても非を認めさせようと説明を繰り返すだろうか。
目撃証言を周りから集め、状況証拠を固めてA君にわからせるだろうか。

原因の追求か、未来への対話か

こうした答えのない問を、夫婦で思考実験するのが好きで、よく遊び半分で話をする。

何度も同じようなことを繰り返すA君に対して、本質的な原因の理解や、他責グセを何とかして直してあげたい、と言うのが妻の考える対話のゴール設定だった。

対して、ぼくは原因の追求よりは関係の修復方法を学んで欲しいと思った。


主観の世界に白黒つけて正義を決めるよりも

A君は何度も同じようなミスをしては、自分の非を認めない、他責してしまうクセがある。
問題は、本気で自分は悪くないと思っているのか、それとも言い逃れで嘘を付いているのか。

ここはA君からじっくり話を聞いてみないとわからない。もしも言い逃れで嘘を付いているのなら、自分の非に気がついていることになる。だったら自分でそれを受け入れられるようになることも、大切なことだろう。
ただ、本気で自分は悪くないのだと思っている場合もある。
いずれにせよ、原因の追求事態がそんなに重要なことではないかもしれないと思った。

主観の世界に白黒つけて正義を決めるより、ふたりがこのケンカした状態からどう関係を回復させていくのか、その方がふたりのためになるかもしれないと思ったのだ。

対話の中で、「A君が悪い!」「B君が悪い!」と言う話を何度も繰り返すだろう。過去に向きがちな子どもたちの視点を、どうしたら未来へと向けられるか。
これが、子どもたちとの対話の上で重要なポイントになる気がしている。


「問」で対話の方向を定めていく

ぼくは子どもと対話をするとき、親として、大人として、この対話の行く先をどの方向に向けたいのかを、意識するようにしている。

誘導ではなく、強制でもなく。
ぼくはよく「問いかけ」という形で、思考のベクトルを定めていく。

「どうすれば、ふたりは楽しく遊べる?」
「ふたりは仲直りをしたいのかな? したいのだとしたら、自分が何をしたら仲直りできると思う?」

思いつきだけど、こんな問いかけを繰り返すだろうか。まぁ、いつだって子どもとの現場は熟考の余裕なんてない。ただ、いくつか問を投げかけているうちに、うまく行けばうまい具合に対話の方向性が定まってくる。

問を繰り返しながら、この対話を通して子どもたちに考えてもらいたいことを考えてもらう。

相手に向いているベクトルを(あいつが悪いんだから、あっちが謝るべきだ)自分に向けさせること(自分が何をするべきか)。

相手を言い負かしたり、白黒つけて勝ち負けを決めるのではなく、今後のためにいま何をするべきかを考えさせること。

この2点が、この場合ぼくが大切に考えることだと思う。

もちろん、何が正解かなんて答えはない。
でも、たまにこうして自分の子どもに対する対話についてシミュレーションしたり、振り返りをしてみることは、子育てをするうえでメチャクチャ重要なことだと思っている。


子どもとの対話の選択肢を増やす

親だって、ひとりの不完全な大人でしかない。
振り返り、反省し、時にシミュレーションして、実際の対話のシーンで使える選択肢をいくつも増やしておく。

うまく行かないことが多いかもしれないけれど、対話への軸を決める手札が増えれば、少しは安心して対話にのぞめる。

原因の追求をするのか。
未来への対話をするのか。
「問」で話の方向を示す。
相手に向いてるベクトルを自分の行動に向けさせる。

例えば、今回の妻との対話だけでも、4つもの選択肢を得ることができた。
子ども同士のケンカだけでなく、大人同士の対話の中でもきっと使える選択肢だ。


子どもがケンカをしたり、問題を起こしたりした時。例えば夫婦で振り返りができると、子育てはいっそう親の学びへとつながっていくのだろうな。


では、また明日。



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三木智有|家事シェア研究家
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