一足お先に。さようなら幼稚園。
普段泣かない娘が、車の中でしくしくと泣き出した。
「先生のこと、思い出しちゃった」
助手席に座りながらつぶやく娘の顔は、後部座席に座っていたぼくからは見えない。でも、6歳の娘にとってこれは、きっとはじめての「さみしい」という感情なのだろう。
*
今日は、幼稚園最後の登園日。
明日には京都から東京へと引越しをするわが家は、一足先に卒園する。
3年間、車で往復し続けた坂道も、大きな風車のある園庭も、大好きな先生も、大切なお友達も。今日でお別れ。
「幼稚園終わっちゃうのいやだ」
朝起きるなり、そう言いながら妻に泣きついた娘。
「さみしい気持ちは、パパとママが全部受け止めるから今日は思いっきり楽しんできな」
妻がそう言うと、
「わかった!!!」
と笑顔でうなずき、元気いっぱいに起き出した。
今日は一日、思いっきり遊び回って、楽しんだんだろうな。
お迎えに行くと、変なガニ股ポーズをしながらふざけまわっていた。
園長先生、担任の先生、保育の先生。みんなに順番に抱っこされて。
お友達に「ばいばい!」とタッチしてもらって。
娘の愛されている姿に、胸が打たれる。
幼稚園に行きたくないと、泣きじゃくっていた時期もあった。
コロナで行きたくても行けない時期もあった。
大好きで、いつまで経っても帰りたくないって、お迎えに行く度に文句を言ってた。
この幼稚園に入るために、3年前、東京から移住までしてきて、本当によかった。
*
親が一生懸命育てなくたって、子どもはたくさんの人に育ててもらっている。
ぼくなんて、ただただ娘を見守っていたに過ぎない。
ただただ楽しく一緒に暮らしていただけ。
娘はいつの間にか、大きく成長していた。
*
先生たちとのさよならの瞬間は元気いっぱいで、笑顔いっぱいだったけど。
車に乗ってから、さみしさが溢れてきたんだろうな。
成長したからこそ感じるようになった、お別れのさみしさ。
さみしくて泣くことができる、というのは子どもの成長の証だと思ったら、さみしくて、悲しいのに、嬉しくてたまらなかった。
「こういうときは、思いっきり泣いたらいいよ」
運転席から妻がそう声をかけた。
娘は、思いっきり泣いていた。
では、また明日。
ーー✂ーー
👉 記事を書いてる三木智有ってどんな人?
👉 子育て家庭のためのお部屋のコーディネートに興味ある人はコチラ
👉 お部屋づくりのコツが知りたい方はこちらのマガジンをどうぞ
👉 人気の記事だけ読みたい、という方はこちら