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Photo by
soeji
娘からのバースデーサプライズ。
妻と娘がニヤニヤ笑ってる。
夕方。いつも夕飯の買い物をするスーパー。
ふたりはこっそりとなにかを囁き合うと、
「ちょっと買い物してくるから、それお願いね」と、スーパーのレジの列から離れていった。
レジを終えて出口にふらりと向かっていたら、ケーキ屋の前でふたりの姿を見つけた。
「買い物終わったよー。かえろーか」
ぼくが声をかけると、ハッと娘が振り返った。
「ちょっと! パパはこっち見ちゃダメ!」
ぴょんぴょんと跳ねながら、あっち行け、と大騒ぎする娘。
「ケーキなんか、買ってへんもんなー」
妻に目配せをしながら、ふたりはうふふと笑いあっていた。
娘は、ケーキなんか買ってないという自分のことばに興奮し、なんども繰り返す。
「ケーキ買ってへんけど、もしお家に帰ってケーキがあったらどうする??」
ぼくと妻に挟まれるように手を握りながら、娘はぼくを見上げた。
「えー? ケーキ買ってないのにケーキがあったら? びっくりするなー」
「ばばばばーん! ってビックリする?」
ばばびばーん、はよくわからないが、びっくりするよと言うとまた、ぴょんぴょん飛び跳ねながらよろこんだ。
「あー、はやくお家帰りたいねんなー。ぜったいパパびっくりするで!」
※※※
妻と娘が準備してくれた誕生日ケーキ。
「パパはぜったいチョコケーキ!」と娘がえらんでくれたらしい。
娘は、ぼくや妻の好みを驚くほどよく知っている。自分が好きなものじゃなくて、ちゃんと相手が好きなものをいつも考えてくれるのだ。
妻の手には買ったばかりの、大きな袋。中にはちゃんとケーキの箱が入っている。
さあ、家に着いたら「ばばびばーん!」ってびっくりしなくちゃ。
では、また明日。
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