「逃げてもいいよ」じゃなくて「逃げよう」と言って欲しい。
あれは確か、中学生のころ。
学校がまったく好きになれなかったぼくにとって、気楽に過ごせる唯一の場所が当時通っていた塾だった。
そこは個別指導塾で、部屋の中は机ごとにパーテーションで区切られていた。
そこでは、先生とマンツーマンで授業が進められる。
ぼくを担当してくれていたキムタク似のイケメン大学生の先生と、勉強とは関係のない他愛もない会話をするのが何よりも楽しかった。
大学の話、お互いの彼女の話、クラシック好きだった先生が熱く語る(けどつまらない)コンサートの話。中学生だ