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これって著作権侵害になるの⁉①~エディンバラ授業ノート#5~
前回の記事で、著作権には著作隣接権というものがあって、音楽業界を例に実際どのように著作権が使われているのかということについてお話ししました。
前回の記事を見て、「あれ、これって著作権侵害じゃないの?」と思い浮かんだケースがいくつかあるかと思います。というか私が思いました。
その「これって著作権侵害じゃね?」というケースをこの記事では見ていこうと思います。
Youtubeでの歌ってみた・演奏してみた動画
Youtubeで流れている歌ってみた・演奏してみた動画って著作権侵害になるんじゃないの?という点ですね。
前回の記事曰く、著作権には演奏権・録画権なるものが含まれているらしい。
歌ってみた動画って演奏権侵害してない?
しかもそれを録画してYoutubeという多くの人が見ることができる場所で発信しているのって、録画権侵害していない?
あとそもそも著作権の大目的である「著作者の意図しない形での流通を防ぐ」という目的に反していない?
という疑問が私の中で浮かびました。
ということで調べてみました。
そして答えてくれていました。
YouTubeなどJASRACが利用許諾契約を締結している動画投稿サービスにつきまして、動画の投稿者は一定の範囲内でのご利用であれば、JASRAC管理楽曲を含む動画を手続きなくアップロードすることができます。
どうやらYoutubeはJASRACと契約を締結しているからOKらしいです。
JASRACって何?って感じですよね。
なんか名前は聞いたことあるけど、実態をよく知らない、それがJASRAC。
正直私も知的財産権の授業を取るまではJASRACって何かちゃんと説明できなかったです。
「あの~、あれだよね、なんか、音楽のやつだよね」
って感じにすごくふわふわしていました。
今日がそのふわふわに終止符を打つ日です。
著作権管理団体について
前回、前々回の記事を読んで、著作権についてはわかったけれども、いざ著作権違反を避けるためにどうすればいいんだ!って思った方多いと思います。
「ミスチルの曲を歌いたい!でも桜井さんに許可を取ろうにも桜井さんの連絡先を知らない!どうすればいいんだ!」
こんな悩みを持った人は私だけではないはず。
しかしこれは逆の目線でも同じ困りごとなんですよね。
逆とはつまり、桜井さん目線でも、
「ある程度の範囲では曲使ってほしいけど、日本中から俺宛に問い合わせ来ても捌ききれんがな」
ということです。
使いたいけどどこに問い合わせたらいいかわからない人たちと、使ってほしいけどお金の徴収とか事務手続きとか自分たちだけではやっていけない著作者をつなぐ仲介役、それが著作権管理団体なのです。
JASRACは著作権管理団体の一つなのです。
正式名称は
日本音楽著作権協会
(Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers)
ということで、音楽関連の著作権を管理している団体、それがJASRAC。
具体的に何をしてくれるのかというと、著作者の代わりにライセンスの供与、ライセンス料の徴収をしてくれる団体です。また、無断利用をしていないかということを監視している団体でもあります。
一般庶民目線であれば、桜井さんに直接コンタクトを取るのは難しいけれども、JASRACに問い合わせてライセンス料を支払えば、Mr.Childrenの楽曲を使用できるというわけですね。
その支払ったライセンス料はJASRACの事務手数料を引いたうえで著作者に支払われるという構図になっています。
無断で使用している人がいないかというモニタリングも、桜井さん本人が世界中のネットワークに目を光らせるのは不可能なので、JASRACが代わりにやってくれているというわけです。
YoutubeはJASRACと契約しているからセーフだけど…?
本題に戻りますと、YouTubeはJASRACからの利用許諾を得ている、つまりYoutubeがJASRACにライセンス使用料を支払っているので、歌ってみた動画とかは基本的にセーフということになります。
しかし、全部が全部セーフというわけではないのです。
セーフになるためには以下の条件を満たす必要があります。
動画で使用する音源は自作したものか
動画で使用する音源としてMr.ChildrenのCDからそのまま使用することはできないのです。
なぜかというと、前回の記事でもお話しした通り、マスター音源の権利はレコード会社が持っているケースがほとんどだからです。
つまり、YoutubeがJASRACから許可されている権利は演奏権だけであって、レコード会社が権利を持っているマスター音源を使用する権利までは許諾は得ていないということです。
まあ普通に考えてCDの音源そのまま流していいってなったらMr.Childrenの全楽曲が無名ユーチューバーのチャンネルで聴けることになってしまうので、違法アップロードと同じことになってしまいますよね。
伴奏音源とかを別途自分で作成して演奏に使用するという条件を満たす必要がありそうです。
リアルタイム配信だけか
自作の音源を用意して、リアルタイム配信だけの演奏ということであれば、Youtubeでの動画アップロードの条件クリアになります。
リアルタイム配信ではなくアーカイブに残す場合、追加で別の条件を満たす必要があります。
広告目的ではないか
アーカイブでの配信も行う場合、広告目的ではないという条件を満たす必要があります。
ガイドラインを読む限り、何かしらの案件になっていないかということかなと思います。
商品やサービスの内容を知らしめるための動画の場合は広告目的の動画ということになります。
広告目的の動画内で楽曲を使用する場合は、別途JASRACと直接手続きが必要になります。
以上の条件をクリアしたら、晴れて歌ってみた動画をYoutubeにアップすることができます!!
しかもJASRACと個別のやり取りは必要ないということなので、よかったですね。
Youtubeさん、代わりにお金払ってくれてありがとう。
(これ以外に動画をアップするのが個人か否かという条件がありますが、Mr.Childrenの楽曲に限って言えば内国作品に該当するので、個人であるか否かはいったん飛ばしています)
カラオケボックスでの演奏
カラオケでの演奏って演奏権の侵害にならないの?
と思いましたよね。
それも答えてくれていました。
カラオケでの演奏に関わる著作権使用料はカラオケボックスがJASRACに支払ってくれているみたいです。
ここでもYoutubeと同じでJASRACが関係しているんですね。
ただ、Youtubeと異なるのは、カラオケの利用料金の一部がJASRACに流れる形なので、直接の著作権料負担者はエンドユーザーというところに違いがありそうです。
カラオケに行って歌えば、部屋代の一部が桜井さんに還元されているというわけですね。
でもまあ自分の家のお風呂で歌えば無料なのでカラオケに行って歌う理由はあまりなさそうです。
ちなみに、カラオケボックスがJASRACにお金を支払うのは演奏権の許諾を得るためで、曲のデータを配信している通信カラオケ会社(DAMとかを運営している第一興商といった会社)は、公衆送信権や複製権をもらうためにJASRACにライセンス料を別途支払っているようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1728389070-kFLQ5DZsVwPIxencypHidNv2.png)
https://www.jasrac.or.jp/park/procedure/procedure_p_3.html
演奏権:カラオケ店→JASRACに支払い
公衆送信権や複製権:カラオケ通信会社→JASRACに支払い
カラオケの音源データ:カラオケ通信会社→カラオケ店(導入システムによる)
さらにちなみに、カラオケ店がJASRACに支払うべき著作権料は定員に応じて下記のような形になっているようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1728388933-AhDvdCl8TQt3maiFKYbkPg4U.png?width=1200)
https://www.jasrac.or.jp/park/procedure/procedure_p_3.html
高いのか安いのかよくわからない価格設定ですね。
まとめ
今回の記事ではYoutubeとカラオケを例にとりつつ、何が著作権侵害になるのかということについて話しました。
YouTubeでもカラオケでも、著作権管理団体が重要な役割を果たしているのだとわかっていただけたかと思います。
今回の記事でもっと別の例も取り上げようと思っていたのですが、思ったより長くなってしまったので、次回の記事に回したいと思います。
次回、「結婚式のBGMどうすればいいんだ?」「路上ライブでコピーバンド演奏ってどうなん?」「ライブハウスでの演奏は?」の3本立てでお送りします。