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integral citation とnon-integral citationの違い~エディンバラ授業ノート#8~

今回の記事は2つのcitationの違いについて解説しようと思います。

前回の記事で、argueとclaimの違いについて解説していました。
こういう似た意味の動詞の違いを正確にとらえることができれば、論文を読むときには理解が早くなりそうですし、論文を書く時には読み手を混乱させないわかりやすい文章を書くことができそうですよね。


今回はそれに続くアカデミックライティングシリーズ第2弾です。

integral citationとnon-integral citation

皆さん、integral citation と non-integral citationって聞いたことありますか?
無いですよね。
私もスコットランドに来るまで聞いたことなかったです。
では少し質問を変えて、下記のような形での引用って見たことあるでしょうか?

① Smith (2020) argues that social media affects mental health.
② Social media affects mental health (Smith, 2020).

英語の論文を読んだことがある人であれば、両方ともなじみ深い引用の形式だと思います。
①は 筆者(引用する文献の年) argues ~ という形式
②は 引用したい内容(筆者, 文献の年) という形式になっています。
①がintegral citationと呼ばれていて、②がnon-integral citationと呼ばれています。
①がintegralと呼ばれている理由は、筆者の名前が文章の中に含まれている(文法上の役割を担っている)のでintegralと呼ぶそうです。

だからどうしたという感じですが、この2つの違いって何かわかりますか?

author中心 vs information中心

知らねえよって感じですよね。
①のほうがなんか文献の筆者の名前直接文章に出してるから、著者名が重要とかそんなんじゃないの。
とおもったそこのあなた、正解です。

integral citationは'author-prominetnt'と呼ばれていて、その筆者の意見に重点が置かれている場合に使用されます。
それに対してnon-integral citationは'information-prominent'と呼ばれていて、情報や研究結果そのものに焦点を当てたい場合に使用されます。

non-integralは背景共有

なんかまあ別にどっちを使ってもよくね?という感じではありますが、もう一つ大きな違いがあります。
それは、non-integralで引用された内容は正として議論が進む場合が多い。

あくまでそういう場合が多いというだけなので、絶対にそうというわけではないですが、ダグラス(アカデミックライティングの先生)はそう言っていました。
確かにnon-integralで引用する場合って、先行研究をまとめたり、背景情報を示す場合が多いですよね。そこをベースとして、特にどのトピックを議論するのかということがその論文の主題になるかと思います。
その主題の部分がintegral citationで引用されるケースが多いかなと。あくまで肌感です。
論文でメインでトピックにするところではないけど、前提として共有したいなって言うときにnon-integralを使って、読者の注目を集めたいところでintegralを使う、という感覚なんだと思います。

論文の目的は先行研究を踏まえてそれに対して反対の仮説を提示するか、そこからさらに発展させた仮説を提示するかの2つだと思います。
そう考えたときに、その論文内において反対もしくは発展される考えをnon-integralで引用してしまうと違和感だなというのはなんとなくわかる気もしますね。

補足:quotationとcitationの違い

ちなみに、quotationとcitationの違いを補足しておきます。
日本語で訳すとどちらも「引用」ですが、quotationは原文をそのまま丸々引用することで、citationは内容を要約したり言い換えたりした状態で引用することです。
quotationは、原文の特定の表現や言い回しに重要な意義がある場合に使用するもので、引用符で囲う物がquotationになります。
ダグラスからはむやみやたらに使うなという風に指導されました。

まとめ

今回はintegral citationとnon-integral citationの違いについて説明しました。
なんだそれはという感じだったかもしれないですが、これを知っていると、論文を読む際にどこが議論の焦点になるのかとかつかみやすくなると思うので、機会があればぜひ意識して見てみてください。

アカデミックライティングって結論だけ抽出したらすごく簡潔になる気がするんですけど、その結論に至るまでのプロセスをしっかりロジカルに組み立てていかないといけないので、いろいろと文章が付け足されていって最終的に読むのも書くのも大変になりますよね。
でもそれくらい自分の主張が「正しい」ということ納得してもらえるのって大変だってことですね。

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