前略 Kさま(4)
バレンタインデーなんて興味ない、みたいな顔をしていたあなた。
ガトーショコラを作ってプレンゼントしたら、無表情で全部食べたあなた。
普段から何を食べても「美味しい」と言うあなたが、本当に美味しいと思うときには無表情になることに気がついたのは、2度目にガトーショコラを作った時でした。
私が作ったガトーショコラを完食した後に、少し困ったように、自分のバッグから赤やピンク色の包装された箱を数個、私に差し出して「義理チョコなんだよ。食べるでしょ?」とあなた。
会社の同僚や取引先からの義理チョコを全部、私にくれたあなたの気持ちを、私は何となく分かっていました。
今年のバレンタインデーにガトーショコラは作りませんでした。
食べてくれるあなたに会うことができないから。
今年の義理チョコは、あなたが食べてくださいね。
草々
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