留学生の個性を価値に変える学校
「トモコの趣味は何ですか?」と、私の生徒に聞くとほとんどはこう答えると思います。
「ゴミ集め。」
正解です。笑 私は自分の家によく生徒を招待して(勝手に来ることも多々あるんですが。笑)みんなでご飯を食べたり、英語の勉強をしたりするのですが、私の家には「ゴミ」がたくさんあります。
こんな言い方をしたら本当にゴミ屋敷だと思われるのでそろそろ言い訳をすると、ビンテージやアンティークのモノや家具が好きで集めています。(もう少し柔らかい言い方するとガラクタ集めです)
ビンテージやアンティークって言い方をすると、とても聞こえがいいですが一歩間違うとただの古いゴミです。もう少し説明すると、私は「ゴミ」が好きなのではなくてゴミに埋もれてしまって見えなくなってしまった光る可能性を見つけるのが好きなんです。
だから私はアンティークとして既に価値を見出されたモノを売っている、アンティークショップで「ゴミ」を見つけるよりも、ガラクタ屋や場合によっては路上に捨てられているモノの中から見つける方が好きです。
ゴミ集めは宝探し
磨けば光る可能性をもつゴミは、それはゴミではなく、私にとっては宝物です。それはつまり、私にとっては価値があるということです。そしてあくまでも可能性なので磨くまでは宝物に変わるかはわかりません。
「磨けば光る可能性」というのは2つ意味があって、ホコリやサビをとって本当に磨いてきれいにすると輝く、という意味とインテリアとして自分の家に飾った瞬間にそのモノがもつ個性が発揮されて輝く、という意味があります。
私がゴミ集めがなぜ好きなのかというと、ワクワクするから。ゴミの中から磨けば光るかもしれない可能性を見つけることに、そして持ち帰って自分で磨いた後に実際に光り輝いた時、自分の見る目が間違っていなかったとわかった瞬間が最高に嬉しいからです。
つまり、私にとってゴミ集めは宝探しなんです。
モノもヒトも私にとっては同じ
これは実はモノだけに当てはまることではありません。私の働いているシドニーの語学学校ラ・リングアはヤンチャ経験者や、引きこもり経験者、発達障害を持つ方や精神的に不安定な方などなど、、、
つまり日本の社会では社会的養護や少し特別な対応が必要になる方を積極的に受け入れているちょっと変わった学校です。
なぜこういう方々を積極的に受け入れているのかというと、私がこういう人たちが好きだから。誤解をうむ可能性があるのであまりこのような言い方をしたくはないのですが、私にとっては、先に述べた「ゴミ集め」と同じワクワクを感じています。
人をゴミと呼ぶなんて、と言われるかもしれませんが、私が言っているゴミの定義は「人から、社会から、必要(価値)とされなくなった扱いを受けたモノ・ヒト」です。
その方自身が「ゴミ」と言っているのではなく、社会の中では”ゴミ”のような扱い(必要とされなくなった扱い)を受けているヒトのことを差しています。
個性を活かすためには適した環境が必要
大量生産の新しいモノと磨かれたゴミの決定的な違いは「個性」です。ゴミは基本新しくないですし、壊れてることもありますし、傷だらけですし、役に立たないように見えることもあります。
ただし、一つでもいいんです。何か一つでも「おもしろい何か」があれば。そこだけ磨けばいいんです。足りないモノに目を向けるのではなく、持ってるモノだけ磨けばいい。
もし「自分には何もない」、と言うのであれば「欠けている」からこそ必要になるスキルを徹底的に磨けばいいんです。
例えば、自分で何もできないのであれば、人に頼るスキルを磨けばいいし、コミュニケーションが苦手なのであれば、研究職や1人で発信するユーチューバーになればいい。
大切なのはとことん磨くこと。そしたらいつの間にかその人の個性になって目立ってきます。
ただし、ただ尖らせてもそれがその人の魅力になるまでにはもう一工夫必要になります。それは環境です。
私は大量生産で作られた個性のない、モノはあまり好きではありませんが、正直ゴミから磨き上げられた尖りすぎてるモノばかりでインテリアを固めてもお互いの個性がぶつかり合うだけで、一つずつが持つ良さが生きてこないんですよね。
ですが、IKEAや量販店で買ったあまり個性のない家具の中にゴミから見つけた個性たっぷりのモノを飾ると一気に最高に格好よく輝き出す。つまり、両方必要だと思っています。
ちなみに私は量販店で買う大量生産されたモノも使っていくにつれ、傷や劣化がいい味となり、個性になると思っているので全然アリです。(しかも安いのにカッコいいデザインもいっぱいある!)
モノもヒトも私にとっては同じ理由です。磨けば光る可能性を持つヒトだと思ったら私はモノと同様、徹底的に磨きます。
私のヒトの磨き方は徹底的なコミュニケーションから始まります。生徒によってはなかなか心を開かないヒトもいます。私のコミュニケーションは日本で児童養護施設で仕事をしていたときに施設の子どもたちによって教えられた方法です。
その基礎にあるモノとはRESPECT(リスペクト)。一人の人間として大切に扱うことです。フィルターをかけてそのヒトを見ようとせずに基本全受容して徹底的に寄り添う。
そして何よりもしつこさが大事。まずは自分の意見を言おうとするのではなく、信頼関係を築くことにとことん時間とエネルギーを使います。
時間はかかりますが、そのかわり一度築いた信頼関係は堅く崩れにくいです。
磨いて磨いて磨いた後には、そのヒトが持つ個性が最高に輝くであろう場所を与えます。そしたらそれまではゴミのように社会で埋もれてしまっていたヒトが「磨く+個性を生かす場所に置く」ことによって一気に誰にも真似できない魅力を発揮することができ、輝き始めます。
強烈な個性を最高に生かすためには、モノもヒトもやはり周りの環境がとても大切になってきます。
個性が生かされる環境に身を置くことでその人の個性が初めて「強み」として生かされ、そしてさらに磨くと「武器」へ、そして自分の「価値」へと変化します。社会で欲しがられる個性とは、それが社会から「価値」として認められなければいけません。
これからの時代に必要な人材を育てるラ・リングア
ただの「ゴミ」にアンティークとして高い値がつけられ、世に出るということは、つまりそのモノの価値が認められたということです。
AIを始め、テクノロジーがどんどん発達するこれからの時代、代わりのきく大量生産された個性のない人材は必要とされにくい世の中になっていきます。
ゴミ集めは宝探し。だからやめられないし、宝になる可能性を持つモノ・ヒトを見つけた時は興奮するし磨いていると楽しい。愛着も湧いてくるしとにかくワクワクする。
そんなガラクタだらけの私の学校ラ・リングアは英語だけではなく、「個性を価値に変えて」これからの時代に必ず必要となる人材を育てる、「世界一COOLな学校」です。