組織としての Canva for Education の導入について (2)メリット/デメリット
↓ の記事の続きです。
はじめに
わたしの所属する自治体が、組織として Canva for Education を導入したのは、2022年はじめのことでした。
この組織として導入した Canva for Education を、教員個人が申請して導入したものと区別するために、Canva for District と呼ぶようです。
その後、Canva for District を導入しようとしたときに、導入手順に変化が生じてきたのが、2022年 6月頃のようです。そのタイミングで、「単一校用」に加えて、「自治体・複数校用」が追加されたようです。
そんな状況なので、わたしの所属する自治体は、自治体に導入しているものの「自治体・複数校用」ではなく「単一校用」で Canva for District が導入されています。
教員個人が申請する場合は、異動にともなってチームの所有者を変更しなければならなかったり、チームに所属できる最大人数に制限があったり、と不都合な部分があるので、Canva を利用することの効果を確認できたのであれば、Canva for District で導入するのがいいと思います。
Canva for District のメリット
Canva for District で導入した場合、次のようなメリットがあると認識しています。
それぞれの教員(教師)が、教員個人として Canva for Education の利用申請をしなくてもよい。
(前項 1. にも関連するが)生徒についても、招待しなくてもすぐに利用できる。
組織として導入し、利用可能になっているユーザーはアプリランチャーから Canva が起動可能。
Canva for District であれば、チーム内の Canva の利用についてより細かな設定が可能。
チームに対する細かな設定
教員個人が申請した Canva for Education でも、チームの管理者は以下のような「アクセス許可」の設定が行えます。
上図のように、「アクセス許可」の画面で設定可能な項目にも、「Magic と AI」「Canva コンテンツ」が追加されていますが、「チームのコンテンツ」の部分も下図のように設定可能可能な項目が増えています。 ※「コンテンツの移行」以下の内容は、Canva for District で追加されている項目です。
生成 AI 機能の ON/OFF
Canva に実装されている生成 AI を用いた機能について、Canva for District であれば機能の制御が行えます。
マジック作文の使用は誰に許可されますか?
マジックデザインの使用は誰に許可されますか?
マジック加工の使用は誰に許可されますか?
マジック生成を使用できるのは誰ですか?
ドキュメントにマジック変換を使用できるのは誰ですか?
AIを搭載したアシスタントによるオリジナルコンテンツを作成できるのは誰ですか?
上記のような設定可能な項目が用意されていて、それぞれについて下図のように誰に対して当該機能を許可するのかを設定できます。
テンプレート機能
Canva for District では、ブランドキットと呼ばれるテンプレート機能が提供されています。この機能についての制御を「Canva コンテンツ」の項目で設定できます。
Canva for District のデメリット
前述のように Canva for District には多くのメリットがあります。デメリットと表現することを強いてあげるとすれば、
組織の管理者でなければ導入できない
ということです。
Canva for District は、Google Workspace for Education や Microsoft 365 Education といった教育用クラウドサービスの単位でしか導入できません。そのため、公立学校の多くは教育委員会単位で教育用クラウドサービスを設定していると考えられるので、その単位で導入しなければなりません。
ある学校だけ Canva for District を導入するということはできないのです。
教育委員会として導入したものの、「ある学校だけ有効にする」は可能。
私立学校でも系列校で同一の教育用クラウドサービスを利用している場合には、その単位で導入しなければならない。
教育委員会の理解を得なければならず、学校だけの判断では導入できないところが、もしかすると最大のデメリットなのかもしれません…
最後に
大きなデメリットというか、導入への大きな障壁があるかもしれませんが、それでも学校現場で Canva を利用するのであれば、Canva for District を設定するといいと思います。