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ミュージカル「ゴースト&レディ」~演劇を信じ生命を愛し

先日、劇団四季のミュージカル「ゴースト&グレイ」を観ました。

https://www.shiki.jp/applause/ghostandlady/

当日のキャスト


イギリスのドルーリー・レーン劇場に住み着くゴースト・グレイと、看護に自分の使命を見出したフロー(フローレンス・ナイチンゲール)が、互いに支え合いながら信念を貫く物語です。原作は「うしおととら」の藤田和日郎氏の「黒博物館 ゴーストアンドレディ」。

客席に入ると、ドルーリー・レーン劇場の緞帳がお目見え。(トプ画の写真)重厚感のある緞帳にはテンションが上がりますね。

幕が上がると、グレイが自己紹介と共にフローの物語を観客に語り始めます。劇場付きゴーストなので、グレイは芝居が大好き。随所にシェイクスピア作品の台詞が出てきて、演劇好きにはニヤリとさせます。
そんな彼に、「殺してほしい」と願う令嬢フローが現れます。クリミア戦争の従軍看護婦になろうとするも、家族にも婚約者にも大反対され絶望。グレイは一度は断るものの、フローの真剣な眼差しに根負けし、「絶望の底まで落ちたら殺す」という条件で彼女に憑りつきます。クリミア戦争の戦地へ赴きます。

真瀬さんのフローは、女性目線でも「カッコイイ!」と思わせる、芯の強さ。目立つのを苦手とするフローが偏見の目を跳ねのけ、自分の信念を貫く姿には、ボブやエイミーのように惹かれてしまう。女性らしい高音と、パワフルな歌声の使い分けにも痺れました。

そんなフローが唯一チャーミングな姿を見せるのが、金本さんのグレイ。飄々としながらも、彼女を見守る目には愛情深さを感じました。

そんな彼らの前に立ちはだかるのが、瀧山さん演じるジョン・ホールと、宮田さん演じるデオン。デオンについてはあまり触れられませんが、めちゃくちゃカッコイイです!あの衣装であれだけ動くのは最高ですね。

当時は貴族社会が強く、男尊女卑も残る時代。その中でもメディア(新聞)の力が台頭し、徐々に社会が変わり始めます。看護と衛生観念も同様に、フローの懸命な働きにより、重視されていきます。

スコット・シュワルツ氏の演出は、そんな社会情勢も見せながら人物たちの心情を鮮やかに表現。とくにイリュージョンや照明で見せる”生”と”死”の演出には驚きました。何度オペラグラスで確認したことか・・・

音楽周りは日本人が作っているので、音楽と歌詞のハマりが気持ちよかったです。ケルト系(かな?)の音楽など、多彩な音楽が使われていました。

フローとグレイが歩んだ先に見せたラストは、演劇を通して命の輝きを伝え続けた劇団四季らしいものでした。小さい子にはやや難しいと思いますが、家族や恋人・友達など、どんな関係の人とも楽しめる作品になってると思います。


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