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LLM留学で役に立った書籍

私は2021年7月から米国にてLLM留学をしておりました。今回はLLMの講義を受ける上で役に立った日本の書籍をご紹介したいと思います。これからLLM留学される方の参考になれば幸いです。

ちなみに私は日本の弁護士資格を持たず、学士卒、いわゆる純ドメ(日本生まれ・育ち、海外在住経験無し)でしたので、法律知識にも英語にも不安がある状態でLLM留学に臨んだ者です。以下の感想はそういった人間が書いているものとして読んで頂けると誤解がないかと思います。


アメリカ法判例百選 (別冊ジュリスト 213)

米国法はCommon Lawですので各講義も判例をベースに進むことが多いかと思います。少なくとも私が履修した基礎科目(憲法・民法・会社法)の講義では、判例の理解を通じて法理論を学びました。また恐怖のCold Call(講義で教授がランダムで学生を指名すること)になんとか心を倒さずに立ち向かいsurviveするためにも予習で判例を理解しておくことは欠かせません。

講義で取り扱われるような重要判例は、この判例百選に掲載されていることも多く、この判例百選を横に置きながら判決文を読むことで楽に理解できます。アメリカの判決文は(日本のそれもそうですが)ある程度複雑かつ難解な表現が使われていることも多く、また予習の分量も多い中で、それらを全て英語で一から理解することは(特に最初は)かなり時間と労力を要しますので、判例百選に助けてもらう方法をおすすめします。


アメリカ契約法 第3版 (アメリカ法ベーシックス 1)

判例百選には載っていないが講義で扱われる判例への言及が数多くあり、判例理解にも役立ちました。もちろん法理論を理解するのに、一度日本語で理解しておくと、かなりスムーズに講義内容に入っていけるかと思います。


アメリカ憲法 第2版 (アメリカ法ベーシックス 10)

こちらも同様に、予習をするときの判例理解のための補助教材として非常に役立ちました。


憲法で読むアメリカ史(全)

特に憲法は時代の流れに伴って判断基準が変わるものもあり、それぞれの時代背景を頭に入れておくことも有益です。国としての歴史を理解するうえでも面白い読み物でしたので、おまけ的に紹介させて頂きます。私は行きの飛行機で読みました。(途中で寝てしまい、読み切ったのはそれからだいぶ経ってからでしたが)


英米法辞典

こちらは書籍ではありませんが、講義で使うPCにインストールしておくと便利です。わからない用語が出てきたときに信頼できるソースとしてサッと検索できます。
もし都度ググる(というか単にググるだけではなく法律用語として一定の説明がなされているページを見つける必要があるケースが多いがそれを見つける)となると、個人的には手数がかかりすぎる気がします。
ただ少し値段が張るのと最近の改訂版は無いので優先度は中程度です。より正確なものを、という意味ではBlack’s Lawを使うことをおすすめします。

その他

私は以下の書籍も買いましたが、結果的にあまり読みませんでした。
・Civil Procedure(アメリカ民事手続法:アメリカ法ベーシックス6)
・Agency(代理法:アメリカ法ベーシックス7)
・Tort(不法行為法:アメリカ法ベーシックス8)

民事手続法と不法行為については履修しておらず個別の判例を理解しようという動機がなかったこと、またどれもNYbar科目ではありますがそれに必要な知識は日本人ノートで事足りた、という理由からです。

ちなみに私は講義を受けている段階から日本人ノートを参照していました。講義では取り扱われないがNYbar対策では覚えておくべきもの、というのも当然あるところ、講義を通じて全体像を理解しているタイミングでそういった細かい内容も併せて把握・理解できるのは、結果的に効率的だったと思います。そのため、秋学期から日本人ノートを使って講義を受ける方法をおすすめします。


アメリカで日本の書籍を買うと送料だけで数千円…ということもありますので、日本で買って持って行く方が良いかと思います。(もちろん引越や手荷物との兼ね合いもありますが…)

これからLLM留学される方の参考になれば幸いです!

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