左右差って整えても意味ない

・治療家は左右を整えたがる


結論からするとそのようなものは殆ど意味をなさない。
それをどれだけ言ったとしても左右差を整えたい人は日々増えていく。
特に新人であればあるほどそういう情報に飛びつきやすい。(僕もそうでした。)

理由として、
・左右を整えればいいという単純なところにある。
・人は左右を整えたい。
・整っているものに美しさを感じる生物である。

・シンメトリー効果


歪みのない対称のものに対して安定感や美しさ、誠実といったイメージを受ける効果のことをシンメトリー効果と読んでいる。また、シンメトリーは左右だけでなく、上下対称や斜め対称も含まれる。意識的に取り入れることで、にぎやかなデザインでも整って見えるため、見る人に好印象を与えることができる。

物事の正しさを判断するときに「好き」を正しいと思ってしまう。
好きなもの↔正しい
例えば、
彼氏彼女、結婚相手を選ぶ際に、最適解を見つけようとすると40億人検証しないといけなくなる。そんなことをしていたらコストがかかってしまう。だから、身近な人から選ぶことになる。自分の意志で身近な人を選んでいるわけではないが、なぜか好きになってしまう。
なぜかというと、
よく触れるもの(単純接触回数が多いもの)を好きと捉えるような心理になっている。

話は戻るが、人は左右対称のものや綺麗なもののほうが正しいと思い込みやすい。
・神経が出ている穴が狭くなっていると絞扼されて伝達がうまくいかない
・腰痛に対して腹筋と背筋のバランスが悪いから
自然と左右を整えたほうがいいという価値観を植え付けられている。
脳にそういう癖がついてしまっている。(バイアスの一種)

物質世界で動物が生きるにあったって、左右対称、美しさなどにはあまり意味はない。生きていけばいいだけなので。
昆虫がきれいな一本線を見て「きれいだな」とは思わないはず。
人に近いサルとかは多少思うかもしれないが人間は特に思う。
魚は思わない。バッタも思わない。

なぜ人間だけ?
それは生物としての種族、分類としてシンメトリーなものをきれいだと思わないと生きていけないようになっているから。

・r淘汰種
数多くこどもを作り、何匹か生き残ればいい。(魚、カマキリなど)繁殖能力を高めるような戦略

・k淘汰種
人やサルなど(犬、猫は多産だが、魚、虫に比べればこちらがわ)
少数精鋭(あまり死んでは困る)丁寧に扱いたい種。そのため、人の赤ちゃんは生きるためにたくさん主張をする(主に泣く)。
そして知能の成長も遅い。
人間の大脳が発達しきるのは25歳といわれているので、かなり保護をして生きていかなければいけない。
生き残らせるには、世の中の危険なものをすべて把握して、規則性を見つけ、厳重に警戒しながら何十年と育て続けなければならない。

ということは、左右均等に整っているものっていうのは、規則性のサインになる。
人は規則性を重んじる生き物。

鯉は人の足音が聞こえると餌がある可能性がたかいという規則性(条件反射)を見つけて寄ってくる。
人はそれがものすごく強化された生物。
なぜなら、人は規則性に満たされていないと不安になる動物だから。
規則性→予測可能性
人の生活において重要になってくる。

天気はカオス


・カオス
少し条件が変わるだけで、明日が晴れ、曇、雨かがわからなくなる。
天気予報はよく外れる。
雨でもし自分が野ざらしだった場合、濡れないように屋根を作る。敵から見を守るために壁を作る。簡単に入れないように鍵や防犯カメラをつける。
これらはすべて予測可能性を高めている(規則性を好む)。言い換えると、予測不可能性を下げることになる。なにがあるかわからないので、あらかじめ対策しておく。
という人の活動が、飛躍させると文化になる。規則性の最たる例がシンメトリー効果となる。そういうものを好むようになっている。なぜならk淘汰種だからとなる。
この脳の特性を踏まえ、乗り越えるのが知性と呼ばれる。

ここまで読んだ皆さん。いろんなレベルの方がいると思いますが、
左右を整えないといけない職場に勤めている人はしょうがないですが、独り立ちしていて、「左右を整えると腰痛が軽減するんですよ。」みたいな嘘の説明をするのはやめたほうがいいですよ。すぐにはやめれないと思いますが、僕はやめたほうがいいと思います。「商売なんで」という理由はあると思いますが、商売でついた嘘は回り回って自分の首をしめることになる。

なぜか?
自分のレベルが上がると、左右差整えることに大きな意味がないことを悟り始めるときがいつか来るはず。勉強していると。かつてついていた嘘は社会に伝わっていく。専門家を通じて。一般の人が「左右差がある」「肩の高さが違う」「骨盤が歪んでいる」と、一般人同士ではなす。みなさんのところにも来ませんか?「骨盤が歪んでるので治してください」とこちらが何も言ってないのに、患者さんがどこかで言われた案件をもってくる。そういうことが形を変えて来院してくる可能性がある。テキトーにやった分。そういうのは徐々になくしていかないといけないと思っている。ただ、今すぐにはなくならないし、僕らが働いているときにはなくならないと思う。こういう価値観をもっていかないと、この業界の未来がないように思う。ある程度、患者さんに対して、ついといたほうが楽な嘘があるのは理解しているが、だけどもです。商売上(臨床上)、さっと乗り切る言葉として、質問があった時に、2秒以内に返さないと患者さんが不安になるということが重々承知しているんですが、脳の癖を知った上で乗り越えるのが知性である以上、これを知った上で乗り越えられないのは知性がないということになってしまう。論理的には。しかし、世の中にはいろんな人がいるので、そのへんは自由にやってください。ただ、業界にカルマを流し続けているということは理解しておいてください。

・左右相称動物

人は左右相称動物である。
左右対称との違いは、
左右対称は数学的に厳密
左右相称は遊びがあっていい。
治療家は棘突起をみて「胸椎の6番が右に向いている」といって向きを変えようとする人がいる。実際に椎骨の画像を見ると向きはバラバラ。まっすぐの人間を探すほうが難しいくらい。歪んでいるのが普通。どこを基準に歪んでいるとしているのかはわからないが、人の分類が左右相称動物である以上(アシンメトリー)、左右を揃えるという手法は全く理にかなっていない。ただ、それが手法として成り立ってしまっている。なぜなら、シンメトリーなものが好きだから。
つまり、
好きなもの↔正しい(シンメトリー)
と思っているから。
というような単純なロジックになっている。(落とし穴)
ただ、これを読んでいただいた皆さんは乗り越えてほしいなとおもいます。

自然界ではあまり意味がない。
人間だけがシンメトリー効果(バイアス)、k淘汰種であるが故に好きなだけということ。
左右対称というのは、人間が価値を感じたもの。
「水1リットルが1kgってすごい」や「左右均等に揃っていてきれい、美しい」
人が勝手に基準をつくり、それに価値を感じているだけ。
それらはシンメトリー効果から来ていると思っている。
揃っていると健康なんだ。
揃っていないと不健康なんだ。
これらは思い込みから来ている。(勘違い)

左右対称でなければならないという大前提があるとすると、
左右差を整えるためにいろんな手技の方法や理論が出てくる。
例)
左右差を整えるためこの角度で誘導するとか、皮膚をこうすると左右がそろうとか

そもそも左右差を整えるということ自体が不自然だという議論になかなかならない。シンメトリー効果(バイアス)、脳の癖だから。
ただ、この左右を整えるということを否定することは危ういこと。
自身の立場を危うくする。「何を言ってるの?」と。
なぜならこういう指摘は圧倒的な少数派にまわるから。
つまり、
「シンメトリー効果は左右対称だから左右相称動物の人間には当てはまらないからおかしいよね。」
という意見に普通の人はなかなか出会えない。
単純接触が少ないから→好きなものではない→つまり間違っている
という論理に行き着く。これも脳の癖。
なので、少数派になるのが怖い人は自分だけが知っておいたほうがいいと思います。

ということで、
左右差を整えるということは関係がないです。
ただ、現実として、左右差を整える施術をして何かが良くなることはありえます。
あと、モデルのバックステージで一瞬肩を整えたり、骨盤の左右差を整えることは可能です。それには意味があります。なぜなら、モデルは美を売りにする(見た目が大事)職業なので。そういったサービスの提供には意味があります。
しかし、
9割は痛み、不定愁訴だと思うのでそこに左右を整えるということは関係ないです。正直になった方が後々楽だとおもいます。自分に返ってくるので。

差をなくすということは不自然なことで、
差は動きを生む。動きを生むには差がひつようになる。

・終わり

左右差を整えると症状が良くなる。
過激な言い方をすると、
左右が整わないと症状が良くならない。
もっと言うと、
左右が整っていないのに症状が良くなってはいけないはず。
左右が整っている人は症状が出てはいけないともいえてしまう。

すでに左右を揃えると症状が改善するという神話は崩壊しています。
現実を見ることをおすすめします。

世にはびこる常識を鵜呑みにせずに批判的思考(クリティカルシンキング)から入ることが大事です。
もちろんこの投稿の内容もです。
意見が変わることは学んでいけば当たり前にあることです。
いち個人の意見として見ていただけると幸いです。

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