見出し画像

台湾の雑踏の中②ギャン泣きの日月潭

2022年9月から2023年9月まで1年間台湾に語学留学をしている間に台湾の街中で出会った思い出深い人たちを忘れないうちに記録しておこうと思う。

2022年11月24日 台湾好行 直達路線 日月潭→台中

日月潭には一度行ってみたかった。風光明媚な場所だという噂を聞いていたし。台中から観光バスに乗れば日帰りも可能だと聞いたので、語学中心の学期間の休みに行ってみることにした。雨が多少降っていたが、エメラルドグリーンの湖は美しく、有名な紅茶もおいしい。そうだ、日月潭は紅玉紅茶(台茶18号)の産地だ。近くに紅茶製造工場の跡地があることがわかり行ってみたいと思い、ビジターセンターで行き方を聞く。
「台湾好行のバスに乗って一つ目のバス停を降りるといいですよ」
そういわれて、往路に使った観光バス台湾好行のバスに乗った。

台湾好行のバスは観光バスチケットみたいなもので乗ることもできるし、交通系ICカード悠遊卡で乗ることもできる。私はバスチケットの往復をもっていたのだけど、それを使うともったいないから悠遊卡で乗るといいとビジターセンター聞いた通り、ピッとカードをタッチさせ乗車した。そして2,3分後一つ目のバス停「日月老茶廠」の前で降車ボタンを押した。すると運転手が突然尖った大声で独り言を言いだした。一番前の席に座っていたのだが、何が起きたんだろうと思っている間にバスは日月老茶廠のバス停を通り過ぎてしまった。私は運転手のところに行きへたくそな台湾華語で「さっきのバス停でおりたかった」と話しかけた。だけど、バスはどんどんスピードを上げていく、運転手が何か言っているがやっぱり何にも分からない。私はバスのチケットを見せながら「悠遊卡をタッチしないと・・・」と弱弱しく言葉にし25元支払い席に戻った。

やるせない気持ちで座席に座って、窓の外を見たり、スマホを見たりして、気持ちをごまかしていた。視線を感じて通路側の座席のほうを見ると若い男女がこちらを見ていた。「何かあったのですか?」と女性が私に聞いてくる。その当時私はまだ英語のほうが得意で「英語、しゃべれますか?」と思わず聞いたら、首を縦にふってくれたので堰を切ったように「日月老茶廠でおりたかったけど降りれなかった。ビジターセンターで聞いた通りにしたのにだめだった。」という内容のことを、その台湾人のカップルに話し続けた。

おかしいのが、勉強したての台湾華語が簡単な部分だけ口をついて出てくる。「I would like to go to old tea factory 所以 I aked tourist information how to get there…(日月老茶廠に行きたくて「だから」ビジターセンターでどう行けばいいか尋ねた・・・)」といったように。当時は、英語の中にわずかに台湾華語が混ざるルー大柴化してしまっていた。私はその状態を「盧小柴」と呼んでいるのだけど、私の盧小柴英語を台湾人カップルはうんうんと聞いてくれる。その上「台湾で嫌な思いをさせてごめんなさいね」と。

その瞬間、本当に私のダムが崩壊した。もうギャン泣き。やっぱり言葉が通じなくてやろうとしたことができないのはつらい。その上、うまく説明できないまま、おじさんには怒鳴られるし、それもつらい。そういうつらいなって気持ちをごまかしていたのを優しくされると泣いちゃう。「お二人に優しくしてもらって涙がでちゃった」というようなことを言って「大丈夫、台湾大好きだから。お二人みたいな優しい人もいるし」と言いながらぽろぽろ涙が出てしまう。

心配そうに見てくる台湾人カップルのお二人に申し訳ないと思いつつ、涙が止まらない。ついには、彼らが下りる高鐵台中站まで泣き続けてしまった。ありがとうしか言えなくてごめんなさい。私ほんとに一度泣き始めると長くて心配をかけてしまってごめんなさい。お二人が話を聞いてくれたこと一生忘れない。台湾の大好きなところの一部は、お二人のような優しい人がいるところだよ。

だけど、同時に国という場所にはいろんな考えの人がいるのを忘れてはいけない。あの運転手さんだって、何いってるかわからない外国人の相手するの大変だったと思う。(今だったら乗る前にちゃんと「私、日月老茶廠に行きたいんだけど、このバス行く?」って言ってから乗れる!)

何が言いたいかというと、私は私に優しい台湾も、私に優しくない台湾も、すべて含めて台湾が好きだということだ。

いいなと思ったら応援しよう!