Nature Briefing:2024/06/28分
‘Epigenome editor’ blocks bad proteins
「エピゲノムエディター」が悪玉タンパク質をブロック
脳に送達できるほど小さい分子編集ツールは、発現は稀ながら致命的な神経変性疾患群であるプリオン病の予防に有望であるといえます。ヒストンテール結合によるメチル基トランスフェラーゼの自己阻害解除システム(Coupled Histone tail for Autoinhibition Release of Methyltransferase:CHARM)として知られるこのシステムは、「エピゲノム」を変化させます。エピゲノムとは、DNAに付着して遺伝子の活動に影響を与えるケミカルタグの集合体です。マウスを用いた実験では、CHARMによって、遺伝子配列を変えることなく、脳全体のほとんどのニューロンで疾患を引き起こすタンパク質を生成する遺伝子をオフにすることができました(=遺伝子サイレンシング)。このシステムは、プリオン病を引き起こす有害なタンパク質レベルを減らすための安全で効果的な「1回限りの」治療法の開発に向けた第一歩であると、バイオエンジニアのMadelynn Whittaker氏は述べています。
⇒解説
2021年、マサチューセッツ工科大学の生化学者 Jonathan Weissman氏らグループでは、DNA鎖にメチル基をケミカルタグとして追加し、ゲノムを変更することなく遺伝子の活動を減らす編集ツールであるCRISPoffを開発していた。しかし、このツールはその遺伝子成分が大きすぎたために媒体ツールであるアデノ随伴ウイルス(AAV)に収まらず、脳細胞にまで送達させることは出来なかった。この問題に対し、Weissman氏らはジンクフィンガータンパク質と呼ばれる分子を使用して標的遺伝子に誘導するCHARMを開発した。これらのタンパク質はさらにAAVベクターでの送達が可能になるほど小さくなった。この部分が本発表の重要な部分である。
研究者らは、健康なマウスを用いた実験において、CHARMの投与によりプリオンタンパクを脳全体で80%以上減少させることに成功させた。さらにこの遺伝子サイレンシング作業が終わった後に自動的にオフになるようにCHARMを改良した。(※ただしこの実験では単にまだ脳内のプリオンタンパクの減少を報告しているのみである。病気を引き起こすのは「異常な」プリオンタンパク質であり、正常なプリオンタンパク質は存在している。)
今後はこのCHARMが人間の脳内のニューロンを標的とするAAVベクターでどのように機能するかを調べていくことが課題となる。この技術はパーキンソン病やアルツハイマー病など、異常タンパク質の蓄積によって引き起こされるほかの病気治療にも役立つ可能性がある。
⇒プリオン病
プリオン病は脳に異常プリオンタンパクが蓄積しニューロンを破壊することで脳神経細胞の機能が障害される一群の病気を指す。特にクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)は日本でも指定難病とされている。ヒトのプリオン病は、病因から孤発性CJD(sporadic CJD: sCJD)、遺伝性プリオン病、獲得性プリオン病に分類され、その有病率は人口100万人あたり年間約1人とされている。ヒトプリオン病の大半を占めるのは孤発性 CJDである。プリオンには感染性があり、感染性ヒトプリオン病としてクールー(Kuru)、(新)変異型CJD ((new)variant CJD, vCJD)、移植後CJD がある。プリオン病は以上プリオンタンパクを介して同種間や異種間を伝播すると考えられており、通常の殺菌法や消毒法が無効であるため、医療現場における2次感染予防の面からも、その早期診断は重要である。また、現在において有効な治療方法は示されていない。なお、クールーはニューギニアの高地に住む儀式的食人を行っていたFore 族に年間1%の高率で発症していた疾患である。
参考:
NIID国立感染症研究所
厚生労働科学研究プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班/プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター
How obesity drugs make you feel full
肥満治療薬でおなかいっぱいになるのはなぜ?
科学者たちは、オゼンピックや類似の減量薬を服用している人が、一口も食べていないのに感じる「満腹感」に関係する脳領域を特定しました。その脳領域には、食前の満腹感と食後の満腹感を司る2つのニューロン群があります。「研究結果によると、視床下部のこの特定の領域がその両方に関与しているようで、とても興味深い」と神経発達研究者のAllison Shapiro氏は話しています。
⇒解説
近年ブレイクスルーを起こした肥満治療薬が、セマグルチドを有効成分にもつオゼンピックに代表されるGLP-1受動態作動薬(セマグルチド、リラグルチド、他)である(※セマグルチド(オゼンピック)は日本では2型糖尿病を適応症としてのみ2020年3月に承認を取得している)。これらは膵β細胞上のGLP-1受容体に結合し、ATPからcAMPの産生を促進させることにより、グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させる。さらに、血糖値が高い場合にはグルカゴン分泌を抑制する。 また、脳を介した食欲抑制作用と腸管運動抑制作用を発揮することが知られている。
この脳を介した食欲抑制作用については今まで詳細まで解明されていないが、延髄孤束核から視床下部(視床下部室傍核)のGLP-1受容体が活性化されると、コルチコルトロピン放出ホルモンとネスファチン-1-ニューロンが活性化され摂食抑制に作用することが判明している。また海馬にも同様にGLP-1受容体が広く分布しており、高次的な摂食調整に関与している。
今回の研究では、視床下部の摂食抑制に関する2種類のニューロン群について「食前」「食後」の満腹感を使い分けていることが判明した。特に視床下部背内側部にあるニューロンにはGLP-1受容体があり、このニューロンを刺激したマウスは即座に食べることをやめた。また慢性的に活性化されたマウスは食べる量が減少し、逆に慢性的に抑制されたマウスは食べる量が増える結果となった。
Kim.K.S氏らはGLP-1薬が視床下部背内側部に作用することも確認した。マウスにリラグルチドを投与した実験において、投与されたマウスの方が薬を投与されなかったマウスよりも「食事前」「食事中」の該当の脳領域の神経活動が高かった。
神経学者のKarolina Skibicka氏は本件に対し、他の研究ではこの脳領域のGLP-1受容を操作しても摂食行動に上記のような変化は見られなかったと指摘しており、その理由としてKim氏らが発見した視床下部背内側部の2つのニューロン群に関連している可能性があるとしている。
⇒肥満治療薬の現在、展望
肥満症とは特にBMI値25以上およびいくつかの健康障害または内臓脂肪蓄積を有する状態を指す。WHOでは厳密にはBMI25以上は「過体重」BMI値30以上が「肥満」である。しかし、日本人の場合それほどまで肥満にいたらなくても健康障害を合併する場合が多いため現在のようになっている。また多くのアジア人はこの傾向にある。なお、上記条件のうちさらにBMI値35以上の状態を高度肥満症とする。
日本肥満学会によるガイドラインに掲げられている治療の目的の大きなものは患者のQOL改善と健康増進である。これは他の一般的に想像する疾患とは大きく違う現代的な疾患といえよう。これにより、肥満症の基本治療指針は食事療法・運動療法および指導であり、目標未達成が続けば治療食が強化される。それでも効果が見られなければ初めて薬物療法・外科療法が視野に入ってくるという流れのため、実際にGLP-1薬が肥満治療薬を適応症として承認を得ていないこともあり、国内で肥満症治療に実際に採用されるのはまだ少し先だと考えられる。
しかし、肥満症を取り巻くエリアが熱くなっていることも事実である。今後より機序が明確になり、また実際に治療を進める医師たちの強い後押しがあるなら、承認を得るのは遠くないかもしれない。
参考:
「GLP-1 increases preingestive satiation via hypothalamic circuits in mice and humans」Kim,KS et al. Science .Published 27.Jun 2024
オゼンピック インタビューフォーム(2024/07/02 閲覧|ノボノルディクス社)
ビクトーザ インタビューフォーム(2024/07/02 閲覧|ノボノルディクス社)
「GLP-1受容体作動薬の体重減少効果」上野 浩晶, 中里 雅光 『糖尿病』60(9), 570-572(2017) /J-STAGE
日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン2022
Slow-release ketamine pills for depression
うつ病治療のための徐放性ケタミン錠剤
うつ病治療用のケタミン含有錠剤は、不快な副作用が少なく、静注ケタミン治療の便利な代替手段となる可能性が見えてきました。研究者らはケタミン含有錠剤が、他の薬に反応しなかった150人以上の患者に抗うつ効果を示したことを見出した。「希望すれば自宅で投与できる可能性があるという事実は、この薬を投与するのが急にもっと容易になる」と、精神科医で筆頭著者のPaul Glue氏は述べています。
元記事:Nature
参考文献:Nature Medicine論文
⇒解説
ケタミンによるうつ病治療は、日本国内においては適応症として認められていない。日本で承認されているケタラール静注(または筋注、鼻腔スプレー?)は麻酔薬であり、精神科医が直接治療を行うことは出来ない。
2021年に大塚製薬が米Perception Neuroscience社より、治療抵抗性うつ病治療薬として開発中のアールケタミン(PCN-101)の日本国内における独占的開発販売権を取得するライセンス契約を締結したが、その後音沙汰がない。薬物の取締りが厳しい日本ではなかなかうつ病を適応症とした承認が下りない可能性が高い、のかもしれない。(麻薬取締局の規制対象薬物である)。日本国内ではケタミンに代わるより安全性の高い抗うつ剤の探索が目指されているようでもある。
さて、4種類の投与量とプラセボ(偽薬)を用いた第Ⅱ相臨床試験において、プラセボを服用した参加者の71%が再発したのに対し最高用量を投与された参加者の再発率は43%であった。これにより、経口徐放性ケタミンの最高用量の投与により、抗うつ効果が持続することがほぼ実証された。なお一般的に、静注投与に対して経口投与では効果が薄れる傾向にある。試験参加者の中で有害事象を報告した患者がほとんどいなかったのは良い傾向であった。
今後はさらに安全性に焦点を当てた研究を行うことが重要だと英オックスフォード大学の精神科医Rupert McShane氏はコメントしている。濫用性・依存性があるケタミンを手軽に服用できるようにする点については研究者の間でも懸念されており、一つの対応策として本錠剤は極めて硬く、砕けにくいよう設計されている。これはパーティードラッグとして粉末状にし鼻から吸い込む行為を防ぐためである。
また、ケタミンについてはアルコール依存症を含む精神疾患の治療への有効性も探索されている。予備研究では服用により、アルコールへの渇望を軽減できる可能性があることが示されている。
参考:
「Extended-release ketamine tablets for treatment-resistant depression: a randomized placebo-controlled phase 2 trial」Paul Glue et al. Science .24.Jun 2024
大塚製薬株式会社ニュースリリース2021/03/16「治療抵抗性うつ治療薬「アールケタミン」の日本国内におけるライセンス契約締結について」
「ケタミンの即効性抗うつ作用の機序解明と新規即効性抗うつ薬候補の探索」出山 諭司 『薬学雑誌』143(9),713-720(2023)/J-STAGE
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Features & opinion(特集)
‘Jumping gene’ enzyme edits genomes
「ジャンピング遺伝子」酵素がゲノムを編集
「ジャンピング遺伝子」を利用する技術は、バクテリアに自然に見られる可動性の遺伝子配列で、ゲノムにカット・コピー、ペーストすることができます。この技術は、DNAを自由に再設計する鍵となるかもしれません。このシステムは、「ブリッジRNA」または「seek RNA」と名付けられたRNA分子に誘導され、バクテリアや試験管反応で遺伝子を編集できることが示されていますが、人間の細胞で機能するように適応できるかどうかはまだ不明のままです。もし適応できるとすれば、その小型さと、DNAを壊すことなく、さらにCRISPRで実現可能な範囲をはるかに超える数千塩基の遺伝子変更を行える能力を考えると、革命的なものとなるでしょう。
元記事:Nature
参考文献:Nature 論文1/2/Nature Communications paper
⇒解説
ジャンピング遺伝子については高校生物でも馴染み深いものである。この度発表されたシステムは、編集箇所の多さと小型さで次世代ゲノムデザインツールとして期待されている。
アーク研究所のPatrick D. Hsu氏らと東京大学の西増弘志氏らの共同研究により、大腸菌由来のIS110ファミリー因子に属するIS621転移因子から産生されたIS621リコンビナーゼとブリッジRNAが複合体を形成し、ブリッジRNAと相補的なドナーDNAおよびターゲットDNAの間の組み換え反応を触媒することが明らかになった。また研究チームはクライオ電子顕微鏡解析を行ったことで反応中の立体構造決定にも成功し、最終的にIS621リコンビナーゼがブリッジRNAと協同し、ドナーDNAとターゲットDNAの間のDNA組み換え反応を触媒する分子メカニズムを明らかにした(下図:東京大学先端科学技術センタープレスリリース「非常識にもほどがある!ブリッジRNAが橋渡しするDNA組換えメカニズム」より引用)。比較例とされているCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)は、比較的新しいが現在広く研究室で利用されており、DNAの二本鎖切断時におこるエラーとその修復機構を原理としている、部位特異的ヌクレアーゼを利用するゲノム編集ツールである。CRISPR-Cas9は簡便で安価、汎用性が高いという特長があるが、オフターゲット作用が他の技術と比較して生じやすい。ターゲット能力を補うためには誘導タンパク質の分子量が大きくなってしまうというリスクがあった。これに対し、本システムではターゲット領域・ドナー領域でガイドを持つため設計は小さくて済む。これはアデノ随伴ウイルス(AAV)などで細胞へ運搬する際に非常に重要なポイントである。
今後は、本技術がマウスなどの哺乳類細胞で実現できるかどうかが目標となる。現在研究チームはそれに向けて改良を進めており、多くの研究者たちが期待を寄せている。
参考:
CRISPR-Cas9とは?原理をわかりやすく解説!|M-hub|Merck
東京大学先端科学技術センタープレスリリース 2024/06/27「非常識にもほどがある!ブリッジRNAが橋渡しするDNA組換えメカニズム」
Arc Institue News June 26,2024 「Arc Institute Scientists Discover Next-Generation System for Programmable Genome Design」
【Futuresは割愛します】
Five best science books this week
今週の科学書ベスト5
Andrew Robinson氏が今週読むべき科学書トップ 5に選んだ本は、心理学の魅力的な世界史、音楽の認知神経科学的な見方、人工知能が教育をどのように変革できるかについての実用的で刺激的な本などです。
元記事:Nature
⇒今週の科学書BEST5(Amazon掲載のあらすじをほぼ転載)
・「A Little History of Psychology」Nicky Hayes Yale Univ. Press (2024)
→人間性の理解を目的とする学問である心理学についての、内容豊富で魅力的なガイド。
私たちの意思決定の本当の動機は何なのか。言語と記憶はどこから来るのか。なぜ私たちの心は時々私たちに逆らって働くように見えるのか。心理学者は長い間、人間の行動、感情、思考を理解しようと、これらの疑問に答えようとしてきました。しかし、これほど捉えどころのないものをどうやって探求すればよいのでしょうか。この魅力的な歴史の中で、第一人者であるニッキー・ヘイズ氏が何世紀にもわたって世界中で心理学の物語を語ります。ヘイズ氏は、カール・ユング、アンナ・フロイト、フランツ・ファノン、ダニエル・カーネマンなど、重要な思想家を紹介しています。パブロフと彼の犬からミルグラムと彼の有名な電気ショック実験、CIAの秘密のマインドコントロールプロジェクトまで、彼らがどのように私たちの理解を広げようとしたかがわかります。ヘイズ氏は、子どもの発達、劣等感、PTSDなどの主要な概念を探り、心理学研究がどのように良いことにも悪いことにも使われてきたかを示しています。この小さな歴史書は、心理学の研究が常に進歩していること、心理学の分野が時間とともにどのように進化してきたか、そして私たちがさらにどれだけ学ぶ必要があるかを明らかにしています。
・「From Perception to Pleasure」Robert Zatorre Oxford Univ. Press (2024)
→なぜ私たちは音楽を愛するのでしょうか? 音楽を作り、知覚し、楽しむことができるのは何でしょうか? 『From Perception to Pleasure 』 で、ロバート・ザトーレは認知神経科学の観点からこれらの疑問に答え、音のパターンの知覚から心地良い反応に至るまでの過程を説明しています。この本は、音楽の心地良さは、音のパターンの処理を可能にする皮質ループと、報酬と評価を司る皮質下回路との相互作用から生じるという中心的論点を中心に構成されています。このモデルは、聴覚系と報酬メカニズムの基礎神経科学から得られた知識と、知覚と心地良さは予測、期待、評価のメカニズムに依存するという概念を統合しています。この本の最初の部分では、異なる抽象レベルで音楽構造の内部表現を生成する聴覚皮質との間の経路について説明し、それが次に、音楽を知覚し生み出すために不可欠な記憶、感覚運動、その他の認知メカニズムと相互作用します。この本の2番目の部分では、ドーパミン報酬系の機能解剖、音楽の心地良さへの関与に焦点を当てています。予測、驚き、複雑さの間のつながり、そしてシステムが混乱したときに何が起こるか。この本には、読者が科学的発見を理解できるように、豊富な図解が盛り込まれています。何よりも、『From Perception to Pleasure』は、抽象的な音のパターンがどのようにして深く感動的な快楽体験を生み出すのかを説明する、膨大な科学的知識の統合モデルを提供しています。
・「Mortal Secrets」Frank Tallis Abacus (2024)
→サラ・ベイクウェルの『How to Live 』やアンドレア・ウルフの『Magnificent Rebels 』と同様に、『Mortal Secrets』は、主要人物であるジークムント・フロイトと、彼のアイデアを形作った前例のない創造性の時代を生き生きと描き出した作品です。都市の中には星のようなものがあります。条件が整うと、星が輝き、ライバルすべてを凌駕するほどの猛烈な勢いで燃え上がります。1890年から20世紀初頭にかけて、ウィーンはまばゆいばかりの光となりました。この都市は、芸術家のクリムトやシーレ、思想家のテオドール・ヘルツル、華やかな皇后シシィのようなファッションアイコンなど、前例のない数の並外れた人々によって活気づけられました。コーヒーハウスやサロンでの会話は、科学、政治、哲学、芸術など、人間の努力のほぼすべての分野の進歩を促しました。20世紀初頭のウィーンの影響は今でも私たちの周囲に感じられますが、それが最も強く感じられるのは私たちの頭の中です。私たちが自分自身についてどう考えるかは、ウィーンで最も有名な人物、ジークムント・フロイトによって大きく左右されました。『Mortal Secrets』は、フロイトの生涯、ウィーンの黄金時代、そしてフロイトの遺産の本質的な再評価の物語です。
・「Brave New Words」Salman Khan Viking (2024)
→カーンアカデミーの創設者による、教育におけるAI革命、子育てへの影響、そしてその力を善のために最大限に活用する方法に関する初の書籍。好むと好まざるとにかかわらず、AI革命は教育にやって来ます。カーンアカデミーの先見者であるサルマン・カーンは、 『Brave New Words』で、人工知能とGPTテクノロジーが学習をどのように変えるかを探り、教師、保護者、生徒がこの刺激的な(そして時には恐ろしい)新しい世界をナビゲートするためのロードマップを提供します。教育テクノロジー分野の先駆者であるカーンは、これらの最先端ツールの詳細と、それが学習と教育の方法にどのような革命をもたらすかを検証しています。カーンは、子供の成功を心配する親のために、各生徒のペースとスタイルに適応し、長所と改善点を特定し、従来の教室での指導を補完するカスタマイズされたサポートとフィードバックを提供することで、AI が学習をパーソナライズする方法を説明しています。教育に AI を取り入れることは人間同士のやり取りに取って代わることではなく、カスタマイズされたアクセス可能な学習ツールでそれを強化し、創造的な問題解決スキルを促し、ますますデジタル化が進む世界に生徒を準備させることであると強調しています。しかし、『Brave New Words』はテクノロジーだけに関するものではありません。このテクノロジーが社会に何を意味するのか、そして教育と職場で AI の力を活用できる管理者、指導カウンセラー、採用マネージャーにとっての実際的な意味合いについて書かれています。カーンは、AI と大規模言語モデルの倫理的および社会的影響についても掘り下げ、これらのツールを使用して世界中の生徒にとってよりアクセスしやすい教育システムを構築する方法について思慮深い洞察を提供しています。
・「Who’s Afraid of Gender?」Judith Butler Allen Lane (2024)
→象徴的な著書『ジェンダー・トラブル』でジェンダーとセクシュアリティについての考え方を再定義した画期的な思想家ジュディス・バトラーは、今日の右翼運動の中心となっている「ジェンダー」への攻撃に立ち向かいます。世界的なネットワークが「反ジェンダーイデオロギー運動」を形成し、ジェンダーは家族、地域文化、文明、さらには「男性」自身にとって危険で、おそらくは悪魔的な脅威であるという幻想を広めることに専念している。公人のレトリックに煽られたこの運動は、生殖の正義を無効にし、性的暴力やジェンダー暴力からの保護を弱め、トランスジェンダーやQueer(米俗語:同性愛者)の人々から暴力を恐れずに人生を追求する権利を剥奪しようとしてきた。『ジェンダーなんかこわくない』の目的は、ジェンダーに関する新しい理論を提示することではなく、「ジェンダー」がどのようにして新興の権威主義体制、ファシスト組織、トランス排除的フェミニストにとって幻想となっているのかを検証することである。この活気に満ちた勇気ある新著で、バトラーは「ジェンダー」という幻想が不安や破滅への恐怖を集め、置き換えている具体的な方法を明らかにしている。反ジェンダー運動は、「批判的人種理論」の欺瞞的な説明や移民に対する外国人排斥のパニックと連携して、平等を求める闘いを悪者にし、攻撃的なナショナリズムを煽り、何百万もの人々を屈服させやすい状態にしている。現代の最も困難な問題の一つに対する重要な介入である『ジェンダーを恐れるのは誰か?』は、権威主義的な運動との同盟を拒否し、平等を求める闘いが不正義との戦いに結びついているすべての人々と幅広い連合を結ぶよう大胆に呼びかけている。自由と連帯の両方に対する新たな可能性を想像しながら、バトラーは、タイムリーでありながら時代を超越した、社会と政治の分析の希望に満ちた作品を提供している。この本の活気と厳密さは、彼らだけが提供できるものである。
QUOTE OF THE DAY:今日の名言
深海生化学者Jacob Winnikoffと彼の同僚は、遠隔操作の潜水艇を使って、深海では特殊な細胞膜で保護されているが、海面に上がると崩壊してしまうクシクラゲを採集しました。
クシクラゲの記事、めっちゃ面白そうでしたが時間切れのため解説を断念。。。
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