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不(負)動産のはなし

負動産・・・週刊誌やビジネス誌などでこの言葉を見るようになって内容を読みながら上手い当て字だなあと妙に感心したのを覚えている。

今、日本全国にはこの負動産と呼ばれる不動産物件が数多く存在しているようである。
端的に言えば、先祖代々の山や、田んぼ、畑など今の自分の生活にとっては凡そ必要がない土地を相続したものの、それでいて売るに売れないような土地。(このような土地はだいたい市街化調整区域の農地だったりするので売れない。)
もしくは今は都会や別の場所で生活している子供が、親が住んでいた田舎の土地・家屋を相続したものの、田舎に住む予定も意思も無い為、誰も住んでおらずそれでいて治安の面から空家の状態とはいえ小奇麗に管理しておかないとならないようなものなど、売っても二束三文の価格にしかならない若しくは売れないような地域に存在している不動産。

またバブル期に取得したリゾート地の別荘、マンションなども自身の年齢から頻繁な行き来がもうできなく、維持管理費も馬鹿にならないが当時人気のリゾート地も時代の変化と老朽化により廃墟群になっているような不動産。

概ね上記のような、持っていても自分には必要ではなく、維持管理も大変ででも売るに売れないような不動産の事を指すと解釈している。

なぜ、このような話しをしているかと言うと、私自身その状況に直面してしまっているのである。正確には私の母親が所有している土地がそれに当たるのであるが。市街化調整区域の農地、農振農用地と言われるいわゆる青地の畑。祖母が母の為に遺してくれた土地ではあるが上記の条件では第三者へ売る事が中々に困難である。(売れない事はないが諸手続きが必要な為これが時間も掛かり非常に面倒くさい)また価格もそのような土地であれば当然に高くなる訳もなく母のこれからの老後の生活費の足しにもならないであろう。75歳の母があと何年生きているかわからないが生きているうちに売れる算段をつけるか、もしくは何らかの道筋だけはつけておきたい所で前々からそのように話だけはしていたのだが、昨年私が宅建士の資格を取得した事から私にこの件は振られることとなった。
隣地には母の親戚が住んでいて、該当地はそちらで一部利用しているのと全体的に草むしりなどして管理してくれているようであるので本来はそちらに買ってもらえれば一番良いのだけれど…。

これまでの人脈から知恵を拝借し、どのようにするのが良いか検討し、納得のいく不動産処分となるようにして行きたいと思う今日この頃である。

仕事柄不動産業にも携わっている中で私のようなケースの話は本当に良く聞く話で、やはり後継者がいない事や、年齢から管理しきれないほどの広い土地を持っていたりで困っている方の数の多いこと。それはやはり市街化調整区域の農地という共通点があるので売るに売れないのである。

日本の年齢別人口分布からも今後ますます負動産と呼ばれる不動産物件が増えると予想できるわけだが、明日は我がとしてこの年末年始にそれぞれの家庭が集まるタイミングで元気な親御さんに話ずらい内容ではあるものの今所有している不動産についてどのように考えているか聞いてみるのも一つと思われる。

不動産として売れないのに固定資産税は毎年払わなければらない、また草むしりやゴミ処分などの管理もしなければならず、でも相続発生すれば相続税も払わなければならないと、お金は出て行く一方で、といざ自分の身に降りかかれば人によっては絶望してしまうような事も起こりうる負動産問題。

多くの方に解決の道筋と幸せな結末が訪れますように・・・。

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