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親子留学3日目|初めての街体験
週の折り返し、水曜日。そろそろにわとりの鳴き声では起きないくらいぐっすり眠れるようになってきた。目が覚めると6時。テラスに出て深呼吸しながら、昨日のことを振り返りつつ日記をまとめていると、娘もゆっくりと起きてきた。
ようやくトイレットペーパーにも慣れてきた
朝のルーティンも少しずつ馴染んできたようで、トイレットペーパーを流さずにゴミ箱に入れる動作も自然になっている。そして朝ごはん。今日は黄色のスイカ!味は普通のスイカと変わらず甘くて美味しく、娘も大のお気に入り。トーストを焼く手つきも、もうすっかり板についている。
初めてのミッションデーへ!(マーケットへ)
今日は午前中、待ちに待ったミッションデー。先生2人と一緒に、わたしと娘で初めて学校の敷地の外へ出る日。今日は水曜日ということもあり、水曜日にしか開いていないマラパタイマーケットにいく。学校は自然に囲まれた安全な場所だけど、門をくぐるとそこはもうローカルな世界。普段は味わえない街のリアルな空気を肌で感じながら、「こうやって現地の文化を先生と一緒に体験できるのはありがたいなぁ」と改めて思った。
娘はというと、いつも一緒の先生たちなのに、なぜか今日はわたしから離れようとしない。どうやら「かわいいサンダルが欲しい!」という気持ちで頭がいっぱいらしく、先生と英語で話していると「ねぇ、サンダル買える?買うんだよね?」と日本語で何度も割り込んでくる。最初は丁寧に相手をしていたけれど、次第にわたしも疲れてきてしまった…。
トライシクルでローカル体験!
歩いて大通りへ出ると、先生がサッと手を上げ、トライシクルを止めてくれた。バイクに小さな座席をくっつけたような乗り物で、先生によると最大10人も乗れるらしい。そんなに乗れるの…?と驚きながら、娘と並んでドキドキの初トライシクル体験。ビサヤ語で交わされる会話、車の間をすり抜けて走るスリル、吹き抜ける風…異国の地に来たことを全身で実感した。
目的地のマーケットには20分ほどで到着。先生が支払いを済ませてくれたが、後から聞くと料金は一人25ペソ。子どもの分を払うかどうかはドライバー次第らしい。なんともローカルルールだなぁ。
マーケットでの大奮闘
マーケットに足を踏み入れると、目の前に広がるのは活気あふれる市場の風景。野菜や果物が山積みになり、人々が行き交い、熱気がむんむん。その中で最初に目を奪われたのは、にわとりを抱えた男性たち。先生に聞くと、「戦わせるためか、食べるため」らしい。うーん、文化の違いを痛感…。
わたしとしては、先生が色々説明してくれるこの機会を活かして積極的に英語で話したいのに、娘はひたすら「サンダル!サンダル!」とわたしの手をグイグイ引っ張る。さらに、先生が「こっちにおいで」と言っても完全に無視…。わたしもだんだんイライラしてきてしまった。でも今思えば、炎天下のマーケット、熱いアスファルト、異国の環境、初めての体験で娘もいっぱいいっぱいだったのかもしれない。
それでも、先生たちは辛抱強く娘の「かわいいサンダル探し」に付き合ってくれた。何軒かお店を見て回ったけれど、子どもサイズはなかなか見つからない。結局サンダルは買えなかったものの、代わりに大好きなマスカットをゲットできて、娘も満足げな表情に。ほっ…。
わたしも、ピーナッツ(ゆで)やフルーツ、フィリピンの伝統料理ビヤンを無事購入。観光客だからといって値段をふっかけられることもなく、スムーズに買い物できたのはありがたかった。
帰りも先生がトライシクルを捕まえてくれ、学校へ戻る。道中、ぼんやりと街並みを眺めながら、そこに生きる人々の暮らしに思いを馳せる。外に座っているおじさんたちは何をしているのかな?平日なのに仕事は?洗濯物が狭い路地にぎっしり並んでいるのも印象的だった。トライシクルにぎゅうぎゅうに詰め込まれる人々の距離の近さにも驚きつつ、初めての街体験が終わった。
安心する学校の空間と、ディスカッション授業
学校に戻ってきたときの安堵感は、なんとも言えないものがあった。ローカルの文化を体験したいという気持ちと、やっぱり安心できる環境のありがたさ。親子留学には、この「守られた空間」と「外のリアル」のバランスがちょうどいいのかもしれないと感じた。
午後の授業はディスカッション。「子どもがスマホやタブレットでゲームをすること」について話し合うテーマだった。これは娘が成長するにつれて考えておきたいことの一つ。英語で意見を言うのはまだまだ難しいけれど、日本語でもっと考えをまとめてから話せば、もう少し深く議論できるかも…と思った。
プールでのリラックス&英語練習
最後の授業が終わり、子どもたちはプールへ。わたしは2階のテラスからその様子を眺めながら、今日の英語の復習をしていた。
すると、しばらくして娘が「まだ遊びたい!」とわたしを呼びにきた。最初は見ているだけのつもりだったけれど、せっかくなので水着に着替えてプールへ入ることに。
ふたりきりだったこともあり、ただくっついて遊んだり泳いだりしながら、英語の会話を投げかけて練習。座って勉強するのは堅苦しいけれど、こうして遊びながらなら、娘も自然に英語を口にする。楽しそうに大きな声で受け答えしているのを見て、「こういう形で少しずつ英語を馴染ませていけばいいのかも」と思えた。
特別な出会いとクラフトチョコレート
プールから上がると、新しい出会いが待っていた。実はここの校長先生夫妻は、NPOとしてカカオからのクラフトチョコレートづくりをしたり、多岐にわたる活動をしている。そして、今日からバングラデシュからの留学生の女性がインターン生として参加することに。英語で少し挨拶を交わしながら、「こんな出会いがあるのも、普通の学校ではなかなかないことだよなぁ」としみじみ思う。(もっとも、DETiは「学校ではない」と言い切っているんだけど。)
そのカカオ70%のクラフトチョコレートを買わせてもらった。これがもう、本当に美味しい!口の中での溶け方、ほどよい苦み、そして何よりビールに合う…! 他のお酒とも一緒に味わいたくなる。保冷材付きで持ち帰れるのも嬉しい。夫にもぜひ食べさせてあげたいなぁ。
このチョコレートの手作り工程のストーリーを聞きながら、気づけば娘とふたりでかなりの量を食べてしまった。
1日を終えて
夜ご飯のあとは、外出とプールで疲れたのか、娘は7:30には就寝。
初めての街体験に、新しい出会い、美味しいチョコレート。盛りだくさんだった1日を振り返りながら、わたしも眠りについた。