アメリカの嫌な場所で「神」の声を聞いた話
アメリカには、「できるだけ行きたくない」と言われる悪名高い場所がある。
DMVと呼ばれる日本の運転免許センターにあたるその場所は、働いている人の多くが「早くここから退出させて」と言わんばかりの暗い顔で働いていて、カスタマー対応も悪く、効率も悪いのか長く待たされる、そんな場所。(※多くの実体験に基づく)
ここの窓口スタッフの対応の遅さは、ディズニー映画『ズートピア』でナマケモノとして風刺されるほど有名。
とにかく、「できるだけ避けたい」場所なのだ。
先日、私はここで『神対応』のお客さんのかけ声を聞いた。これを聞いて、私の気持ちもなんだかスッキリしたし、そうか!と気づいたのだ。
それは「免許証の更新」に行くことになったある朝のこと。
DMVに行くときは朝から気分が晴れない。きっとまた、何か嫌な気分になるだろうと確信するから。
まずは入口の受付を突破しなくてはいけない。これまた「なんで私がここで働かなきゃいかんのだ?」とでも言いたげな表情の女性が、私が持ってきた必要書類をチェックした。
現住所を確認する書類を見せると、自分の署名部分にサインをしていなかったことが発覚。
「OK!じゃあ、今ここで書いちゃうね」と言うと
「ダメ~!署名済のものを持って再訪して。またね!」と冷たい一言。
近くにいた上司らしき人を呼び説明して、「これ、今ここで署名すればOKだよね?」と確認する。5分ほど待たされた結果、「そうね。今ここで書けばいいわ」と上司。「そら見たことか!」という表情でこの女性を見返す私。
(もう戦闘状態だ)
「だからここ、ほんと嫌い!」という表情の私は、この後
また別の窓口へ移動し、新しい免許を発行してもらうための手続きをする。
ここにいるどいつもこいつも全く油断ならない!と警戒しながら、内心は緊張しながら、作り笑顔で待っていたところ、隣のカウンターからこんな声が聞こえてきた。
「もう終わったのね。ありがとう。あなたのおかげでめっちゃ助かったわ!
今日は良い1日になりそう。でも、働きすぎだけは気をつけてね、OK?」
今までむっつりしていた受付の女性は、こう言われてパッと表情が明るくなる。
「そうね、働きすぎにないように気をつけるわ~。ありがとう!」と
よくぞ私の立場をわかってくれたと言わんばかりの嬉しそうな笑顔だ。
何気ないこのやりとりを聞いて、私はDMVでこれを言えるなんてすごい!と感服しながら反省もした。
そうだよね。最初から、警戒して対応し、戦闘モードでしゃべれば相手もそれを察知して、嫌悪感をもって応答するよね。
きっとあのお姉さんは、世渡り上手なのだろうけれど、相手に気持ち良くなってもらうことって大切だし、それで自分も良い気持ちになれる、そう感じた。お姉さんの爪の垢を煎じて飲ませてもらったそんな朝だった。
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