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三本の矢〈上〉 単行本 – 1998
1998年に出版された本であり、出版から25年も経過しているものの、日本の政界・官界・財界を描いたものとしては秀逸な出来の本である。著者は、現役の経産省の官僚であり、役職は課長補佐だったとのこと。
余談ですが、昔は官僚でも際立った人がいてこの本のように匿名で秀逸な本出したりしていたが、今はせいぜいキャリア論等の自己啓発本を書くくらいで面白い人がいなくなってしまった。日本の官界の影響力の低下を背景に、そういうレベルの人たちは他所の業界に行ってしまったのだろう。
もちろん、それは日本にとって良い方向だとは思うけれど、寂しくもある。
余談はさておき、1998年、日本は山一證券や北海道拓殖銀行が倒産し、潰れないとの神話があった銀行が相次いで、金融危機に陥っていた。自分は当時中学生くらいであったが、毎日金融関連の話がニュースとなっており、中身を詳しくは理解できていなかったが、何かただならぬことが発生していることは分かった。
そんな時代に日本の中枢部で何が起きていたかを小説調で描いている。もちろん小説なので事実とは異なるが、内容としては示唆に富んでいる。
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本書では、大蔵大臣の失言を機に、銀行(=おそらく当時の日本興業銀行か日本長期信用銀行を指していると思われる)の倒産問題が起きて、いったい誰が、何の目的で大蔵大臣の失言を起こしたのかをミステリー調で描いている。
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子どもの頃から試験勉強をして、四谷大塚に通い、開成や筑駒を出て東大法学部から大蔵省に入省したという主人公が設定だが、当時は天下り先も豊富だったので、本当に日本のベストアンドブライテストな人たちが官界に行っていたのだと思った。
下巻に続く。