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徹底解剖!米国Top Tier VCの投資戦略:Part 1

先週末はチームで1日中引きこもってのオフサイトミーティングがあり、その時にアメリカの主要なベンチャーキャピタルの戦略についてのディスカッションをして、なかなか面白かったのでまとめてみました!

いくつか調べた中でも、今回紹介するAccel Partnersの投資戦略はVCとして一つの理想形。まずは実績をご紹介します。

会社概要
・1983年にPatterson 氏、Swartz 氏により設立。
・総運用金額:9,100億円($9.1B) 
・投資数:1,254(うちリード投資が459)
・Exit数:266
・代表的な投資先:Atlassian、Cloudera、Dropbox、Etsy、Facebook、Flipkart、Qualtrics、Slack、Spotifyなど
・米国だけでなく、英国、インドにも拠点を置くグローバルファーム

ポートフォリオを見るとそうそうたる面々…!

2009~2016年と少し古いデータになるが、期間中の米国Top 100 Exitsのうち、Accelは26社に投資していて2位にランクインした(1位はSequoiaの31社)。

VC同士が同業他社を評価するランキングでも2016年に3位にランクイン。

直近ではアーリー特化(500億円)とグロース特化(1500億円)のファンドを2016年に組成しており、シード / シリーズ Aでのリード投資をしてから、グロースステージまで追加投資し続けるスタイルを打ち出している。

実際にどの業種に、どのステージで、どのくらい投資して、どんなサポートをしているのかを2014~2018年のデータで調べてみた。

ラウンド別の新規・追加投資状況

新規・追加投資の割合をおよそ2:3で行っているAccelだが、ラウンド別の案件数を見ると、新規投資はシード/シリーズAが全体の72%を占めている。シリーズAで新規投資した95件と比較して、シリーズB/Cの追加投資が97件、86件とほぼ同程度であることから、全体として順調にラウンドを重ねていることが推察できる。横棒グラフはディール総額を表している(注:Accelだけでなく、他の投資家も含めた投資金額)。


領域別の投資状況

領域別に見るとSaaS/エンタープライズソフトウェアに一番張っていて、他にもセキュリティなどB2B領域が多め。但し、コンシューマーやECなどのB2Cも投資件数としては少なくない。

また、領域によって新規投資の際のラウンドが変わるかどうかを調べてみたところ、コンシューマーやヘルスケアが比較的シード投資が多くなっていた。SaaSとセキュリティはシリーズAがボリュームゾーン。


領域別の投資先トップ5(調達額ベース)

では、領域ごとの投資先トップ5にAccelがどんなフェーズで投資したのかを詳しく見てみる。

■ SaaS / Enterprise

まず、SaaS系では今年上場すると言われているSlackが目を引く。2009年のシードラウンドから始まり、実は2017年のシリーズHまでずっと追加投資を続けたのだ。Slackといえば初期はゲームを作っていたのが、2013年ごろにチャットツールにピボットした、紆余曲折を経ている会社。それをブレることなく支え続けたAccelは流石としか言いようがない。他にも先日SAPへ8,000億円で買収されたQualtricsなど、Accelが初期から入り最後までフォローオンし続けた企業が並ぶ。

■ Consumer / E-Commerce

C向けサービスに目を移すと、教育オンラインサイトのLyndaやアマゾンの対抗馬として注目されてウォルマートに買収されたJetなど、ここでもシリーズAからリード投資家として存在感を発揮している。一方で、フリマアプリのLetgoなどグロースステージでの新規投資も行っている。


パフォーマンスを支えるバリューアップ体制

投資先だけでなく、Accelの中身も調べてみた。まず、米国オフィスの全体像を見てみよう。

大枠として、44人の従業員が投資チーム(30人)とデベロップメントチーム(14人)に分かれる。投資チームはそれぞれアーリーステージとグロースステージを担うチームに分担されている。

デベロップメントチームは投資後に企業のバリューアップに貢献する役割を担う。採用や事業開発、M&A・資金調達、データサイエンスといった分野スキルを持つメンバーがおり、専門領域や今までの経験などを見ると興味深い。

Technologist in Residenceという肩書きのEli Collins氏は、投資検討の際の技術面の評価を専門とする。採用周りを担当するPeter Clarke氏は人材ファームの出身だ。Kirk Bowman氏はVMWareなどのSaaS・クラウド企業での経験からセールスやその組織づくりに特化している(SaaSの投資先が多ければ、こういったセールススペシャリストを雇ってThe Modelを回すのも良いのかもしれない)。

冒頭に紹介したようなExitの実績を残せたのは、キャピタリストの個の力だけでなく、組織としてスタートアップへの支援体制が整っていることも要因にあるのではないかと思う。

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