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【企業分析】1909 日本ドライケミカル

どうも、「とも」です。
引き続き企業分析に時間を使っているので、今回も分析結果を記載していきたいと思います。

単に、企業の状況を分析するだけだと面白みに欠けてきたのでITストラテジスト的な目線も入れながら企業分析および、さらにこの企業が成長するためにどのようなIT投資が必要だと思われるかを妄想してみたいと思います。

いつもの通り、事業内容をビジネスモデル図解ツールキットを使って図解し、その中でビジネスのキモとなるような部分を整理します。
その上で公表されているIR情報などから進捗などの数字を見て今の現状を整理していきたいと思います。


なぜ日本ドライケミカルに注目したのか

これも、「わが投資術」に記載されていた割安株のスクリーンニング手法を使い、
(流動資産+投資用資産*0.8)-流動負債-固定負債>時価総額 となる企業を探す中で見つかった企業です。

ただ、この企業を見つけた時点では上記の式が成り立っていたのですが、記事を書いている2024年10月3日現在は、株価の値上がりによって時価総額が上がってしまい式が成り立たなくなっています。
それでもせっかくなので企業分析をしてみたいと思います。

日本ドライケミカルの事業内容

日本ドライケミカルですが、防災事業を行っています。
特に、ビル、プラント、工場データセンターや船舶などの消防設備(火災報知器、消火設備など)、および消化器などの防火設備を販売している企業になります。

決算説明資料より(https://www.ndc-group.co.jp/ir/library/pdf/ir_results_individual_2405.pdf)

また、各事業の売上構成についてをみてみます。

決算説明資料より作成

ここで、売上高/売上総利益(粗利)についても防災設備事業が6割程度を占めており、防災設備事業がメインの事業、さらに設置した機器のメンテナンスを行うメンテナンス事業、商品事業を行っている企業です。
メンテナンス事業については、粗利が高いのが目につきます。

事業別のビジネスモデル

次に、各事業のビジネスモデルがどうなっているかをビジネスモデル図解ツールキット(https://note.com/tck/n/nb76ac2c2a709)を用いて図解してみます。

まずは防災設備事業です。

有価証券報告書をもとに作成

防災設備事業といっても納品先によって若干違いがあるようです。
1つは一般建築物向けのビジネス(図の左側)です。
これはいわゆるオフィスビルや商業施設などに対して、消防法で規格が定められた防災設備を納品、設置する事業。
これは大量生産した規格品を納める事業になると思います。

2つ目は、プラント(工場/データセンターも含む)/船舶/消防局などから顧客別のオーダーに応じて防災設備の設計施行を行う事業。
これは受注生産に近い事業になると思います。

この二つの事業特性の違いは今後どのように事業拡大を行うかの戦略に差異が出てくると思います。
ITストラテジスト的な目線で改善提案を行うときに、少し材料にしたいと思います。

次に、メンテナンス事業のビジネスモデルです。

有価証券報告書をもとに作成

基本的にメンテナンス事業は自社が設置した設備の点検業務だと思いますので、防災設備事業にて設置先が増えていけば自然に積み上がる物だと思います。
ちゃんと積み上がっているかが気になるところでしょうか。

最後に、商品事業です。

有価証券報告書をもとに作成

これは、規格品を作成して販売店などを通じて売上を作る事業です。
防災事業の一般建築物向けの事業に近しいところがあるのではないかと思います。

事業別の状況

ここからは、事業別の状況について確認していきます。
まず防災設備事業です。直近数ヵ年の市場の状態について考えてみます。
防災設備事業がターゲットとする市場は以下の図の一般住宅を除く部分です。

決算説明資料より抜粋

設置先となりうる各施設が今後どれくらい供給されるのかを整理してみました。

各種データをもとに作成

商業施設、オフィスビルは今後供給量が下がっていくことが見込まれますが、その分データセンターで旺盛な需要があるという状況です。
ですので、今後も防災設備事業には一定の需要が見込まれると思います。

ここ数年は売上高、粗利ともに右肩上がりの状態ですし引き続き堅調に業績が推移するのではないでしょうか。
受注生産のビジネスだと考えると粗利がかなり優秀な気がします。

決算説明資料より

次に、メンテナンス事業です。

決算説明資料より

こちらは、特に粗利が優秀だと思います。
一方で売上高について防災設備事業の伸びほどは売上が伸びていません。
この点が若干気になっていて、きちんとメンテナンスの提案ができているのか、提案するメニューが適切なのかどうかなど改善の余地がないかが気になります。

最後は商品事業です。

決算説明資料より

これも売上/粗利の伸びともに優秀だと思います。
一方で、他の事業と比較し粗利が低いのが気になります。
おそらく規格品をたくさん作る事業だと思いますので、原価低減に対してITなどが支援できる部分がないかなど考えてみたい分野です。

事業別の業績は伸び、粗利率など総じて優秀だと思います。今後継続して業績を伸ばしていけるのか引き続きみていきたい企業です。
次は全社のPL/BS、キャッシュフローなどをみてみます。

資産構成と資本効率について

まずは今回日本ドライケミカルに着目するきっかけになった資産構成についてみてみます。

決算資料をもとに作成

日本ドライケミカルは非常に流動資産が多い企業です。
流動資産で、負債を全て賄える上に時価総額に近いお金が余る状況です。
※9月中旬の時点では時価総額が低かったのですが、直近の値上がりで収まらなくなってしまいました。

なぜ、これほどに株式市場からの評価が低かったのかを考えるため、ROEをみてみます。

決算資料より作成

ROEについても継続的に10%を超えており、非常に優秀だと思われます。
株式市場からの評価が低いのはまだ注目されていなかったからと言えるのかもしれません。
※10月3日時点ではPBR1倍越えとなっています。石破新総裁の就任で防災省が設立される予定となったことから、防災関連企業が見直され買いが入ったものと思われます。

ちなみに、24年1Qの決算説明資料には市場評価を改善する施策について記載がされています。

決算資料より

売上高、営業利益率などについては下記のリンク先に記載しています。
ITストラテジスト的な目線での分析や改善提案も引き続き以下のリンク先に記載しますのでよければご覧ください。
https://docs.google.com/presentation/d/1WbYeR0-o0XCLO7VF2llxgYpi3KhtEXzcdBwpz_ASfjg/edit?usp=sharing


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