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ゲイをカミングアウトされた日 #112
「僕ゲイなんです。」
2017年の秋、免許合宿の同期にゲイをカミングアウトされた。
私たちは仮免の合格祝いでそば屋に連れて行ってもらった。
連れてきてくれた運転手はなぜか一緒に食べず、「食べ終わりそうな頃に迎えに来るよー!」と言って、私たち二人を置いてどっかに消えてしまった。
同期とはいえども初めましての私たち。絶妙に気まずかった。
もう7年弱も前のことだから、正直何を話したか覚えていない。
でも、「僕ゲイなんです」と人生で初めて人からゲイをカミングアウトされたことだけは今でも鮮明に覚えている。
当時からゲイなどに偏見のなかった私は、彼の話を興味深く聞いていた。
そして「誰でもオープンにできる世の中になるといいですね!」みたいなことを言ったのだ。
それに対し、彼はこう答えた。
「ゲイを公表することはいいことばかりじゃない。僕らは少子化に貢献できないし」
「そうだね、そうなったら嬉しいな!」みたいな返答されると思っていた私には衝撃的であった。同時に複雑な気持ちになった。
彼はゲイであることに負い目を感じているように見えた。
きっとたくさんの葛藤を抱えて生きていたんだろう。
その言葉に対し、私が何と返答したかは覚えていない。
が、「何が正義かは分からない」ということを思い知った出来事であった。
「ダイバーシティ」という言葉が広まった今、彼はどう過ごしているのであろうか。