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親知らずぜんぶ抜く【後編】
こんにちは、Otomoです。親知らずを全身麻酔で一度に4本抜いたときのことを書いています。【前編】を書いてから時間が経ってしまいました。【後編】では入院が決まってからのことを書きます。
過剰歯が見つかる
手術予定日の2週間ほど前、口腔外科の担当の先生から、最終的な入院日と手術日が決まったとの連絡があった。また、先日撮ったCTで過剰歯が見つかったため、入院前日に説明しますと言われた。過剰歯と言われてもピンとこなかったので、ひとまず入院前日を待つことにした。
入院日前日。口腔外科で過剰歯についての説明を受けた。なんと上顎の骨の真ん中あたりに、余分な歯が上に向かって生えた状態で埋まっているらしい。上顎の中に余分な歯が上に向かって生えた状態で埋まっている??そんなことがあるのかと、虫歯を告げられたとき以上に信じられなかった。なんかジョジョに出てきそうなシチュエーションだ。
加齢により鼻の穴の中の粘膜や脂肪が減ることによって鼻腔内に過剰歯が露出したり(想像すると恐ろしい…)、上の前歯が根元まで虫歯になった場合にその菌が感染して過剰歯も虫歯になったり、と悪さをすることはあるが、可能性としては低いらしい。
そもそも過剰歯は大抵子どもの頃に見つかって将来の影響を見越して抜くことが多い。ただ、今回CTを撮るまで気づかず、今まで何の支障もなく生活してきており、歯自体すでに成長しきっているので、今後さらに伸びて鼻腔内に出る可能性もほとんどないとのことだった。
仮に今回の手術でこの過剰歯も抜くとなると、口腔内から粘膜をめくり深くまで掘って抜くか、鼻の中から抜くことになるらしい…。それにより上顎の中に空洞ができて鼻と口が一時的につながったり、上顎の感覚がなくなるリスクがある(なくなっても特に支障はないが)とのこと。
親知らずと違って過剰歯は若いときの方が抜きやすいということもないらしく(加齢による他の病気が理由で麻酔を使った手術自体ができなくなる可能性はあるが)、そのままにすることもあるので、病院側としても今回無理して親知らずと一緒に抜く必要はないとの判断だった。
私も今回親知らずを全身麻酔で全部抜くというだけでもかなり不安があり、過剰歯を抜く方法を聞いて完全に怖気づいてしまったので、抜かなくても問題なく生活していける可能性の方が高いのであれば今回は抜きたくなかった。
もし今後、過剰歯が悪さをするようなことがあれば抜歯を検討し、なければそのままということになった。
入院、手術前の緊張
手術は入院したその日に受けることになっていた。朝から絶食。
病院の駐車場から病院の入口に向かう途中で、車いすを動かそうとしていたおばあさんを助けてあげた。
入退院センターの窓口へ行くと、本日の入退院予定者数25名との掲示があった。ここで入院保証書と診察券を提出。部屋は9階だった。
病棟に入った後、入院費用の支払確認書を記入。退院日が休日のため、後で電話連絡後、窓口で支払うことになった。
手術は12時30分予定。部屋は角部屋で、窓から自分の住んでいるアパートが見えた。
部屋の使い方の説明を受けた後、下着以外を脱いで手術着に着替えた。Lサイズだが思ったより短く、脚が出るのが気になった。
すぐに点滴を打った。生まれたばかりの頃に点滴を打ったことはあるらしいが、自分で記憶しているなかでは初めてだったので少し緊張した。血管の中に点滴液が流れてくる感覚があった。
その後、薬剤師や栄養管理士が薬や食事の説明に来たり、口腔外科の担当医が改めて歯を見に来たりした。気持ちが落ち着かず、テレビを観たりゲームをしたりする余裕はなかった。不安でトイレに何度も行った。11時から水を飲むのも禁止された。
前の手術が長引いているのか、予定時刻の12時半になってもなかなか連絡がなかった。後になって思うと、この辺りから頭がなんとなくぼーっとして少し眠気があった気がする。手術室へ向かうときや手術室に入ってから、緊張で心臓バクバクするのではと思っていたが、そんなこともなかった。点滴に何か気持ちを落ち着かせるようなものが入っていたのだろうか。
いよいよ手術が始まる
14時20分に手術室入室と言われる。最後にトイレに行き、貴重品(スマホ、財布、メガネ、腕時計)を付き添いで来ていた母親に預けてから、看護師と手術室へ向かった。
メガネがなく視界がぼやけていたことが恐怖心を減らすのに少し役立ったかもしれない。手術室の中がどうなっているのかちゃんと見てみたかった気もするが。
自分で手術台に上がって仰向けになると、ドラマとかでよく見る手術室の蓮の花のような照明が頭上に見えた。温かい電気毛布のようなものを掛けられ、色々な器具が体に貼り付けられていく。隣に立っている看護師が確認事項を読み上げていた。
「腕からぼーっとする薬を注射しますよー」と言われる。酸素マスクも被せられるが、「今出ているのは酸素だけです」と言われた。この辺りで緊張してきて鼓動が速くなると、遠くで鳴っているピッピッという電子音も速くなったのが分かった。あれがよくある心音計か?と思っていたら、「緊張してますね」と言われた。
麻酔薬は吸入と聞いていた記憶があり、酸素マスクから吸うものだと思っていたので、まだ酸素だけかと気を抜いていたら、急に1秒くらいで意識が遠のいていくのを感じた。
手術完了直後
意識が戻ってきたのは手術室から病室へ運ばれている最中だった気がする。部屋のベッドに移される感覚と、「思ったより背が高い(から気をつけて)」みたいな声が聞こえた。思ったより背が高い、とは?
喉の奥の方へ血が流れてくる感覚があり、飲み込むしかなくて少し辛かった。鼻の奥から喉の方へ流れてくるので鼻血だと思い「鼻血が止まらない」と訴えて吸引してもらったが、後になって思うと鼻血ではなく、口の中の血と鼻水が混ざったものだったかもしれない。一応血止めのガーゼを右奥歯で噛んだ。担当の先生が「唾液が多い」と言っているのが聞こえたが、唾液も混ざっているのかもしれなかった。以前から自分は唾液の量が多いのではと思っていたが、医者から言われてこのとき確信を得た。
お母さんを連れてくると聞こえ、母親が来た。目をつむっていたが、一人で大丈夫か、帰って大丈夫か、今夜もいた方がいいかなど聞かれて、うなずいたり首を振ったりしていた記憶がうっすらとある。
その後外が暗くなっていることに気づき、そんなに手術に時間がかかったのかと驚き時間が気になったが、時計を見る気力はなかった。とりあえず酸素マスクを外せるまではじっとして寝ていようと思った。
酸素マスクが外れてから鼻を触ってみたら、鼻水なのか血なのか分からなかったが、何かが乾燥して固まっていた。スマホで時間を見たら20時半くらいだった。母親にLINEして聞いたところ、手術は3時間もかかったらしい。
歯の痛みはなかったが腫れている感覚はあり、頭痛と熱と倦怠感があった。夕飯はどうなったのか?ゼリーなど何か食べられるものを食べた方がいいのか?シャワーや歯磨きは?と気になったが、21時くらいに消灯されてしまった。
深夜、点滴のアラームが鳴ってナースコールを鳴らした気がする。右奥歯で噛んでいたガーゼを外すか迷ったが、わざわざナースコールで呼ぶのも気が引けてそのままにしていたら、24時くらいに来た看護師の方がベッドのライトで照らしながらガーゼを取ってくれた。トイレに行くか水を飲むか聞かれたが、頭痛とだるさで気力がなかった。その後何時だったか分からないがトイレに行くためにナースコールを使った気がする。
鼻がつまっていたせいか自分のいびきで何度か目が覚めた。
退院日
点滴のアラームが鳴って赤く点滅したので焦ってナースコールを押したら、ただの点滴終了の合図だった。このときが朝の5時半くらい。ここで初めて口をすすぎ、水とゼリーを飲んだ。鼻をかむと鼻水は今まで見たこともないような黄緑色をしていた。点灯された照明が眩しかった。
8時半くらいに朝食が運ばれてきた。メニューはシチュー、食パン2枚、サラダ、そしてヨーグルト。ヨーグルトは私がいつも買っているものと同じだった。頑張って口に入れようとしてみたが、ヨーグルトしか食べられなかった。歯が痛いというよりも、熱と頭痛によるだるさで食欲がわかなかった。せっかくの病院食で少し楽しみにしていたが残念だ。持参していたゼリーともらった薬を飲んだ。
薬を飲んでしばらくすると腫れぼったさや熱、頭痛は落ち着いてきた。
口腔外科の先生が2人、歯の様子を見に来て退院の許可が出た。歯磨きもして良いが奥歯までは磨かず、次回外来のときに掃除してくれるとのことだった。鼻水が出たのは鼻腔が小さくて麻酔の管が中でこすれたかららしい。「鼻腔が小さくて羨ましい」と言われた。よく意味が分からなかったがスルーしてしまった。
続いて退院の説明と診察券の返却のために看護師が来た。もういつ家に帰ってもよいとのこと。シャワーを浴びていいか確認したが、家に帰るまでに体が冷える気がして結局浴びなかった。
熱はまだ37度くらいあったが、頭痛は治まり元気も出てきたので、服を着替えて帰る準備をした。トイレの水道で髪だけ軽く洗った。
退院時は受付で腕に巻いた患者識別用のテープを切ってもらっただけだった。土曜日のせいか病院内は閑散としていて総合受付もシャッターが閉まっていた。
自宅までは徒歩だったが、問題なく帰ることができた。
一応職場に電話で退院の報告をした。思ったよりも声を出して喋ることができた。
腫れている感覚があり口を大きく動かすことはできなかったので、食事はおかゆとスープとゼリーしか食べられなかったが、薬を飲んでいれば痛みはなかった。
そして顔がすごく四角くなっていた。
この後のことも書きたいのですが、入院と手術の記録が細かすぎて思ったよりも長くなってしまったのでここで一旦終わります。前後編だけでは終わりませんでした。