エンタメで仕事したことなかったぼくの、エンタメへの恩返し。

このnoteは劇団ノーミーツ1周年記念企画「劇団員24人全員がnote書く」のひとつです。劇団ノーミーツコーポレートの上原丈弥が書いています。その他の劇団員のnoteはこちら

こんにちは。劇団ノーミーツのコーポレート(経営企画)担当の上原です。一番表に出ないポジションかもしれません。ファイナンス、会計、法務、労務、経営管理、その他会社の仕組みづくりや整理を担当しています。ちなみにビジネス系の人が足りてないので手伝ってくれる人がいたら泣いて喜びます。

普段はタイガーモブという実践教育×海外のベンチャーで、CFOとして働いています。演劇どころか、エンタメにも仕事では縁がなく、10か月前は、まさかエンタメに仕事で関わるなんて思ってもいなくて、人生何があるかわからないものです。

でも人生の中では、それにたくさん救われてきていたので、エンタメに仕事で関われていることは、劇団ノーミーツのおかげであって、本当に貴重な機会をいただけたと思っています。今日はその辺りを書けたらと思っています。

埋まってないと不安

ぼくはこれまでの人生の中で、エンタメにたくさん助けてもらってきた人間です。高校生の時から10年くらいジャンプとヤングジャンプを毎週買い続けてしまっているのは、卒業のタイミングを見失ったのもあるけど、一番の理由は、ページを開いて読んでいるその間、他のどんなことも忘れて、没頭できるからだと思います。たった15分かそこらの時間が、30分にも1時間にももっと長いようにも感じられて、作品の世界の住人になっている感覚。エンタメが好きな人は、きっとおんなじ経験をしているんじゃないでしょうか。

自分の頭の中には、2つくらい空き部屋があって、仕事をしたり考え事をしているとき、部屋が1つ2つと埋まっていきます。この時、空き部屋が1つでもあると、考えなくてもいいことをもやもや考えだして、集中できなくて、結果として何にも手がつかなくなることがあって、それがいつもぼくにとっては不快です。ほんとに集中して考え事をしたいときは、歩いたりシャワーをあびたり、何か体を動かして必死に空き部屋を1つ埋めることで、残った部屋を気兼ねなく集中に振り向けることができます。次第に全集中できるようになると2部屋とも仕事で埋まって、自由になれる。でも仕事のような没頭できるものがないときが大変で、学生の時でいえば勉強に集中できていないときが大変で、部屋が空いていることにとてつもなく不安を覚えるわけです。

強迫観念みたいなものなんですかね・・・無意識のうちに自分で自分にプレッシャーをかけたり、こうでなければならないという理想があって、前に進めていないことを肯定できない自分がいて、「やることないなあ・・・」という暇を楽しめない。退屈が我慢できない。

そういう隙間を埋めてくれる存在が、ぼくにとってのエンタメです。

『ここは今から倫理です』に「自由は不安のめまいである」というキルケゴールの言葉がテーマの話があります。本や漫画や映画に向き合っている時は、自由もないけど不安もない、ぼくにとってすごく心地いい時間で、それがここまで27年間の支えになっていました。

エンタメが仕事になった瞬間

林

そのくらい大きな存在だったはずなのに、上記のことはほんとに自覚がなかったというか、自分の将来や人生を考えるときにエンタメのことは1ミリも出てこなくて、仕事になることも想像もしていませんでした。

だから、6月4日の深夜に、高校の同級生の林に呼ばれて、「法人化するから手伝ってくれない?」と言われたとき、最初は「さくっと仕組み作って短期プロジェクトとしてやり切るかー!」なんて思っていました。けれど、しばらく続けるうちに「よく考えたらこれはエンタメに仕事として関わっているということなのでは・・?」と思って、まさしく「自分の好きが仕事になった瞬間」でもあることに気づきました。

林には、大学時代に自主映画の俳優として呼んでもらって、一緒に映画を作っていたことがありました(初めてすぎてドキドキしながら演じてたのをいまでも覚えてます)。その時と同じような、エンタメを作る側に入って、見る時とは違うようなワクワク感を味わっているのが、いまです。

感謝と恩返し

ぼくにとってノーミーツに関わることは、恩返しです。これまで自分を支えてくれたエンタメを、今度は支える側に回ること。だから関われていること自体がとっても尊くて、楽しい。

関わってみて面白かったのは、エンタメ作りの裏側が見えることです。直感と共感とがたくさん折り重なってあーだこーだいっている間に企画ができてしまうわちゃわちゃ感と、いざやるとなったらチーム一丸となって1つのものをぐわっと作り上げていく結集感が好きで、こうやって作品って生まれて育っていくんだということに感動するし、作り手であるみんなを改めてリスペクトする毎日です。

そうしてみんなが届けてくれる作品を楽しみ、こんな素晴らしい作品をちゃんと形にして世の中に送り届けてくれていることに感謝しつつ、クリエイティブに没頭できるような環境を作ったり、未来の作品作りのためにリソースを整えたり。組織になり会社になることで、どんどん可能性が増えているノーミーツが、もっと未来に向かって進んでいくための仕組みづくり。まじで可能性しかないんだよな・・・。みんな凄すぎて、だからこっちも引っ張り上げられてがんばるしかないなって感じです。

ぼくは、ノーミーツの作品が、一ファンとして大好きです(特に門外不出モラトリアムの衝撃は忘れられません)。きっと、ぼくが救われたように、劇団ノーミーツの作品で救われている人がたくさん世の中にいるから、その作り手であるみんなを裏側から支えることが、僕なりの恩返し、恩送りになると思っています。そういう機会をもらえていることが、本当にありがたいです。

そして自分の得意であるファイナンスや経営管理が、エンタメと出会ってちゃんと価値を出せていることが、なんだか仲のいい友達同士が仲良くなるみたいな、ムズムズする感じで、めちゃくちゃ嬉しいんです。

「わたしと、一年目の劇団ノーミーツ」というお題をもらったとき、真っ先に思いついたのは、そんな奇跡みたいな出会いと機会をくれたことへの感謝の気持ちでした。

自由で、多様で、挑戦できる組織の、未来をつくる

名称未設定のデザイン

みんなの「無邪気さ」がぼくらの価値の源泉で、あれいいなこれいいな、が何も遠慮せず言えて、いろんな場所から若いパワーが集まってきて、自由に作品づくりができること。この流れを止めたらあかん!って思っています。コーポレートのミッションは、そんな無邪気な挑戦を持続的に続けていける組織をいかに作るか、です。

ただし、自主活動から会社になったノーミーツがそれを実現するのは、とても大変です。会社の成り立ちからして、普通じゃないです。起業家が立ち上げた!というよりは、思いある仲間が集まってやっていたらいつの間にか会社になっていた!という感じです。

会社はお金がないと続けていけないし、社会のルールや慣習を守りながら事業を運営しないといけません。自由にフルスイングできること、多様なメンバーが集まっておもろいことを仕掛け続けること、持続的に活動できること、それをさらに大きくしていくこと。急成長中の組織に伴うたくさんの悩みがあります。

例えば事業。全然まだまだ足りないし、チームのポテンシャルを活かせばもっとできることがあります。企画できて物語かけてデザインできて広報できてコードもかけて、こんなに可能性あふれているクリエイティブチームは他にないです。演劇に限らず広くエンタメを扱っていけるかもしれない。じゃあそんなぼくらはどこに向かって走っていくのか。
ミッションビジョンから考えた戦略策定、より大きなパートナーシップ、営業したり採用したり、組織を未来に向かって成長させていくためにできることがたくさんあります。

例えばマネジメント。足りないと言いつつも、本当にありがたいことに、すでにいろんなお仕事や案件のお話しがノーミーツに舞い込んできています。そして1つの案件には、プロデューサーからプランナー、デザイナー、広報、演出、脚本、役者、美術、エンジニア、50人も100人もの方が関わります。雇用、副業、業務委託、それぞれの働き方もさまざまです。そしてそんな案件が10も20もあると・・・マネジメントやバックオフィスに関わったことのある人なら想像に難くないと思います。
多様な働き方を受け止める文化と仕組みづくり、組織としてのリソース配分を全体観もって管理するマネジメント、見積もりや報酬の納得感あるルール作り。主にプロデューサー陣が悲鳴を上げており、もっと考えていきたいのです。

あるいはファイナンスでは、製作期間が長くなるほど後ろ倒しになるキャッシュフロー、変動しやすい券売、これに合わせてリソースの振分を行うことに、一番頭を使っています。
もっと未来に投資するための資金調達にも挑戦したい。変動費と固定費のバランスを見ながら、売上側も安定させる仕組みを作りたい。全社を横断して予実管理できるオペレーションの設計も早々にやってしまいたい。クリエイティブの力もあれば、オンライン劇場ZAのようなウェブサービスも持っていて、いろんな事業の考え方ができます。可能性しかないからこそ、いまのリソースに囚われずに、未来に対して自由に無邪気に仕掛けていくためには、ファイナンスでの工夫が不可欠だと思っています。

そして何より、エンタメ×スタートアップってあんまりない領域だと思っています。マネジメントが好き、組織の成長を考えていくのが好き、ファイナンスも含めて事業戦略立てていくのが好き、それでいてエンタメ興味ある、という人には天国みたいなやりがいしかない場所です。

※とにかく、ビジネス視点で考えられること&できることが、山盛りあるので、ここを一緒にやってみたい!という、BizDev系の人、ビジネスプロデューサー的な人、経営企画やバックオフィス系の人は、ほんとにほんとに声かけてください!

みんなでもっと遠くまで行ってみたい

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「早く行きたければ、ひとりで行け。
遠くまで行きたければ、みんなで行け。」

ぼくが好きなアフリカのことわざです(アフリカ知ってる人はだいたい知ってる言葉)。これだけ素晴らしいチームが揃っていたら、できないことなんてないように思えてきます。ひとりではたどり着けない場所にも、みんなでだったら行ける。みんなと一緒だからこそ挑戦できることがあります。

もっと仲間も増やしたいし、演劇以外のいろんなエンタメに挑戦したいし、世界も獲りたいし、見たことないテクノロジーもぶん回したい。でかいビジョンを掲げ、たくさんの人を巻き込み、あらゆることに挑戦し、常にエンタメの可能性を切り開き、それでいて居心地もいい、劇団ノーミーツがそんなチームであり続けるために、自分にできることを、これからも続けていきたいと思っています。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

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