生きるべき者 生かざるべき者
悔しくて悔しくて、たまらない。
なんでこの時期に来て、こうも暑いのか。💦💦
昨日も一昨日も30度超え。
この蒸し蒸し暑さこそ、とてもヤバい、と思うのは私だけか。
コロナ菌はしばらくの間小康している今、油断大敵と言いつつ、世の中は
「今までのツケをはらわな、おられません。」
と言わんばっかりに、そんなに慌てて、来なくてもいいのに。金沢だけどね。笑
観光地から出る時は地獄から這い上がったかの様。来週辺りからの結果がとても怖かったりして。笑
これだけ蒸すと、生き物は辛い。
私らも犬も猫も。外ではクマも猿も羊も山羊も、カエルもムカデも、こおろぎもカマキリも、ハエも蚊も、野菜も草木も魚も。きっと地球に存在している生き物全て、青空星空が怨めしく見えているのではないか。
先週から、私は犬以外の生き物を飼っております。
その名もハエ。正確には「ショウジョウバエ」
いよいよ、暑さが頭に回ったかと思わないで。大丈夫だから。笑
この頃の家は、所謂害虫が寄り付かない様な仕組みになっていて、ウチも数年いなかったけど、今年はホラ。この暑さ。じめじめ加減。
台所の手押しドアの隙間から、ひょう〜っと。
入ってきたのです。
内心、あーーー、めんどくさ、、勝手に出ていくだろう。。と思っていたのだけど。。
それなのに、、、、どれだけ気を揉んだ事か。笑
この頃は不思議なことに、ハエでも、日々一緒に居ると愛情こそはわかないけど、ふと、あれ?どうしている? と気にしたりするものです。
抵抗はないわけでなく、やっぱり不潔かと思、何度もタオルで追いかけ回したり、ホウキヤ団扇ではたいたり風を起こしたりもしたけど、手押しドアや開き戸の前まで追い込んで、「さ、さ、出なさい」と言った次の瞬間に、踵を返すようにUターンされて。笑笑
犬のはる子などは、自分の周りで何かが、ちらちら動くと、キョロキョロ。さがすさがす。笑
そうやって日々を過ごし、繰り返してきたところ、今では朝、目を覚まして台所に降りて水を飲んでいると、サササーっと、どこからともなくやって来ます。そして嬉しそうに、周りをふわふわと。その様子から、もしかして私の顔覚えたかな、とか、みんな起きてきたら喜んでるじゃんとか、わかる様になりました。。なんつって、ある訳ないか。笑笑
息子などは、庭の棚からキンチョールを持ってきたのに、今シューしたらイヌのご飯にかかるし、と私に言われ、また犬に軽く拒否されたりで、ボタンひと押しが、なぜかできないと言う。。笑笑
気がついたら、一家総出で、ハエ如きに。わっはっはー。
普段はね、ハエはどこに羽根を伸ばしていると思います?
今回わかったんです。
ちょっとヒヤッとする朝は、テレビの真っ暗になっている画面にいるんです。そして暑い時は白い天井に。
電信柱に屯している雀は暖を求めているし、カラスは繁殖期だけ餌を求めて降りてくるけど、ハエのような虫でも、より暮らしやすい自然環境を求めているのでしょうか。
もちろん悪いことばかりでもありません。
ゴキブリは水一滴で1ヶ月生きるそうで、もしこのハエも食べ物のかけら一片で一年も居付かれたら流石に困ると思い、私は私で、今まで以上に台所を磨くようになりました。だからウチは元々綺麗にプラスしてよりピカピカですよ、笑
また、ネットで生存期間も調べてみました。
そうしたら、どうも1週間から10日間の生存で、長い大きい物でも4週間とありました。
やはり長くは生き永らえないのですね。
ウチの子は、笑、身体は小さく、今年孵化したばかりの子どもで、それでももう一週間すぎましたから、だったら、後しばらくの命と言う事になります。
それならーー。
大して嫌な事もしない、人が来るとはしゃいで見せるくらいで。
これなら、もう少し辛抱してやっても良いかな、と次第に思うようになりました。
馬鹿ばかしいでしょ? 笑
でもね、こんなことをいうのも理由があります。
実は、私は生き物が処分できません。
どんな小さなものでも、です。
ただ仕事上、困ることもあります。なので、人体に影響を及ぼす前に虫を除ける電子機器などを使用しています。
自分以外の、全ての生き物を、殺そうと思う心が怖いのです。
例え、虫でも、です。
小学校5年生の時、道徳の時間に担任の前田先生は、私たちにちょっと悩む質問をしました。
小学校道徳に定番で登場される、かの有名な宮沢賢治さんの学生時代の話でした。彼は人類愛に溢れていて、なおかつ自然社会全体の存在意義と慈悲の心の深さは並外れていました。
当時はまだ子どもで、前田先生からそんな話を聞いても、正直よくわからないと言うのが本音でしたが、その後に件の質問が登場したのです。
「宮沢賢治さんはとても勤勉家で、四季問わずに夜遅くまで電灯を灯して勉強したそうです。夏にはたくさんの虫たちが電灯の明るさを頼りにやってきて勉強の妨げになるくらいだったそうだけど、賢治さんは変わらずに勉強に勤しんだそうです。賢治さんは果たして、どのように過ごしたんだろうね。」
最初に挙手した男の子は、はだかの暴れん坊将軍の栄俊くん。
「フマキラーで、シュッと1回して、後は手でパチンパチンとしたんだと思います。」
これに、みんなにやにやしながら、そうだそうだとうなづいていました。何人かも同じ意見です、でも、殺虫剤なんてあったのかな、その時代と言う子もいました。
2番目は私の出番です。
正直言って栄俊くんと同じことを思っていたのだけど、この頃母が同じ小学校に勤務していた事が常に頭にこびり付いていて、下手な事を言ったら後で叱られるだの、お利口さんでいないといけないだのと、ずっと思っていたので、発言も優等生らしいものをわざと選んだことを覚えています。
「心の優しい賢治さんのことだから、きっと自分の害にならない虫とかは放っておいて、蚊や蜂とかは自分が刺されたりしたら危ないから、殺したんじゃないか」みたいなことを、堂々と言いました。
ここでまた、たくさんの子が、ああ、そうかな、そうかもね。ともちゃんの言うことだもの、合っとるよ、きっと、と。私はどの位、偉そうにしてきたんでしょうね、立っていて、ふとそんな事が頭を過りました。
歳を重ね、青春期を迎えた頃の私は、この「あなたが言うことに間違いはない」的な言葉の大サービスに、死ぬほど苦しみましたが、この、まだ小学生の私には美酒だったのでしょう。
発言を終わってから満足気に着席して、何げなく「宿敵のライバル秀雄くん」を見ました。彼はとても重い、暗い顔をしていました。
とても長い時間がかかったところで、前田先生が御自分で秀雄くんを指名したのです。
学級委員の秀雄くん。彼は困った顔を徐に見せながら
「宮沢賢治さんは、慈悲深く、子どもの時から命の尊さを全ての生き物に感じてきたと、図書館で借りた本で読みました。だから、生き物全部、命をつぶすことは出来なかったと思います。でも、普通は有り得ないし、ともちゃんの意見もわかるから、困っています。ごめんなさい。」
と答えました。
クラスのみんなも、黙ってしまいました。
本当はみんな、秀雄くんと同じ事を考えていたのかな、とも思いました。
前田先生は、悩む自分のクラスの子達を、嬉しそうに微笑みながら、
「難しいお話ですね。一人ひとりがそれぞれに、意見をしっかり持つ事ができて、今日はとても素敵な道徳の時間になったね。先生ももう一度、考えてみるから、みんなも今日のお勉強を忘れないで、考えてみてね。」
と話されたちょうどその時に、チャイムがなりました。
あれからもう40年近く経ちますが、あの時どう答えれば私らしかったのか、どう良かったのか、と今もよく考えます。
宮沢賢治の作品を片っ端から読み漁り、人物像を研究し、彼の事でわからないことはないだろうと自負しています。偉そうですが。笑
ただ、未だに親のことで見栄を張り、プライドしかなかっただろう子ども時代の自分、恥ずかしい自分が心の奥底に存在します。心が傷んだり疲れたりした時は、これがストレスとなって、自分の首を絞めてしまいました。
うわべだけの自分、偽善的な自分、と。
課題多き、人生。みんなそうだろうけど。
高々、ハエですが。笑
私の前で命尽きて果てるのか、ある日突然、何事もなかったように、飄々と窓の外に向かって飛び立つか、わからないけど、このまま、見てやりたいと思います。笑笑
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