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リゾート開発に乗った熱海、昔ながらの魅力を維持する真鶴
旅行先の決定
最近岩盤浴や温泉にも行けてないので週末どこか行きたいねと話していました。近場で考えると熱海はリゾート地になってしまい宿泊費も高く、人混みや渋滞でかえって疲れそう。湯河原とか真鶴って意外と穴場なんじゃ無いの?と言う会話から、真鶴ならお安く宿を確保出来そうとのことで週末旅行で真鶴に向かうことが決まりました。
旅程の検討と真鶴町観光の事前評価
問題は観光スポット。真鶴町を訪れる前の事前リサーチでは神奈川県唯一の過疎地域とあり、海岸沿いの絶景を楽しむ以外の時間の使い方についてアイデアが湧きませんでした。かみさんが熱海の来宮神社を参拝したいと言っていたので初日の早い時間に駐車場を確保して熱海観光、翌日が真鶴観光かな?程度に考えていました。
実際に初日午前中はリゾート開発された熱海の街を彷徨きます。常に駐車場が空いているかを心配しなくてはならず、何処に行っても観光客だらけ、飲食店には長蛇の列が出来ています。ビーチや熱海桜は心を癒してくれますが、ビーチ沿いには景色を独り占めしようとする高層リゾートホテルが立ち並び、まさに現代風の観光地です。真鶴町の魅力を知った今では恥ずかしい話ですが、早めに真鶴に移動しようと言うかみさんを、真鶴ではあまりやる事が無いので少し熱海観光をしようよと引き止めたのは固定観念が強い私でした。
熱海ではタイミング良く駐車場に入れ、来宮神社を参拝し、事前に予約したイタリアンレストランで昼食を取り、ビーチ周辺で熱海桜の写真撮影をして、お土産などを購入し、お昼をだいぶ過ぎてから真鶴町に向かいました。
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自然の魅力溢れる真鶴町
事前にYouTubeなどで勉強していたので臆することなく真鶴町の狭い海岸沿いの道を通りケープ真鶴を目指します。次第に海から山の景色に変わり、山道をくねくねと登って行くと、立派な大木が立ち並びます。えっ?!この景色は屋久島にも負けて無いんじゃ無いの?こう言う所に神様はいるんだよね!と、我々家族のテンションはいきなりMAXになりました。この豊かな森の養分が海に流れてプランクトンが育ち、魚が集まると言う自然調和が取れたサイクルが回っているのですね。大きな木々に囲まれた神聖な雰囲気の森、その半島を取り囲む綺麗な海、そう真鶴はこんなに自然豊かな素晴らしい場所だったのです!
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風が強かったのですが、遥か遠くの島々や伊豆半島、三浦半島、房総半島を色鮮やかに見ることができ、しめ縄が張られた三ツ岩の間から登る朝日を想像し、岩礁に寄せては砕ける波の音をしばらく楽しみました。また庭園中には石を使った芸術作品が展示されており、石が採掘出来るのも有名らしいよと事前勉強の成果を披露します笑。家族からは、こう言う場所でゆっくりしたかったんだよねと散々言われます。素晴らしい景色を観た後ですが、この感想には心の底から賛同しました。
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町のお洒落なパン屋さん
続いてInstagramでチェックしてから、どうしても立ち寄りたいと娘と盛り上がったお洒落なパン屋さん、秋日和を訪れます。西回りのルートで駅前に戻り、駐車場に車を停めて入店。良かった、まだ美味しそうなパンが残っていました!先客のご夫婦も大量のパンを購入し、イートインスペースでパンを食べるようです。ショーケースに並ぶ色々なパンを見ると、あれもこれも食べたくなりますねぇ。今回の宿は食事を付けなかったので朝食は秋日和のパンだねと決めて、わざわざ珈琲セットを持参して来ました。美味しいものを食べることには本気で、協力的な家族で良かった笑。ベーコンエピ、チーズパン、ラムレーズンクリームチーズ、甘夏ピールクリームチーズ、アンチョビオリーブ、そしてお店のシンボルにもなっている映力満点の田舎パン!を購入しました。ベーコンエピや田舎パンはカリカリの食べ応えあるハード系のパンで食感とパンの香りがたまりません。クリームチーズ系は食べ易くとても美味しいクリームチーズで上品なデザートでした!わざわざパンをカットするナイフも持参して、小分けにして色々なパンを楽しみました。
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美の基準との出会い
無事にパンを購入して気分上々、次に娘がチェックしていた本と美容室に向かいます。Googleマップを頼りに美容室を目指しますが、えっ?これって明らかに他人のお家の庭を通り抜けるルートになって無い?地図はこの辺りですが目の前には小さな民家とお庭が立ち塞いでいるのです。このルートを諦めて、違う方面からのアプローチを試みます。宝のありかを求めて進むべき道を開拓するダンジョンを歩く感じです。周辺をウロウロし、ついに小道から上がる狭い階段に、石の目印が置いてあるのを発見!これは流石にわからないねと階段を上がり、蜜柑がたわわに実った景色を楽しみながら歩を進めます。秘密の通路のような小道を進むと自然と笑顔になっていました。
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目的地である本と美容室に到着!なんと外見はただの古民家であり、さっき反対側からアクセスしたお家じゃ無いですか!水色の扉を開けると素敵な内装の空間が広がっています。美容室スペースの奥にある八角形の部屋にはセレクトされた本や健康に良さそうなドレッシング、ジャムなどが陳列されています。美容室スペースにも好きなものしかディスプレイされていないと娘も興奮気味です。ここで運命の出会い?美の基準と言う雑誌を目にします。パラリとページをめくると真鶴の町の美しさはどんな点にあるのか、どんなことに注意して町作りをすれば良いのかの指南書が写真やイラスト豊富に紹介されています。完全にハートを掴まれました。私的には大好物の雑誌です。かかり気味に店員のお姉さんに色々と質問してみました。すると近所の道草書店または真鶴出版社で購入出来ると教えて貰いました。これは行くしか無い!お姉さんとの会話も盛り上がり、真鶴に移住して来た経緯やお薦めの食事処などまで教えて貰いました。なるほどお洒落感度が高い若い人たちが、この真鶴の良さを残したまま町を盛り上げようとしているのを知りました。そうこの瞬間完全に真鶴町の魅力にやられてしまったのです!
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早速、道草書店を訪れてみると、ここも素敵なスペースです。どれもこれも読んでみたい本が新書、古本問わず狭いスペースにきっちりと本棚に並んでいます。しかも奥には珈琲が飲めるカフェスペースがあるじゃ無いですか!ゆっくり珈琲飲みながら読書出来るなんて最高の空間です。美の基準が置いてあると聞いたのですが?と店員さんに尋ね、無事に美の基準を手にすることが出来ました。隣に陳列してあった真鶴町案内読本 真鶴手帖も購入しました。娘はこちらの本屋でも何冊か購入したようです。大満足で本屋を後にしました。久しぶりのリアル書店巡りは非常に心ときめく時間となりました。
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本日のお宿と夕食
夕方になり本日の宿、真鶴真凛ホテルにチェックインします。入り口がわかりにくいのですがインク瓶美術館の看板がある坂を登って行った所です。ちょっと坂を登ると、周囲に高い建築物が無いため琴ヶ浜の海が見えるじゃ無いですか!海の先に真鶴半島の先端が望めます。これは景色が素晴らしい。ですが残念ながらシービューエリアの部屋じゃ無いんだよねぇと言いながら部屋に向かうと、何と海に面するお部屋でした!翌朝、日の出を撮影するために早起きするぞと意気込んでいたのですが、これならば部屋から日の出を撮影出来そうです。綺麗なピンク色の夕陽に変わって行く空を眺めながら、どんどん私たちのテンションは上がって行きました。
夕食ですが、お昼をヘビーに食べていること、翌朝は美味しそうなパンがあると言うことで、夕食はあっさりと行きたいねと言うことで、お姉さんに紹介してもらった飲み屋さんに電話してみます。一軒目の富士食堂は混んでいて難しそう。二軒目のぎほうでは問題無く入店出来そうなのを確認して、再度駅前に移動します。真鶴駅前の地下歩道をくぐり抜け、ぎほうの看板がある2階に上がります。中に入ると優しそうなお母さんがワンオペで料理を振る舞ってくれる普通の飲み屋さんのようです。鰻重も注文出来るようでしたが、お米でお腹いっぱいにしたくなかったので本日お薦めのメニューから好きな物を注文することにしました。食べたものを書き起こしておくと、もずくのお通し、ブリの刺身、モツ煮、ハスのきんぴら、ナスの生姜焼き、ナンコツ唐揚げ、春菊の水餃子を美味しく頂きました。お酒を飲まないようになりましたが酒の肴メニューは相変わらず大好きです。明日の予定を確認しながら楽しい夕食の時間はあっという間に過ぎて行きました。
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ホテルに戻ると娘がカラオケをしたいとノリノリです。スタッフの方に聞いてみると、カラオケルームを使って良いとのこと。但しカラオケマシンは中国製で曲の検索が中国語のため出来ません😅。ですが登録されている日本の曲を片っ端からページ送りすることでメジャーな曲を選べそうです。幸い映し出される映像も日本語字幕で歌詞が表示されます。機械の操作方法を教えて頂き、お風呂上がりに娘と熱唱。貸切カラオケルームで喉が枯れるまで歌いまくりました。全力で遊ぶことが出来た1日に満足して、家族川の字になって就寝しました。
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真鶴半島の日の出
翌朝6時頃からゴソゴソ起き出して日の出を撮影する準備に取り掛かります。海に面する窓を開けてみると、雲一つ無い夜明け前の空が濃い紺色から暖かいオレンジ色の美しいグラデーションで輝いています!慌ててGoProとiPhoneの2カメ体制で美しい朝焼けの空をタイムラプス撮影する筈でした…。ところがGoProは撮影モードが切り替わってしまったようで撮影失敗。iPhoneはかみさんに落とさないでよと注意され、ひよってベランダの内側にセットしたところ、暗闇で海面だと思っていたところがベランダの淵であることが判明!ショック過ぎます。真鶴町の日の出撮影に関しては大きな宿題が出来てしまいました。そう!また真鶴町を訪れるしか無いねと珈琲を入れて、秋日和で購入したパンをちょっとずつ分け合って色々な味を楽しみ、チェックアウトの時間まで暖かい朝日を浴びながら昨日購入した、美の基準を読み耽ると言う贅沢な時間を過ごしました。
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友達と約束がある娘を真鶴駅まで送ります。都心からも東海道線で2時間弱、十分日帰り出来る距離です。今度は電車日帰りプランでも練ってみたくなりますね。
琴ヶ浜と貴船神社と真鶴港
かみさんと二人で琴ヶ浜へ移動します。無事無料駐車場に駐車出来ました。朝早くから釣り人が来ているようです。海岸沿いの階段を降りると綺麗な海が広がっています。岩の間をよく見ると、波の満ち引きで出来る流れに乗って小魚が楽しそうに泳いでいるのが観察できます。周りを見渡すと釣りを楽しむ人、磯遊びをする人、ドローンを飛ばす人、シュノーケルをしてる人、遊歩道を散歩する人などが綺麗な海を楽しんでいました。長閑な町の日曜日と言う感じが心休まります。そんな光景を楽しみながら海岸沿いの遊歩道を歩いて行きます。
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遊歩道の終点の先には貴船神社です。108段の階段を登って参拝します。私たちの住む街も坂が多く、普段坂道や階段を登って降りてしているので、それほど苦痛ではありません。階段の途中には保育園や遊具などがあり、境内にはお神輿や貴船祭りの展示物がありました。貴船神社も背の高い木々に覆われて神聖な空気に包まれています。人形の切り欠きがある石をくぐり抜け厄を落とし、その先の丸い玉を撫でながら願い事を唱えて来ました。
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参拝を終えて真鶴港にやって来ました。お目当ては海鮮料理です。未だ開店前のお店もありましたがメニューを見比べて、コスパの良さそうな海人食堂の列に並びます。11時のチャイムが鳴り響き、一斉に各店のシャッターが開きます。刺身定食をオーダーするつもりでしたが、この日あまり魚が上がらなかったとのことで海鮮丼を頂きました。ブリ、ハマチ、鯛の三種が酢飯の上いっぱいに盛られています。旅先で食べると美味さ倍増、柔らかく甘さを感じるお刺身に箸が止まりません。アラのお味噌汁も食べる身が付いており、出汁が効いている一杯でした。
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いよいよ旅も終盤、港の向かいにある魚伝と言う干物屋さんでお土産を購入します。肉厚の鯖の味醂干しを食べてみたいとかみさんに提案したところ、普段食べているからと却下されます。何を購入するか悩んでいるかみさんが何が食べたい?と聞いて来ますが、却下されたので任せるよと答えます笑。結果、鯖の酒干し、鯵の開き、イカの一夜干しを購入しました。久しくお家ではイカ料理を食べていませんでしたが、柔らかくて美味しい一品でした。
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帰りも大きな渋滞に巻き込まれず、夕方前に帰宅でき、大満足の熱海to真鶴の週末旅行は無事幕をおろしました。思いの外撮れ高があり動画編集が大変ですが、旅を何度も反芻するように楽しんでいます。
我が街について
最後に何故こんなにも真鶴町に惹かれるのか?よくよく考えてみると、私たち家族が暮らす街と共通点が多いからだろうねと話しています。坂道だらけの町で平地が無く、緑地を保護する条例があり、景観を保護するため高層の建築物は建てることが出来ず、また電線が地中に埋められており道路脇には街路樹が植えられ、ゴミゴミしていないゆったりとしたお気に入りの光景です。
また我が家のマンションは大きな公園に隣接しており、ベランダ前の垣根をリス達が往来し、時にはベランダにも現れる自然豊かな環境です。生活するにはとてもお気に入りの街ですが、真鶴町のように更に美しくあるために、我が街の美の基準を策定したいところです笑。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。