Netflix『First Love 初恋』
土曜日に1人になる時間があったので一気見しちゃいました。佐藤健と満島ひかりの演技に引っ張られ、自分的には冷めずに没頭出来た作品でした。脇役も夏帆には声をあげるほど同情する演技だし、キョンキョンの愛情あるお母さん役も最高でしたし、向井理の演出も非常に腹ただしくストーリーの整合性を維持する上で貴重でした。ストーリーの複雑さ、美しいシーンの数々、韓国ドラマを意識して制作された作品の様な気がしますが、やはり詳細を描くには話数が足りない印象もあります。しかし次へ次へと連続して視聴を辞められなくなるドラマとしては程よくまとまっていたと思います。書かないと忘れるのでネタバレ全開で感想書いています。
>時代感
タイトルのFirst Love初恋ですが、宇多田ヒカルの曲からインスパイアされたお話とのこと。実際の曲に自分の初恋を重ねるような年齢ではありませんが、手紙や固定電話でのやり取り、タイタニックを観て涙する、不良がバイクで校内に入って来ちゃうなどのシーンは現代の若者には解らないでしょうが、クスリと笑ってしまい、当時の学生生活がフラッシュバックします。
>人生はジグソーパズルのピースをはめること
オープンニングのナレーションで語られていたキーワードです。人と人との出会いは奇跡的であり、偶然か必然かは定かではありませんが、カチッとハマるとパタパタと周囲のピースも固まって行きます。これは良くも悪くもです。人生はどの選択肢とも比べようが無く、他人とも比べることが出来ないと言う人生観ですが、あーしていたら、こーしていたらの連続なので余計にそう思うことである意味、諦めを付けようとしているのかなと思います。最後まで諦めない、運命を信じる晴道は素直でカッコいい奴ですね。これだけ頑張る奴じゃ無いと、ハッピーエンドを掴み取る権利が与えられないってことです。そんな偶然ある?そんなに上手く行く?ちょっとずつ良い行いを貯金している人は必ずやリターンがあると信じましょう。
>人それぞれの我慢の限界
自衛隊の職業を小馬鹿にされ切れる晴道、一生懸命自分を育ててくれた母親を軽んじられ切れる也英。自分の本当にやりたいことを否定される綴。怒りのポイントは人それぞれですが、自分が大切にしているものを否定されると、こんな事態になってしまうと言うことが恐ろしかった。冗談まじりに他人が好きなものを否定するのはやめようと思いました。相手の言うこと聞ききながら、こちらの事情や感想も上手に説明することが大事ですね。
>親の愛情
子供のために良かれと思ってやっている行動が、当の子供にとってはありがた迷惑だったりするんですよね。自分は食べずに子供に美味しい所を譲るとか、真っ当な道を歩ませるために遊びを封印させ勉強させるとか、子供宛に届いた手紙を隠して返却するとか、可愛い子供の出世のためにファッションまで強要するとか、大事な孫のお披露目会に不安要素をひた隠すとか。書き出すと我慢の限界と同じ話ですね。サービスをする側も受ける側も、愛情を注ぐ側も受ける側も、互いに歩み寄りが必要です。
>食の好みの一致
坂元裕二ドラマばりに、満島ひかりがナポリタン食います笑。好きな食べ物を聞くことイコールあなたが好きですと言う文脈だそうです。本当に一緒に食べることって大事。これから恋愛する人へのアドバイスです。共に生きるパートナー選びに大事なのは食の好みが一致すること。気取って?気を使って?男性の前で食べない女性なんて信用できない。旦那の浮気を防止するには胃袋をしっかりと掴むこと。食事がすれ違うと生活全てにおいてずっとすれ違いが起きちゃいます。美味しいものを一緒に食べながら腹を割って話す。これ本当に大事だと思います。
>北海道
ドラマのインサートで北海道の美しい風景が次々に映し出されます。ちょっと前まで北海道出張の機会が多かったのですが、今では出張する機会が無くなってしまいました。足繁く通っていた頃には何とも思わなくなっていた風景を、しっかりと心の目で焼き付けたいと言う衝動に駆られました。このドラマを観た後にロケ地巡りなんてやってみたいてすよね。GoPro持って世界中、日本全国、旅行に出かけたい気持ちが込み上げて来ました。
>唯一残念な点、キャスティング
物語は現在と高校時代とその中間位の時代を行ったり来たりするのですが、最初に混乱するのが高校時代の也英と現在の也英の容姿の違い。明らかに高校時代の也英は友人に比べてガタイ、スタイルが良くて、大人の也英は周囲の女性と比べて小さいみたいな。そこの脳内変換に違和感無くなるまで結構辛いかな。もう少し容姿も寄せに行って欲しかった。そうだ正に建築学概論で惜しいと思った感触と一緒。この映画も昔の恋人に再会する映画でしたね。見返したくなって来た。笑
>(注意ネタバレ)プルースト効果
ここは作品最大のネタバレだと思うので覚悟して読んで下さい。プルースト効果とは失われた時を求めてでマドレーヌを紅茶に浸して食べた時に、香りがきっかけで幼少期を思い出すと言う効果だそうです。
実は最近、面識のある方が交通事故で脳に障害が出てしまい、昔のことは良く覚えているのに、つい最近のことはさっぱり忘れてしまうと言う話を伺ったばかりでした。どの様な刺激を与えれば欠落した記憶が蘇るのか?非常に強い興味を持っています。プルースト効果の通り匂いも記憶のフックになるでしょうね。私は映像も記憶を取り戻すのに効果があるのではと考え日々の生活をvlogとして記録している面があります。脳味噌は生物学的な演算装置で、何処にどんな電気信号を流すかで回路の反応が違ってくると言うことです。どこに障害を受けるかによって記憶しておける内容が変わってしまう。その生物学的な記憶を補完するものとしてデジタル映像を見せると言う療法?自分視点の映像ならば記憶を補完することになるのでは?と普段から考えている訳です。若年生アルツハイマーを患った患者の恋を描いた私の頭の中の消しゴムも見返したくなりますね。程よくどんなエンディングだったか忘れかけてるし笑。
ここでタイトルのFirst Love初恋の意味が深く強く心に響きます。通常の人生では一度きりの初恋ですが、大人になってから初恋をやり直すと言うこのドラマのテーマは控えめに言って最高です。ハッピーエンドが嬉しいドラマでした。ゆっくり時間をかけて見返すとしましょうか。