2020/01/30(木)「イヤなことがあっても黙って我慢して溜めこんで……結果、キレて大騒ぎ」ということをやっていると世界大戦が起きるからやめようね!

 今日は、28日に書いた「キッツいこと」「自分ひとりでは解決できないイヤーなこと」についての対処をしてきた。

(この記事の「●3:ストレス解消になる。気が紛れる。」という項に関する話)

 要はある種の申し立てをしにいったのだが、センシティブな事柄に関する話だったため、クレームみたいにならないよう微に入り細に入り神経を張り巡らせる必要があった。時間にしてほんの30分ほどだったが、疲れた。

 自分でいうのもなんだが交渉事(アメリカンな感じでいうと「タフなディール、ネゴシエイト」)は得意なのでうまくやる自信はあった。実際、うまくいったと思う。

 しかし「うまいこと話しあえた」からといって「求めた改善が実際に達成された」ということになるとは限らない。おそらく、無理だと思う。

 こちらにはこちらの事情があり、あちらにはあちらの事情がある。こちらの事情だけを押しつけるのは不可能だし、そうすべきでもない。自分がこうむっているキツさを軽減した結果、相手がキツくなってしまうのでは何も解決しないし、そんなことは望んでいない。

 しかし、大事なのは「自分の意見と思いについて正式に申し立てをすること」「申し立てをしたという事実を記録に残すこと」「感情的にならず、相手方に配慮したうえで、穏やかかつ率直に、相手の立場や思いを汲んだうえで、誠実に話しあうこと」であり「一人で悶々としていないで行動に移した」という事実なのだ。

* * *

 日本人は「空気」と「世間様」を重視して生きているため「話しあう」ということが苦手である。

 「話しあう」つまり「異議申し立てをする」ということは「空気を読まない」行為であり「世間様を騒がせる」行為だからだ。

 それゆえ日本人は「黙って、黙って、黙って、我慢して、我慢して……キレる!」という行動パターンをとりやすい。昔の任侠映画の世界を思い出してほしい。このパターンが娯楽としておおいに受けたのは、これこそが日本人の「美学」だったからだ。

 だが「しんどくて面倒くさくてもちゃんと向きあって話しあおうぜ」という欧米的スタイルと「黙って我慢して突然キレる」という日本的スタイル、果たしてどちらがよいであろうか。

 歴史を紐解くと、かの英国首相ウィンストン・チャーチルも日本人のこの「美学」には手を焼かされたという。

 チャーチルは英国首相であり、英国の利益を代表する立場である。それゆえ、日本にタフな要求をするのが仕事であった。だが、日本側は黙って何も言わない。当然、英国の要求が通ることになる。

 すると、英議会や国民は日本に対しさらなる譲歩をつきつけてくるので、チャーチルはそれを日本側に要求しなければならない。しかし、日本側はまた何も言わない。このやりとりが何度も繰り返されたあと、日本が「キレて」しまったため起こったのが、かの太平洋戦争である。この「キレ」により、英国は「プリンス・オブ・ウェールズ」「レパルス」という虎の子の戦艦2隻を早々に失う羽目になった。

 のちにチャーチルは「日本がそれほどまでに怒っていて、それほどまでに力があったのなら、もっと早く言ってほしかった」と著書「第二次大戦回顧録」で嘆いたという。

 つまり「黙って我慢して突然キレる」という日本人にありがちなスタイルは「もっと早く言っていれば解決したかもしれないことを取り返しのつかない大事件にしてしまう」という危険性を常にはらんでいるということである。

 ……というか、この「黙って我慢して突然キレる」というパターンはあまりにも「あるある」すぎる事柄ゆえ、もはやため息すらでないわけだが。こういうこと、あなたのまわりでもありませんでしたか?

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 個人的な「キッツいこと」「イヤーなこと」についての話だったはずが第二次世界大戦にまで話が大きくなってしまい、いささか面映いのだが、実際のところ、今日ぼくがおこなった申し立てについて先方からは「すぐにこうして意見を言ってもらえてよかった」「他の皆さんもこうしてすぐ率直にお話してくださればひじょうに助かるのだが」という反応をいただけたので、おそらく間違ってはいなかったのだろうと思う。

 繰り返しになるが、大事なのは「自分の意見と思いについて正式に申し立てをすること」「申し立てをしたという事実を記録に残すこと」「感情的にならず、相手方に配慮したうえで、穏やかかつ率直に、相手の立場や思いを汲んだうえで、誠実に話しあうこと」だ。感情的になって怒鳴りこむとか一方的に要求を通そうとするというのはダメだ。仮に、仮にそうせざるをえないとしても、それは最後の最後の最後だ。

 また、これも「あるある」だろうが「黙って我慢」しているはずが我慢できずに漏れてしまい、インターネットに不平不満や文句悪口を書き散らす……というのもおすすめしない。自分で自分に地雷や時限爆弾をしかけているようなもので、それらはいつの日か確実に爆発し、あなたのことを吹き飛ばしてしまうだろう。いわゆるひとつの「経験者談」というやつだ。

 ……そうとも、そうとも、散々えらそうに書いてきたが、ぼくもいままで散々やらかしてきたのだよ。散々爆発四散してきたのだよ。

 みなさんはぼくの屍を越えて、平和な人生を送ってくださいね。

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(2020/02/01:以下、チャーチルの逸話に関する部分への注です。これは家にある本のどれかで読んで非常に印象深かった話なのですが、どの本に載っていたのかを失念してしまい今現在出典を示せません。たいへん申し訳ないのですが話半分に聞いておいてください。また、英国の振る舞いのみが太平洋戦争の原因だったというわけではなく、敵対関係にある欧米連合諸国も似たようなものだったということ、そして、そうした国々の政治指導者のうち文学者でもあったウインストン・チャーチルが当時の逸話を著書のなかに記していた「らしい」ということでひとまずご諒解いただければと存じます。本当にすみません)

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