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電子機器の怪異

私は三姉妹で父子家庭だった。私たちはパソコン、そしてインターネットが大好きだった。中学3年のときに両親が離婚し、父と妹二人と一緒に一軒家の借家に引っ越した。そのタイミングで父親が秋葉原で安いデスクトップパソコン(WindowsMEという2000年頃にでたもの)とキーボード、そしてPCにつなぐスピーカーをそれぞれ1人ずつ買ってもらって、快適なインターネットライフがスタートした。

その借家は環七(環状七号線という大きな道路)に近い家で、庭もある古い一軒家だった。隣には大家さんの家があったので安心して住める場所だった。大家さんの家が環七に面していた。
環七というのは本当に事故の多い道路だった。家に居たときに、家がドーン!と揺れたから地震か?と思ったら、環七で車がハンドル切り間違えて、環七に面している大家さんの家の塀に激突していたこともあった。
大家さんの家の前の環七の道路は別にそんなにトリッキーな道路ではないのだが、なぜかよく車が事故っていた。
また、この家に引っ越したあと、2度ほど、金縛りにあったが、まぁそれは大したことではないので、話は置いておく。

問題はインターネットだ。
今思うと、おそらくなんだかの理由でハッキングされてしまったのだと思うのだが、私のパソコンは勝手に文字が打ち込まれた。
ある日、Yahooで検索をしようと、Yahooの検索窓を眺めていたところ、そこに突然文字が表示されたのだ。

天皇...、、、、ああああ

全く意味の通じない日本語が流れてくる。
私のパソコンをハッキングしても別に何もないのだが、不思議だなーと思って、その現象を見ていた。

それとは別にとてもびっくりしたことがある。
ある日の夜中、寝ていたら突然部屋の中に、おっさんの声が響いた!

「わかりました!ええ、はい。そうします!」

ええええ何?と思ってしばらく静かにしていたところ、なんと私の部屋のパソコンのスピーカーの周波数が、環七を通るタクシーやトラックなどの無線を拾って、それを部屋に流してしまうという現象に気付いた。

霊現象ではないのだが、よく部屋の中に知らない男の笑い声が、、、とか知らない女の声が、、、っていう怖い話を聞くのだが、そういうのって意外とこういう周波数だとか無線だとかの話で解決できるのかもしれないなと思ったのだ。

似たような話がある。これは私が以前働いていた会社の同僚だった人たちに「怖い話聞かせて!」といろいろ聞き出していたときに聞いた話だ。この同僚さんは今はIT企業でエンジニアをしているが、かつては居酒屋の店長さんだったそうだ。仮にAさんとしよう。

居酒屋やファミレスなどのレストランには注文が決まったら押す呼び出しボタンがある。Aさんは他店で店長をしていたが、他の店舗の店長をすることとなったので、その新しい店舗でがんばろうと思っていた。お店のやり方は微妙に店舗によって違うので、アルバイトの人とかと確認しながら、しばらくの間は常にどの時間帯でも自分ともう一人、2人はいるようにシフトを組んでいた。しかし、しばらくすると、忙しいはずの夜のシフトにみんななぜか入りたがらないことに気付いた。話をよくよく聞いてみると

「夜、変なことが起きるんです」

とアルバイトが言う。

「何が起きるの?」

「夜になると、客席の呼び出しボタンが次々に鳴るんです」

どういうことがと思ってさらに聞いてみると、閉店したあとにお客様がいなくなり、軽く片付けや清掃をする。そのときに、ピンポーン!となる。一つだけなら、「掃除中に何かがぶつかったかな?」と思ったりするそうだが、それが、一つではない。

ピンポーン。

ピンポーン。

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

一つが鳴ったと思うと、すべての客席の呼び出し音が鳴り響くそうだ。

「そんなバカな話あるか?」

「あるんです。しかも、シフト的に一人で締め作業しているとそういう現象が起きるんです。だから怖くて、、、」

「わかった!じゃぁ、俺が泊まって確かめる!」

その店は夜1時、2時くらいには店を閉めて帰るのだが、その日はAさんが他のバイトを帰らせて、その後一人で閉店作業をするということになった。

客席に備え付けになっている割りばしの補充をしたり、ソースや醤油などの調味料を補充したりしながら、待ったものの、何も起きない。

「なんや、なんも起きへん。寝よ。」

Aさんはそう思って、仮眠しようと居酒屋の座敷に自分の着ていたコートを掛けて、寝っ転がった。そのとき、

ピンポーン。

(今、聞こえたよな?空耳か?)

ピンポーン。

ピンポーン。

だーれもいない居酒屋にピンポーンが鳴り始めた。

(なってる!)

部屋を見回しても誰もいない。バイトも帰ったから、スタッフルームにも誰もいない。
Aさんは結構勇敢な人だったから、だれかが外から遠隔操作でいたずらしてるのではないか?と思って大きな声で言った。

「こんなイタズラ全然おもろないで!」

こう言い終わらないうちに

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

客席にあるすべての呼び出しボタンが鳴っているのだ。
Aさんはコートを抱えて、店の電気もつけっぱなしで、靴をつっかけ、そのまま出口を目指して走った。
店の出入り口を出て、焦りながらズボンのベルトループに付けていた店の鍵を震える手で取って、店の鍵を閉めて、セキュリティのカードを通した。そして数歩、ドアから後ずさったとき、すべてのベルがピタっと音を止めた。

こういったベルは押したら、ピンポーンとなる仕組みなので、なっている途中でベルがピタっと音を止めることなんて不可能なはずだ。

Aさんはブルブル震えながら、走って家まで帰った。
その次の日、出勤してまずやったことはすべての客席の呼び出しボタンの電池をすべて抜き、すべてのボタンを客席から撤去した。アルバイトには

「少し面倒になるけど、こうしたほうがいいと思う」

アルバイトは誰もそれに文句を言わなかった。

「本部には、アルバイトが積極的に注文を取る店にして売り上げに貢献するとかなんとか説明しとくから!」

と説明したところ、アルバイトも納得してくれた。

夜のシフトもかならず2人でやるようにした。これに関しては

「治安やセキュリティを考えて」ということで説明した。
これが怖かったからではないが、居酒屋の店長はなんだかんだで心身に来るということに気付き、数年後には居酒屋の店長を辞めてしまったそうだが、後にも先にも、Aさんの怖い経験はこれだけだと言っていた。

この話を聞いて私がAさんに言ったのは

「うーん、なんか近くに大きな道路とかありませんでした?」

「ないよ。小さな駅の駅前だった」

「なんか電波の問題だと思うんですよねぇ~」

怖い話には科学的に解明できそうな話もあると、私は思っている。


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