見出し画像

楽屋で、幕の内。| サンタさんは願い事の詳細を希望しています Dec.11

「ねぇねぇ、何歳までサンタクロースを信じてた?」

12月になると、一度は耳にする会話。最近は、ネットの普及でサンタクロースはいない(正確には、キャラクターショーのように”中の人”がいることを知る)と早くから悟る人が多いのではないだろうか。私がサンタクロースの正体が父だと知ったのは小学校低学年だった。幼稚園の頃は心の底からサンタクロースを信じていた。しかし、父の失態によって夢が崩れたのだ。

クリスマスの前日、小学生の私はルンルンしていた。今日は、サンタさんに願い事を伝える日なのだ。通常は、サンタさんにも準備が必要だから数日前までに伝えておかなければいけないのだが、「サンタさんは今週は大忙しだから、前日にプレゼントの内容を教えてほしい」と父からイレギュラー対応を頼まれたのだ。しかも、なぜか「おもちゃ屋さんで教えて欲しい」と。おもちゃ屋さんで??と、首をかしげる私に、父は「サンタさんがプレゼントを間違えて届けないように、お父さんがしっかりとプレゼントの詳細をサンタさんに伝えなければいけない。だから、お店で商品を見ながら教えてほしい」と言った。なるほど、たしかに口頭で伝えるだけじゃ、わからないもんね、と特に深読みせず、家族で近所の小さなおもちゃ屋さんへ向かった。

「これが欲しいって伝えて!」と、私が指差したのは、ぬいぐるみコーナーにあったおっきなクマのぬいぐるみ。私は結構、ベタなプレゼントが好きだった。父は、ほぉほぉと頷き「わかった。しっかりと伝えておくから、先に車に乗っていなさい」と、私をお店から優しく追い出した。ちゃんと伝えてくれるかな〜と半信半疑だったが、母と車に乗り込み、父を待つ。戻ってきた父は、荷台にクリスマス柄の包装紙でラッピングされた、何やらでかいモノを積んだ。

「お父さん、それなに?」

「なんでもない」

今思えばめちゃくちゃ怪しいのだが、当時はふ〜ん、そっかと思っただけで特に気にしなかった。我が家に訪れるサンタクロースは、規則(?)を忠実に守るので、私が寝ている間にプレゼントを枕元に置いておいてくれる。ワクワク、ドキドキしながら眠りにつく私。朝が待ち遠しい。

そして、クリスマス当日、私の枕元にあったのは、自動車の荷台で見た包装紙だった。大きさも同じ。しかも、包みを開けたらクマのぬいぐるみじゃなくて、同じコーナーにあったセントバーナードのぬいぐるみだった。たしかに、名指ししてないもんな〜、これって指差しただけだもんな〜、ってか、あの時絶対お父さんが買ったやつ・・・!と、父の詰めの甘さによってサンタクロースの正体を知ることとなった。ちなみに、セントバーナードのぬいぐるみは、寝転んでテレビを見る時に使う枕に最適な高さだったので、長らく父が愛用した。

2020年の自分へのクリスマスプレゼントは、MacBook Air(2013年版を使用中)か、腰痛改善のためにスタンディングデスクか、運動不足を補うためにランニングマシーンにするか悩んでいる。年々、願い事に可愛らしさが減っている気がして、ちょっと悲しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?