音は空気を伝わるものだ。音楽は振動の共有である。

コロナ禍。なんだかわからんうちに日常になってしまった。実際、9月くらいからふつーに演奏活動もしているし、飲み会とかもやっている。とは言っても本当に様子を見ながらって感じである。

幸いにして周辺にコロナで重症化して死んじゃったという友人や知人はいない。感染して陽性になったけど、熱がちょっと出たくらいで治ったとか。そんな人はごろごろいる。ああ、東京だ。

こうやって日常になっていくのだけど、あのいい意味で「この先どうなるんだろうー?」と思って、ドキドキしていた3月あたりから7月くらいまでを一度思い出しておこうと思う。だって、特殊な経験だったからねー。日記的に軽く記録残しておくのは悪いことじゃないだろうと。簡単に時系列で書いていきます。

2020年2月の終わり頃

だいぶ、ヨーロッパとかでわいわいコロナが騒がれてきた頃だ。2/18に横浜中華街の老舗中華料理店のパーティーで演奏した。相方のヴァイオリン弾きさんは「クレベリンがいいのよ!」ってなぜか僕にもくれた 苦笑。帰りに横浜中華街で夕飯を軽く食べたけど、お店はガラガラ。豪華客船でコロナがクラスターしていて、中華街は風評被害真っ只中だったのだ。

2/21はスペインギターフェスタで、「やるかやらないか」どうしようか結構考えました。マスク着用でーということで。まだそんなにピリピリしてなかったかなー。でも、スペインとかひどーい感じになってきたので、やばいなあーと。

2020年3月前半

イベロリベロの音や金時でのライブ。もうこの時期には周辺のミュージシャンは本番なくなりかけていた。僕らは「まあ、やるしかないベー」という感じでふつーにやりました。

3/18あたりからずーっと編曲編集していた「クラギで奏でるジャズバラード曲集」のレコーディング。

まあ、だいぶこの時期には世の中は真っ二つ。「コロナはただの風邪」という人と「やばいよ!コロナ!」という派と。色々と編集のために共著者の道下さんのライブに行ったりしたけど、そこでもなんとなく「世の中やばくなりそう」な感じ。もちろん、ライブ現場にいるお客さんは「大丈夫なんじゃない??」って感じでしたけど。

この時期、かなりライブハウスいじめが始まっていた。ギター持っている人が電車の中で白い目で見られたり罵声を浴びせられたり。

打ち合わせなどもzoomなどで多くなっていきました。

4月前半

前半にレコーディングがあったのですが、もうこの時期になると「お忍び」でレコーディングスタジオにいく感じw   なので、この辺りのことはSNSにもかけない感じ。実はスポンサーさんが立会う予定だったのですが、それもなくなりました。いきも帰りも実はタクシーを使いました。電車やべえって感じになっていたんだと思います。

4月15日以降はありとあらゆるライブやイベントが延期。困ったなあーという感じ。それからは本当に自粛期間な感じ。一気に世の中全部がオンライン化に移行していった感じです。

4月後半からGW

見事に引きこもり。こちらはオンラインレッスンやオンライン打ち合わせなどあったので、割と忙しかったなあ。実はレッスン生のほぼ全員がオンラインでのレッスンに移行してくれたので、通常とほぼ忙しさは変わらなかったのです。とはいえ、演奏や外出の機会はめっきり減ったので、練習時間は増えました。

5月

世の中ほとんどの人が引きこもっていたなあ。まあメール連絡の多かったこと!そのほとんどが予定されていた秋口くらいまでの演奏会のリスケw

友人音楽家やギタリストと頻繁にオンライン飲み会やったなあ。そして5/10にスペインギターフェスタで「初のオンライン講習会」をやってみた。この業界の中でももっとも早く動いたものの1つで、実は今でも続いている数少ない成功例の1つであると思っている。

3月から5月くらいまでに考えたこと。

ものを作る。それが大切であると常々思っている。本であろうが、CDであろうが「残るもの」を作るのだ。それにはいくら時間をかけても手間をかけても良いと思っている。オンラインでのレッスンやオンラインでの演奏はそこに時間をかけるだけ無駄であるという結論には達していた。

録音物や著作、もしくは哲学をまとめる(?)ことに時間をかけたほうがいいという結論。オンラインレッスンやオンラインでの演奏会の音質に過剰にこだわる人がたくさんいた。それは意味がない。「やり方」にこだわるのであれば、それは「脳の回路」を作る。思考を作る。哲学を作るのだ。だけど音質にこだわり過ぎるのは無意味だ。

なので、実は3月以降、オンライン化を見据えて動き始めていたが、一方で「残るコンテンツ」を作ることに勢力を注いだ。

それがレコーディングであったり、もともと昨年からのペンディング案件であったが教本を作ることであったりした。そして新規に録音物の案件なども夏以降増えていった。

6月に入っても

世の中はじんわりと自粛ムード。というか、自粛してましたね。割とこの時期にオンライン飲み会を頻繁にやりました。おもしかったなー。みんなの考え方が見えて。

6/24にギターデュオ「ラスマノス」で久々のライブをやりました。この時の印象は残っていて、「わ!本番で弾くって気持ちいい!!!!」と。お客さんは本当に人数制限があり、少なかったですが、音って振動だなーと。

そしてその振動をお客さんと共有しているんだなーと。そしてデュオっていうフォーマットだと、演奏の息を合わせたりするところが醍醐味なんですよね。それはどう頑張ってもオンラインでは不可能。ちょっとした仕草や呼吸、念力??でアンサンブルって作っていくんですよね。

それを自覚。

音は振動であり、音楽は振動の共有である

そんな感じを持ってから、やはり音楽、楽器演奏は生でやるしかないのだなあと。アンサンブルは顔を付き合わせて、三密でしか実現できないものなんです。それがわかった。

幸いにして、7月以降からは演奏会やライブもぼちぼち復活してきて、ひとまず「音楽の振動」を感じる瞬間が増えて、幸せでした。

正直いうと、もうこの時期から「配信ライブってやっぱり代替物でしかないよね」という思いが強くなったのです。もし、何かやるなら「ものを残す」ってところに時間と手間をかけたい。そう考えるようになっていました。

だから、配信関係に時間をかけたくなかった。簡単なインスタライブなどはたまーにやっていましたが、それもやっぱり意味を感じなくなりました。

8月に入ってから

とはいえ、7月以降もライブをやっても人がこない・・・もしくは人数制限がある・・・という感じ。そんな中で8月に入ってみなとみらいホールの大きめのイベントがあり、そこでマリンバと演奏したり、クラギでソロを弾いたり、ウクレレ講座をやったり。昨年も同じイベントがあったのですが、イメージとしては昨年の100分の1くらいの入場者数。もちろん人数制限あったりしましたが、まだまだ世の中「コロナ怖い」でした。

8月後半からレッスンの問い合わせが増える

と言いつつも、動く人は行動を開始。レッスンの問い合わせが8月後半からドバーッと。ちょっとしたバブル。ほとんどの人が「自粛期間中、ギター買ってみて始めた」って人。これは面白い。クラシックギター とウクレレとDTM系は結構儲かったのではないかと。

9月くらいからは「日常」が戻ってきた?

個人差はあるでしょうが、もう9月くらいは世の中の50パーセントくらいの人が「コロナ大したことないんじゃね?」ってノリになったのではないかと。これは経験からそう感じてきたってことでしょうね。ある意味「あの自粛期間は意味があったのかな?」って。

普通に動いても何も大変なこと起こらないじゃーんっていう。

まだ終わっちゃいないけど

とりあえず3月くらいから10月くらいまでで気づいたことや再確認できたことは多い。僕という職業音楽家にとって大切なことは以下二点。

1:音楽は振動の共有である

2:ものを作ることって大切

1は生での演奏会こそが「音楽する場」であるってこと。2はやっぱりものを残すっていうことが音楽家のキャリアを作っていくのだろうなあーと。

こうかくと、じゃああなたは配信のライブに否定的なんですね!って言う人もいるかもしれないですが、まあ否定的っちゃー否定的かな?配信のライブを聞くんだったら、優れた録音物を聴きたい。

逆にいえば、録音物って「生演奏の劣化コピー」であってはいけない。よくバカな若手演奏家が「演奏会そのままをCDにしました」って言って、自慢げにしてるけど、それ作品じゃないから!!!と声を大にして言いたい。

CDとかは生演奏とは違う別の「作品」です。もしライブで聞いたまんまを閉じ込めたものであるなら、僕はライブに行って音の振動を浴びたい。たくさんのお客さんの体温や匂いの中で音の振動を浴びたいんです。

そんなこともあって、知り合いであろうが、友人であろうが、配信でライブを見る気にはなれないんです。その代わり、たくさんCDやレコードを3月から現在まで聴きました。新しく買ったり、今までのものを聴き直したり。そして自分自身でもレコーディングと言う「ものを作る作業」に専念したいなと言う気分になっていたのです。

と、そんな感じで今僕は音楽について考えています。


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