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[クラシックギター奏法伝授]DVDの中身を語ってみる!

なぜ奏法伝授シリーズを始めたのか?

このDVDシリーズは東京の駒沢大学駅近くにあるイベントスペースM'sカンティーナさんとの話から生まれました。カンティーナのオーナーである寺澤さんと話をしたのは4月くらいだったかしら?…定期的に演奏をさせてもらっていた場所ではあったのですが、すっかりライブやイベントもなくなってしまって、お互いに何か援助し合う形のものを作りましょーと。

カンティーナさん出演のアーティストさんたちもライブを収録したものやトークライブを収録したものをDVDで出していたので、じゃあ、おいらはクラシックギターの奏法について映像作品をつくろうかなとなったのでした。

”私家版”的なノリ

今まで、きちんとした教本もたくさん書いてきた。クラシックギター専門誌に奏法解説などもたくさん書いてきた。書いて残すもの…これは結構感覚として「責任重大」なのです。

自分が勉強している時もそうだったなあと。自分が20代くらいのプロ修行の時期は先輩ギタリストや巨匠たちが書いた奏法解説や教本のアドバイスなんかはむちゃくちゃ読み込んだものでした。ああーそう考えるのかー…とか。そういう観点から考えると、紙で出るものって繰り返し”資料”として読み返すものなんですよね。だから、ベーシックな部分や絶対これは外せないようね!ってことを書くことになるんです。

で、今回DVDを作るときは、そのノリは一旦外してしまおうと。ある意味でのライブ感覚。「ここは今はこう考えているんだけどね!」とか「あ、こうも考えられるね!」っていうアドリブ的な感覚を大切に作ってみたいと思ったのです。

教本にはかけないもの

実はちょうど、数冊の教本をヤマハから出したばかりでした。

まずはこれ。クラシックギターの教科書。

割とスタンダードに現代クラシックギター奏法を説明しました。かるーく身体の使い方も説明。その意味では画期的です。段階的に学ぶ内容とはなっていないですが、かといって指先から体幹までのリンクとか…そこまで踏み込むことのないでしょうし、それは間違った捉え方を誘引してしまいそうなので避けました。

もう一冊は、子供向けの教本。

こちらはより段階的に書いた本です。まずは耳で!…という意味では鈴木メソード的な感覚で書きました。大人であればロジカルにわかるように奏法については「大人の方へ」という感じで追記。子どもさんは好きに楽しく弾いてくれれば良いよ!という観点で。

いずれの教本も、やはり書き言葉で奏法や音楽表現について書くのはある意味で普遍性のある内容を残さねばならないのです。

「学び」とは個を学ぶことである

教本で学べる内容というのは、本当の基礎ではないのかもしれません。僕自身も学んできたり、楽器を習得していく過程で感じたことは「え??なんで、この人こんなことできるの?」という師匠たちの身体の動きであったり、音楽表現の豊かさでした。

頭で理解しただけではもちろんできません。そして段階的に学んでいったとしても、なんだかピンとこない。師匠と同じように見える「動き」に到達したとしても、それは借り物なんです。なんか違う。

でも、あるとき、あれこれかな?という領域にきたと感じる瞬間があるもんなのです。これは生徒さんの指導でも感じることなんです。基礎練習やエチュードや楽曲、色々と弾いていき、そして本番を積み重ねて、あるときふと「できる!」ようになるもんなんです。

教本で書いてあることを学ぶ。そして、書いてあることを全く同じにできるようになる。ただ、これだけでは絶対に「うまく」ならないんです。でも、教本ではそのレベルのことしか書けないんですよね。ああー困ったー。

音楽や楽器演奏の本当の「基礎」は個人の中にしかないんです。そして、それを学ぶためには巨匠に長く師事したり、優れた演奏家と一緒に演奏を続けていくしかないんですよね。

そして、本当の技術や表現理論は個人的な身体に深く染み渡ったものであり、もうその人の血と肉になってしまっているものです。言ってみると「自動化」されたものとなっており、それを解きほぐしていくことは極めて困難。複数の基礎や技術の混合物となっている場合がほとんど。

それを説明してくれって言われても、文章化は極めて難しんですよ。

だから、本当の学びをしたい場合は、その人の「個」に迫っていくしかないわけです。

語ることで自分をバラバラにするw

だから、今回、DVDでクラシックギターの奏法を解説するという企画はズーーーっとやってみたことなんです。

とはいえ、項目はかなり細分化しました。細分化した上で、動画をとるときにある程度アドリブでやっていく…このことで僕が使っている身体感覚のバリエーションが出るのかもなーと。

おかげさまで、相当バラバラになりましたw

先ほど、本当の技術とか表現理論とかはいくつかの要素の混合物である、と書きましたが、まさにそれなんです。それがわかった。根本の項目を細分化し、それをさらに自分で客観視しながら解説を加えていくと、さらにバラバラにできるんです。

だから奏法伝授DVDは面白かったのかー!

ということで、クラシックギター奏法伝授DVDは2020年5月リリースから10月まででなんとVol.5まで続きました。おまけとして11/23日にvol.6が出ます。結果として、「へえ、俺ってこういうこと考えて弾いてるんだー」と再確認。だから、面白いのかーと。

まずは各巻のタイトルをご紹介しましょう。

富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.1 身体を感じる
富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.2 右手を感じる
富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.3 左手を感じる
富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.4 左右両手のリンク
富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.5 慌てず急げ

で、おまけで「富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.6 ラグリマを深掘りしてみよう!」。

かるーく各巻の内容を振り返ってみましょう。

富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.1 身体を感じる

身体の力学やダイナミクスを「音」にリンクさせることによって、弾き手にとって音楽はよりリアルなものとして体験される。そのリアルさは聴き手にも伝わり、「豊かな」音楽として響く。身体を理解することは今まで「合理的な奏法」として言い表されてきたが、これからは一歩先に進んだ「良い音楽」をするための奏法理論として広く知られるべきであろう。奏法理論は故障を避けるためのものでありながら、音楽の力学を明確に表現するためのツールであるべきである。その方法を実際に富川本人が説明していく。DVDを見た人は「自分で試して、感覚の変化を感じる」ことによって、身体の使い方を正しくマスターし、エコノミーな弾き方を会得しつつ、より豊かに音楽を感じるシステムを構築することが可能となる。
1:身体の軸の作り方
2:右手のタッチと腕の関連
3:左手の押弦バランス
4:右手の弾弦アクションと弦振動
5:左手の押弦と離弦
6:両手のリンクと体幹
7:体軸と音の方向性
8:音楽表現と身体の関係
9:西洋的ビートの感じ方
10:身体との対話

やはり、このvol.1で面白いのは、身体のリンクの話なのかなあーと。あとは西洋的なビート感のこと。何れにしても、ギター奏法におけるベースとなる身体の動きを細かーくお話しできています。おそらく、このvol.1の内容は実はvol.2とvol.3を実践してもらうことで、あれ?そういうことか!!!と合点がいくはずなんです。


富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.2 右手を感じる

今回は右手のテクニックについて解説をする。ギターでは右手は主に指先を意識して行うことが主であるが、このDVDでは指先を身体の延長線上にあるものと位置付けて奏法を考えていく。vol.1である程度概略を示したが、より詳細に分析したものを提示していく。DVDを見た人は「自分で試して、感覚の変化を感じる」ことによって、身体の使い方を正しくマスターし、エコノミーな弾き方を会得しつつ、より豊かに音楽を感じるシステムを構築することが可能となる。
1:指先と腕の関連
2:指の関節と動き
3:右手の弾弦アクション
4:指先と爪
5:アポヤンドとアルアイレ
6:右指の戻し
7:アングルによる音色の変化と腕の関わり
8:内向と外向
9:音色のコントロール
10:身体と右手のタッチ

内向と外向はとっても大切な概念です。音色というのはバリエーションです。生徒たちを教えていても、とっても繊細な演奏が悪いとはいえない。開放的に図太い精神力でどばーんと演奏する生徒さんの演奏が「良い」とは言い切れない場合も多い。

演奏というのは多重人格的なものなんです。そこに音色の変化やアンビエンスのバリエーションが生まれる。

そこに踏み込めた内容となっています。ここにVol.1の「体幹と音の方向性」が絡み合ってくると、右手の音色が身体と繋がってきますし、もう1人の人格として成立してくるのです。

富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.3 左手を感じる

今回は左手のテクニックについて解説をする。現代奏法では左手指の押弦は腕全体を意識して行うことが基本となる。このDVDでは指先による押弦を腕の動きから更に敷延して身体の延長線上にあるものと位置付けていく。また腕および身体全体を駆使して押弦を行っていく際に必須となる指先の「かたち」を決める方法も詳細に分析していく。DVDを見た人は「自分で試して、感覚の変化を感じる」ことによって、身体の使い方を正しくマスターし、エコノミーな弾き方を会得しつつ、より豊かに音楽を感じるシステムを構築することが可能となる。
1:指先と腕の関連
2:12グループと34グループ
3:指先と鎖骨・肩甲骨とのリンク
4:指関節の説明
5:左指のの押弦アクションと「はこ」
6:12グループの説明
7:34グループの説明
8:12グループと34グループの連結
9:クラシックグリップ
10:身体と押弦

vol.3は本当に左手のベーシックを説明。ここで腕が身体全体と繋がってくる。クラシックグリップの必要性がわかる内容となってます。

富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.4 左右両手のリンク

今回は左右両手のテクニックについて解説をする。クラシックギターという楽器は「左手で音程を作り」「右手で発音する」楽器である。押さえてから発音するという前提があるためにレガートに演奏することが難しい楽器とも言える。滑らかに音をつないで演奏していくために、またエコノミーな奏法のために押弦の理論と弾弦の理論を整理することが大切であり、左右両手の協調を考えていくべきである。左右両手のアクションを見直してこそ、レガートな演奏が実現できるのである。
1:押弦アクションの確認
2:左手と右手の「触る」を一致させる
3:弦を動かしていくアクションを一致させる
4:発音時までをワンアクションに!
5:静止画の連続を目指す
6:同弦上でのレガート
7:異弦でのレガート
8:離弦アクションと右手のリンク
9:開放弦から下降する音階の場合
10:音階をレガートに弾いてみる

右手と左手のアクションと役割が明確になることによって、さらに全身の統合が完了します。右手と左手の動機について、ここまで詳しく解説したものは今まで日本ではないでしょう。この感覚が身についてしまうと、他者の「音が繋がっていない演奏」などに敏感になります。それは「できている人にしかわからない」感覚なのです。

残念ながら、この感覚が身についている人は日本のプロでも極めて少ないのが現状です。この感覚は僕はクラシックギターの人から学んだというよりも、管楽器奏者や歌手の方から学んだのです。

この感覚が身についた上で、vol.1のビート感の所の内容を思い出してもらうと、「音のエネルギー」の持続感がわかってくると思います。

そして、体幹が安定しているということ=じっとしている…このことができると音のエネルギー持続力がますことも自然に理解できるのではないでしょうか?

富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.5 慌てず急げ

これまでVol.1からVol.4を通じて、クラシックギター演奏における左右両手の使い方と身体との関連を詳しく見てきた。今回はより具体的に今までの知識と経験を実際の演奏に結びつけていく方法とアイデアを提示する。そのままヒント集として捉えてもらって構わないが、できれば今まで学んだことを各自踏まえながら学習していって欲しい。
1:ポジションに”こだわる”
2:左手の準備と独立
3:指の軸を考える
4:エコノミーな動作を考える
5:フレットの存在を考える
6:腕を振りは最小限に
7:1-4フォームについて
8:ゆっくりと弾く
9:トランスフォーム
10:慌てず急げ

裏技集的内容です。特にトランスフォームはマッスルメモリーについて言及しております。またフレットの存在を考える…は意外に盲点。

富川勝智クラシックギター奏法伝授!vol.6 ラグリマを深掘りしてみよう!

全5巻出た「奏法伝授」の”おまけ”。演奏者の”リアル”はどこにあるのか?…それがわかる内容となっております。キーワードは3つ。「表現の基本は「変化」である!」「音楽は時間を操る芸術です」「身体に感じて演奏しよう!」。楽器演奏の深さを考えていただける内容となっております。

おまけ。とは言いつつ、今までの内容の全要素が丸っと入っています。これは全部みるとよくわかるのではないかなあーと。右手の使い方、左手の使い方、音の方向性など…その感覚が体にはいりつつある人には「あ!そういうことか」とわかる内容にもなっています。

おそらく、このvol.6だけでみただけの人や素直じゃない人は奥義に気づけないまま見終わっちゃうでしょうね 苦笑。

まるっと飲み込む

ということで、全巻をかるーく概観。

割と項目分けは「企業秘密」的な内容が入っているんです。偉そーにいうと、ギター弾くとき最低限上記項目は「閃く」ようになっていないとダメよねえと思います。もし、プロならば。教えるプロであるならば、なおさらです。

こういう細分化されたことを普段のレッスンで教えることはほとんどありません。生徒さんが煮詰まったときや必要な段階で「こういう感じなんだよー」と”掘っていく”ことはあります。

でも、ほとんどの場合はそこまでたどり着かないことが多いんですよね。でも、このDVDを見てもらって「なんだかわからんけどまるっと飲み込んでおこう」と思える人であるならば、もしかしたら最短距離でギター弾けるようになるんじゃないかなあーと。そんな風に思います。

注文したくなったでしょ?

ということで、すこしはこのDVDに興味が出てきた方、以下のメールフォームでご注文を。vol.6ご注文の際に「vol.1が欲しい」とか「vol.1からvol.5まで全部欲しい」とか書いておけば、おそらく送ってくれるはずです。

お申し込み方法(2020年11月23日~):エムズ・カンティーナのイベント予約フォームにて<【公演欄】に希望タイトル、【公演日】にお申し込み日、【備考欄】に発送先住所、郵便番号、電話番号など>を記入の上、送信ください。折り返し、購入方法をお知らせ致します。(11月27日(金)より随時発送予定)

エムズ・カンティーナ予約フォーム
https://ws.formzu.net/fgen/S13353355/



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