出会い…だと…?
初めに言っておくと、僕はこの自転車を買うことになるとは全っっっっっ然思ってなかった。
2021年の春に、初めてクロスバイクというものでスポーツバイシクルというものを知った僕は、本を読んだりググったりしながらロードバイクの事を調べ始めていた。
最初はPanasonic
どうやら、僕が若い頃とは随分この世界も変わっているようで、素材はカーボンになり、ブレーキはディスクが主流になりつつあった。ちなみに、あれから半年経った2022年現在では新車販売されているスポーツバイクの殆どがディスクブレーキになっている。
当然僕もどうせなら現在のトレンド(古いっ!)を踏襲したバイクが欲しいものだと考えていたが、ちょっと待てよと。
こういう機材って、年々新製品が出るよなぁ。で、それは新しい技術が詰め込まれたりするよなぁ。となると、数年したら型遅れになるよなぁ。高いのになぁ。そんな考えが湧き上がる。
ならばいっそ、クラシックな感じのを最初から買っとけば良いんじゃね?と思い至った。
で、色々調べた結果 Panasonic のロードバイクにいい感じのがあるのを見つけた。
で、僕は早速話を聞いてカタログをもらおうと意気揚々とショップへ向かった。
注文すら出来ない??
意気揚々と向かった先で、僕はとんでもない事実に直面することとなった。
カタログを貰い、ざっくり見積もりを取ろうとした時にこう言われたのだ。
"今はシマノのパーツが入らなくて、注文の受付もしてないよ"
と。
なんでも、前年からのコロナ禍の影響で材料の調達や製造、海外からの船便、その全てが麻痺しているのだという。マジか。
お金を用意すれば手に入る時代は終わったのか?
"シマノのアルテグラで受注再開は年末。105は全然未定になってる"
アルテグラなんか要らんのやて。
そんな高級品、勿体無いんやて。
「また来ます…」
そう言って店を出ようと思ったけど、せっかく来たのだからちょっと店内を見て回ることにした。
あっしはここに居りやすぜ
所謂『プロショップ』なんて所に来たことがない僕にとって、店内はまるで未知の空間。
自転車屋さんといえば、電動ママチャリやキャラクター付きの補助輪自転車、シティーサイクル等がズラッと並んでいて、スポーツ系と言えば良くあってPBのクロスバイクが隅に数台。
そんな風景しか見たことのない僕にとって、全く異質な空間だった。
サドルもハンドルもペダルも付いていない、フレームだけがいくつも吊るされていたり、タイヤの付いていないホイールだけが吊るされていたり、ペダルが単体で売られていたり。
もちろん完成車もあるが、多分メインはフレームから何から選んで組んでいくスタイルなのだろう。
そんな中、見覚えのあるメーカーのマークが入ったフレームが吊るされているのを見つけた。
"これ、なんだったっけな??どこかで見たな。雑誌か?いや、Youtubeだったか…?"
なんとなくボーッとそのフレームを見入っていた。
いや、なんとなくじゃないか。
『綺麗だなー』と思って見ていた。
それが Tommasini だった。
『旦那旦那、あっしに興味を持つなんてお目が高い。ここで会ったのも何かの縁だ。どうです?あっしを相方にしちゃみませんか』
なんて声が聞こえてくるわけもなく、もし聞こえてきたとしても売れ残りの必死の懇願としか思えないだろうし、僕はそのままグルっと店内を回って、なんとなくカンパニョーロの、カタログを貰い店を後にした。