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タイムトラベルもの、名作の条件【追記あり】。

いま話題のTBSドラマ、『不適切にもほどがある!(脚本:宮藤官九郎)』第3話が良かった。
毎回お約束、ドラマ後半クライマックスのミュージカルシーン。
コンプライアンスを意識した番組作りを強いられるTVプロデューサー栗田一也(山本耕史)が、
「誰が決める ハラスメント」と歌うと、
急遽代打MCをつとめることになった八嶋智人(本人)が、
「ガイドライン決めてくれ」と叫ぶ。
ここから、本作の主人公「コンプライアンス意識が低い昭和のおじさん」小川市郎(阿部サダヲ)が、
「みんな自分の娘だと 思えばいんじゃないかな?」と答えて、クイーン調の曲が始まる。

「アダルト女優も アイドルも 一般女性も お婆ちゃんも
 みんな娘だと思えばいい!」
♪Everybody Somebody's Daughter「娘に言わないことは言わない」
♪Everybody Somebody's Daughter「娘にしないことはしない」
♪Everybody Somebody's Daughter「娘が悲しむことはしない」
♫~Woo Woo「娘が喜ぶことをする」
♫~Woo Ah~「それが俺たちのガイドライン」

#3 可愛いって言っちゃダメですか?

(「自分の娘」を「自分の息子」に置き換えてもいいよね)

これに対して、X(旧Twitter)でも、
「クドカンが、セクハラのガイドラインの回答を歌でだした」と大反響。

個人的にも「めっちゃ面白い! 受ける~」と思いながら、今までちょっと不満があった点「昔の時代は良かった」を、ようやく第3回にして脱した感がある。

「タイムトラベルもの」の評価の視点として、
・タイムパラドックスの回避と、
・パラレルワールド世界線の問題が挙げられるが、
もっとも重要だと、ぼくが思うのは
「(誰がなんといおうと)未来は、いずれにしろ過去にまさる。」
(ロバート・A・ハインライン『夏への扉』福島正実訳)

という点だ。未来をより良くするために現在があるのだと。
そういう意味で、バカリズム脚本の『ブラッシュアップライフ』も良かった。

「パラレルワールドもの」の傑作では、
ケン・グリムウッドの『リプレイ』と、

山本弘の『去年はいい年になるだろう』が挙げられる。

だれかテレビドラマでやってくれないかな~
※見出し画像は「可愛いにもほどがある!」純子役、河合優実ちゃん💛

【追記】


福田フクスケさんがクドカンの「みんな自分の娘だと 思えばいんじゃないかな?」というガイドラインについて、周回遅れだと指摘していて、ちょっとモヤモヤしていたのですが……。

エンタメライターの田幸和歌子さんが、上手にまとめてくれました。


第3話では、令和で市郎が恋に落ちた女性・渚(仲里依紗)の勤めるテレビ業界が舞台となり、セクハラについて、何が良くて何が悪いかわからない、ガイドラインが欲しいというくだりがあり、市郎がたどり着くのは「みんな自分の娘だと思えばいい」という結論だった。逆に家族だから許されるという思い込みやプライバシーの侵害など別の問題も発生するわけだが、その結論で本当に良いのか。
制作側も、それが「正解」だと思っているわけではなく、まだコンプラ意識の低い昭和世代の市郎が現時点で出せる結論の限界点として描いているのかもしれない。しかし、コンプラ意識の低い一部の視聴者は、「これだけ守れば大丈夫」と勘違いしてしまわないだろうか。実際、自分の身近なレベルでも、「『みんな自分の娘だと思えばいい。娘に言わないことは言わない』っていうのはすごく納得。わかりやすい」という声が、主に40〜50代の男性からあがっていた(もちろん、その年代の男性でも意識が高い人はいる)。

なるほどね~

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