令和を生きる子供への課題図書「空のあらゆる鳥を」 破滅SFが示す希望の形
はじめまして。note始めました。
書店員を5年、東京の大手出版社で2年。今はWEB系の仕事をしています。とみよしです。
空のあらゆる鳥を (創元海外SF叢書) チャーリー・ジェーン・アンダーズ https://www.amazon.co.jp/dp/448801464X/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_Z9bAFbQVBSNX3 @amazonJPより
今回、ご紹介したい書籍は
世界屈指の名門校ケンブリッジ大学出身の秀才が執筆した魔法と化学のSFファンタジーです。
今回はこの本のオススメポイントを以下の構成でお届けします。
1 令和を生きる子供に読んでほしいワケ。
2 この本を読んであなたは変われる。コミュニケーションの大切さ。
3 この本を読みたくなる。海外のレビュー。
以下はネタバレありなので、有料コンテンツです。
魔法と科学の対立は人種差別の問題を表している?主人公二人はヴィランズであり共犯者なのかもしれない。ジョージ・ダイソンのオリオン計画がヤバイ。
複雑すぎる破滅SFが有名な賞を三冠独占するということの凄さを語る。作者の新作は大衆向け?映像化も決定。
下世話すぎるベストシーン。パトリシアの姉が名言しか言わない。隠された裏テーマを深堀りしてみた。登場人物の生き残れる法則が怖すぎた。
1 令和を生きる子供に読んでほしいワケ。
このジャンルは破滅SFです。破滅とか終末もの。子供に読ませたくない方もいますよね。でも、現実世界では食糧危機や環境破壊は深刻になると予想されています。日本にいると食糧危機はちょっと身近ではないけれど、環境破壊なら肌で感じるときがありますね。
これからの時代、そういった問題を取り扱う研究や、事業などは世界的に注力されていくジャンルになっていくでしょう。なので、そういったジャンルに興味をもつきっかけになる本に出会うことは、その子供の未来への選択肢の幅を広げることでしょう。
この本は、そんな社会的なテーマを魔法という隠し味で、カラフルにポップに書いています。とてもイメージしやすく作られている物語なので、未来の方向性について思索をめぐらすきっかけに、とてもよい本だと思います。
あ、でも子供といっても、将来を考え始める中学生や高校生にちょうどいいかもしれません。小学生にはちょっと難しくて早いかも。
「木は赤いか?」
これは小説に出てくる一つの問いです。ぜひこの本を読んだ子供に答えを聞いてみてください。もしかしたら、常識をたくさん学んでしまった私たちが考えつかないような、そして主人公よりももっと素晴らしい答えがかえってくるかもしれません。答えがはっきりしている本は一瞬の爽快感がありますが、答えのない本は大人になってもずっと心に残り、考え続ける思考力を養います。
2 この本を読んであなたは変われる。コミュニケーションの大切さ。
人類の問題として、コミュニケーション。これも一つの大きな課題なのではないでしょうか。情報技術は発展していて、人と人とのコミュニケーションは、どこにいても簡単にリアルタイム。SNSでは不特定多数の相手とメッセージのやりとりができるし、人工的なエージェントとコミュニケーションをとることすらできます。
でも現実は周囲の人とうまくやっていくのって、なんだか疲れるしむずかしいですよね。他者と積極的に自分から向き合うことに対して、億劫で面倒で逃げ出したくなるときってありませんか?
この書籍のストーリーはそんなあなたに勇気をくれることでしょう。
3 この本を読みたくなる。海外・国内の評価。
具体的な内容に触れていませんでした。まずは簡単にあらすじを。
同書の主な登場人物は、魔法使いの少女パトリシアと天才科学少年ローレンス。特別な才能を持つパトリシアとローレンスは、その才能ゆえに周囲に疎まれていましたが、疎まれた物同士として友情を育んでいました。ところが、二人は未来を予知した暗殺者に狙われ、引き裂かれて別々の道を歩むことになります。成長した二人が再会したのは、人類滅亡の危機の最中、魔術師と科学者という全く異なる組織の一員としてでした。
やや小難しい小説なので、レビューでは絶賛する意見と構成や時間軸などジャンプするので読みにくいなど辛口な意見が分かれていますね。
キルクスという海外の書評サイトのレビューが良かったので、引用させていただきます。翻訳しているので、完璧ではありません。ちょっとわかりにくいとこは意訳してます。
科学や魔法は私たちの世界と地球上のすべての生物を救うのでしょうか?それは、サイエンス・ウェブ・カルチャーウェブサイトio9.comの編集長がこのサイエンスファンタジーのラブストーリーで提起した問題です。
子供のパトリシアとローレンスは、不遇な思春期を過ごしていて、学校や家族に全く理解されません。パトリシアは魔法に目覚め、彼女の魔法が花開き、運命が訪れるのを待っています。ローレンスは彼の寝室のクローゼットにスーパーコンピューターを構築する素晴らしい技術をもつ科学の天才です。彼らの両親、教師、学校の生徒は、二人をいじめたり、従わせようとします。二人はそれに対して抗い反発します。彼らの両親は指導カウンセラーを装った暗殺者テオドルフスローズに騙され、パトリシアとローレンスを近づけさせないようします。ローズの陰謀は、2年後にサンフランシスコのパーティーでお互いが出会うまで、パトリシアとローレンスの仲を引き裂きます。パトリシアと彼女の仲間の魔女は、地震や気候変動によって地球環境が著しく悪化し悲惨な終末へと向かいつつある地球で、人類も他の多くの動植物同様に地球の一部として考え、地球はまだ救えると感じています。ローレンスは、別の惑星にワームホールを開くための秘密プロジェクトに参加しました、人類の唯一の希望は地球を見限り数パーセントの人間でも別の惑星に移住することであると信じています。魔術師と科学者の互換性のない視点を考えると、この二者の間の関係は絶望的です。しかも著者は、驚くべき表現で、科学と魔法の脅威を読者にみせます。科学を信じるローレンスの同胞は彼らの発明を守るために暴力を使います、そしてパトリシアの同胞は人類が問題であると考え、これもまた厄介で慈悲のない解決策を採用します。アンダースは、「異なる」と感じられたときに友達を見つけるのがいかに難しいか、対話し続けることで大きな問題を解決することがどれほど素晴らしいか(そしてどれほど頻繁に成功しないか)を理解していることが、この書籍から感じとれます。
登場人物のセリフの様々なところに哲学的な問いがちりばめられています。それに対して、自分ならどう返すだろう、感じるだろうーと想像して読みすすめる楽しみを、この書籍はもたらしてくれるでしょう。
上記は表向きの読んでほしいオススメポイントです。ぶっちゃけ作品の上澄みです。以下からは、大人の視点で語ります。
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